↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読み切り短編集  作者: おしるこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/61

近いようで遠い2人の終着点

「えー!?異動っ!?」

〔うるさ…そうだよ〕

「いつから!?どこの店?」

〔▲■だよ 来月からだからーあと3週間後か〕

「無理…」

〔お前が異動するわけじゃないだろ〕

「だってー話せる人、野波しかいないのに」

〔だから俺以外にも話せるようになれっていつも

言ってただろ…〕

「やだぁー!」

〔あのなぁ…ずっと一緒にいられるわけないんだ

…そろそろ自立してくれよ〕

「…そだね」


こんなに仲良いんだよ?

毎日一緒にいて、休憩だってずっと話してたのに

たまに家にも行く仲だし…


ずっと一緒にいたいのに

本当は、告白もしたいし付き合ってほしいし

…なんてずっと考えてた


それなのに…


【野波point of view】


〔…えぇ、そのようにお願いします

とりあえず、引き継ぎはこのくらいですかね〕

《また細かいことは追々聞きますね!》

〔はい まだ日にちもあるんで、何かあればいつでも聞いてください〕

《はーい よろしくお願いします》


ふぅー異動も大変だなー

残り1週間は何日か新しい店にも行かなきゃいけないし


まぁ、でも

やっと得た機会だからな


今回の異動は、異動願いを出して実現したものだ


…松野のことがあったから

松野は俺にしか話しかけない

挨拶や仕事上の最低限の会話はしてるだろうが、

仕事してても休憩してても

俺がいれば俺から離れようとしない


仲が悪いわけではないけど

同僚からも恋人なんだろ?なんて誤解されていたりして…


松野には話してないけど

異動願いを何回出したと思ってるんだ…

こんなにスルーされるものだと思わなかった


まぁ、でもいい

あと少しだから

あいつのためにもなるだろうから


「野波…ごはん行こ」

〔あぁ 買いに行くんだろ?〕

「今日はメックいこ?」

〔え?あぁ いいけど〕


普段は店で買って休憩室で食べてるのに

めずらし


お互いに頼んだあと、2階に上がって席を探す


〔ここにするか〕

「うん」

〔…なんだよ 元気ないな〕

「そう?いただきまーす」

〔お、おう〕


全然話さないじゃん

察して!!ってやつだなーこれ


こいつはこういうところがある

思ったことをハッキリ言うときもあるけど

全然言わないで溜め込んで爆発もする


今回は後者だろうなー

はぁ…


でも、あえて何も言わない

俺はてりやきのハンバーガーセットをおいしくいただいたし

午後はレジが入ってるしなー

そんなことを考えながら食べ終わるのを待った


「…野波」

〔ん?〕

「あの、話したいこと…あるの」

〔なに?まだ30分あるな いいぞ〕

「ここじゃちょっと」

〔え?〕

「終わったら時間ほしい」

〔あー…悪いけどしばらく忙しいんだよな

何?悩み事かなんか?〕

「…あー ううん 大丈夫」

〔そか?んじゃー店戻るか〕


別に時間はたくさんあるのに

あえて約束はしなかった

俺以外にも、話せるやつ作れよ…ったく


【松野point of view】


告白しようとしたけど…

忙しい、なんて言われたら

もうそれ以上言えなかった


そんな話しはしなかっただけで

彼女いるかもしれないし


あと3週間しかないのに

嫌われたくないもん


《松野さーん》

「…はい」

えっと…この人は…境田さん

《引き継ぎのことで、野波さんに話しがあったんですけど 一緒じゃないんですか?》

「さっき…どっか行っちゃいました」

《そうなんだ!わかりましたー あ、あの》

「え?」

《お2人って付き合ってるわけじゃないんですよね?》

「…はい」

《そうですか!じゃ、探してきますね ではー》


こういうときって、

付き合ってるんですか?

って聞かない?

付き合ってるわけじゃないんですよね?

ってことは…

付き合っててほしくないってことなのかな


考えすぎ?


境田さん、好きなのかな 野波のこと




…ふー 倉庫整理頑張ったー

めちゃくちゃ重かったな


いつもは野波にお願いするんだけど


〔そろそろ自立してくれよ〕

って言われたことも

ちょっと気にしてたから


あ…


野波と境田さんだ…

…近すぎない?

一つのファイルを2人で見てるから

向かい合ったらキス出来そうなくらい近い…


…あっち行ってよっと


〔あ、松野〕

話しかけられてしまった

「…な、なに」

境田さんもこっちを見てる…嫌だな…

〔倉庫整理まだだろ?手伝うから 待ってて〕

「…もう終わったから、大丈夫 ありがと」

〔え?おい…〕


2人を置いて売り場に来た

もう少しでレジだから


自然に話せたよね?


あ、少し早いけどもう交代しちゃお

「交代しまーす」

〚あれ?早くない?いいの?〛

「大丈夫ですよ 休憩どうぞー」

〚ありがとう!じゃあ行ってくるわね〛


こうして忙しくしていれば

野波のこと考えなくて済むもん


…って思ったけど、混みすぎ…!お客さんすごい並んじゃってる


レジ応援の放送が流れる


〔2人制入るぞ〕

…っ なんで…

「う、うん」

〔いらっしゃいませ、お預かりします…〕

軽快に商品をスキャンする音がする


わたしは、お会計をして…

30分経ってやっと落ち着いてきた

「そろそろ大丈夫だよ」

〔…〕

「野波?」

〔もう少し〕

「…」

なんでよ

そんなに並んでないのに


もうそろそろ、交代のパートさんが来るなぁ

〔そろそろ抜ける〕

「うん ありがとう…」


そのあと、すぐにパートさんが来て交代して

売り場も落ち着いてきたから

品出しするために倉庫に行く


ふーちょっと疲れた


あ!!これ残り少なかったんだった 早く品出ししないと


「ぎゃ」

〔おっと…何走ってんだよ 危ないだろ〕

「ごめん これ、売り場少ないから先に品出ししてこようと思って」

〔そか 気をつけろよ〕



【野波point of view】


いつも一緒に倉庫整理してたのに

今日は先に終わっていて

さっきもレジ応援に行ったら

一瞬嫌そうな顔をしたし

まだ混んでるのに、もういいよなんて言い出して


なに、話があるってやつ断ったから怒ってんの?


そういや、さっき境田さんと話してるときも

声もかけずに離れて行こうとしてたような…


なんなんだよ…


ちょっとイライラしてきた…


俺は倉庫で待ち構えることにした

捕まえて話しを聞こうと思ったから


《あ!野波さんいたー》

〔ん?あ、境田さん どうかしました?〕

《あの、今日って何か予定あります?》

〔え?いや、特にないですけど…〕

《ほんとですか?だったら食事とかどうですか?》

〔あー…ん?〕

《ん?どうしました?》

〔いや、すみません ちょっと仕事あるの思い出して ちょっと行ってきます〕

《え?あ、はい 行ってらっしゃい》




あいつ…!!!


〔おい〕

「…な、なに?」

〔話聞いてたろ〕

「なにが?何もきいてないけど…」

〔うそつけ 走っていくの見えてんだよ〕

「…」

〔なんか変だぞ?今日は…〕

「そんなことな」

こっちを向かない松野の肩を持って無理やりこっちに向かせた

〔変だって言ってんだろ…え〕

なんで…泣いてんだよ…

〔おい、どうした?〕

「…あ、これは…何でもない わたし品出しあるから」

そう言うと、走って行ってしまった


だめだ…ちゃんと話さないと…


【松野point of view】


見られちゃった…我慢してたのに

顔洗ってこよ


ふー…

赤くなってない、大丈夫…


あんなの聞いたら…泣くに決まってるじゃん


何がしばらく忙しいのよ…

境田さんとは食事に行くんじゃん…


…あーやだ

彼女でもないのに こんな嫉妬して


仕事しよ 品出ししなきゃ


…ちょっと乗せすぎたかも

カゴに入れていこう 崩れちゃいそう


《あれ?松野さん?》

「…はい?」

《探してるのは、コレですか?》

境田さんがカゴを持ってる

「あ!うん 貸してもらえますか?」

《もちろんいいですよー!その代わりと言ってはなんですがー、野波さんのことお借りしてもいいですよね?》

「…え」

耳元でそう言ってきた彼女は

わたしの返事も聞かずに

にこにこしながら去っていった


…泣かないもん


品出ししてこよ…はぁ…


売り場に行くと、野波がレジにいるのが見えた


かっこいいなぁ


あ…仕事仕事!!


{あのー…この商品はどちらにあるのかしらぁ}

「あ!そちらは…こちらです、ここの…すみません、上の方にあってわかりずらかったですね」

{あー本当だわぁ ありがとうねぇ}

「いえいえ、他にお探しのものはございますか?」

{えーっと…あっ、お豆腐はどちらだったかしら}

「はい、お豆腐はこちらですよ」

{ありがとうー助かったわぁ}

「よかったです!また何かありましたら何でも聞いてくださいね」

{そうするわね、ありがとうー}


お客様の対応を終わらせて台車に戻ると

あれ?台車がない…え?


あれ?


倉庫に戻ってみると野波がいた

〔台車放っておいて何してたんだよ〕

「え?お客様の対応してたの」

〔…そうだったのか〕

「あれ?やってくれたの?」

〔おう〕

「…ありがとう 片付けもしてくれたんだね」

〔…終わったら飯行くぞ〕

「え?」

〔話がある〕

「忙しいんでしょ?いいよ」

〔…行くんだよ わかったな?〕

「う、うん」


何よ…こわぁ…


【野波point of view】


どうせあいつのことだから

ここで待ってないと逃げ出しそうだからな…


「あ」

…ほら

〔…ぶっちしようとしてたな?〕

「…」

〔行くぞ〕

「あ、ちょっと…」


松田の腕を引いて歩く

俺の家近いから ゆっくり話すんだったらそのほうがいいだろ


「え、なんで…」

〔…入れ〕

「…お、お邪魔します」

〔座れ〕

「…うん」

〔それで?話ってなんだよ〕

「野波が話があるって言ったんじゃん」

〔その前にお前が言ってただろ〕

「…忙しいって断ってきたのそっちじゃん」

〔だからって、ずっと機嫌悪くしてんじゃねーよ〕

「別に…機嫌悪くなんてしてない」

〔泣いてたのは?何で?〕

「それは…っ」

〔それは?〕

「…」

〔…〕

「…何でもない」

〔何でもないわけないだろうが〕

「…」

〔ちゃんと言えよ〕

「…野波」

〔なんだよ〕

「…ずっと友達でいてね」

〔…へ?〕

「わたしの話は、それだけだから」

〔…〕


そう笑顔で言うと、松野は俺の部屋を出てった


…ずっと友達でいてね


そう言われるまで まったく気づいてなかった


あぁ、俺


松野が好きなんだ


【松野point of view】


これが1番いいんだ

あと3週間しかない


振られるより、ずっと友達でいてくれるなら

その方がいい


〔松野!〕

え?

「野波…何で?」

〔悪いけど…友達なんかで終わるのは嫌だ〕

「え…?」

〔俺と、付き合ってくれ〕

「ええ!?」

〔好きだ…〕

「…」

〔泣くなよ…〕

「わたしのほうが、ずっとずっと…好き、だもん」

〔…悪かった〕

「野波…」

〔付き合おう?な?〕

「うん…っ」


ーー


「ええーー!?自分の気持ちに気づいてなくて異動願い出してたの!?」

〔うるせぇな…しょうがないだろ…しばらくの辛抱だから、な?〕

「…でも、わたしもちょっと反省した」

〔え?〕

「ちゃんと、お店の人とも仲良くするし

倉庫整理とかも、ちゃんと頑張る…」

〔…仲良くしすぎるなよ…〕

「…知らなーい」

〔お前っ!!〕

「ふーんだ」

〔…あんまり、妬きもち妬かせんなよ…〕

「…野波こそ」

〔俺、なんにもしてないだろ〕

「境田さんと…近かった…もん」

〔…可愛い〕

「なっ!!」

〔俺、新しいとこ行ってもお前のこと不安にさせないから〕

「…うん」

〔一緒に住んでもいいしなぁー〕

「…えっ」

〔考えといて〕

「…うん」

〔松野〕

「ん?」


やっと 

…わたしたちの距離が、"ゼロ距離"になった



タイトル〘近いようで遠い2人の終着点〙


 

                    Fin…


こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。

再編集して投稿しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。