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読み切り短編集  作者: おしるこ


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16/61

ギャップに溺れる

《なぁなぁ、月岡さんまた告られたんだってー》

「ふーん」

《恋多き女だもんなーみんなワンチャンあると思って告って失敗してんだよな》

「ワンチャンって…失礼だろ」

《お前だってそう思うだろ?あんな美人が手の届くとこにいるんだぜ》

「お前と一緒にするなよ ほら!仕事しろ」

《へいへい あ、そうだ こっちの手伝ってくれ!このままじゃ残業なんだよー》

「しゃべってばかりいるからだろーが!」

《お願いしますっ!!高嶋さまぁ!!》

「はぁ…半分よこせ」

《助かる!俺この後合コンなんだよ!》

「…はぁ…半分だけだからな あとは自分でやれよ」

《おう!あ、これさっき買ったやつ 飲んでくれ》

「お サンキュー」

…間違えて買ったのか

ブラックの缶コーヒー

こいつは甘党だからな…




よし…終わったー定時で帰れるな

「ほい じゃーな お疲れ」

《嘘だろ!?終わったのか!?》

「あぁ」

《待ってくれ!!》

「…あとどのくらい残ってる」

《あと、このくらい…》

「お前…俺が半分片付けてる間何してたんだ…

全然終わってねぇじゃねーか!」

《すまん…莉子ちゃんの手伝ってて…えへ》

「…」

《いてぇ!!殴ることないだろ!》

俺はにやにや笑っているこいつにゲンコツを食らわした

「やっといてやる」

《へ?いいの…?》

「気が変わらないうちに帰れ」

《ありがとな!月曜日ランチ奢る!じゃお先っ!》

ひゃっほーい!なんて声を聞きながら

ため息混じりにキーボードを叩きまくる


月曜のランチねぇ…覚えてるのか?あいつは…




ふー…1時間、か

疲れたな…

〔あら?高嶋くん、残業なんてめずらしいね〕

この声は…

「あ、月岡さん お疲れさま

大下のやつなんだよ、これ」

〔頼まれちゃったのね〕

「うん 月岡さんもめずらしいね

この時間まで残ってるの」

〔んー…〕

「ん?」

〔あ、この後って時間ある?〕

「え?あ、うん、予定は何もないけど」

〔じゃあ、ご飯行こう?〕

「え、うん 飲み、じゃなくてご飯?」

〔ご飯!お腹空いちゃったぁ〕

「じゃあ、行こうか」

〔高嶋くんのおすすめにしよー!〕

月岡さんなら、俺に声なんてかけなくたって

他にいくらでも飯行く人がいるんだろうに


それでも、誘われて嬉しかった

ずっと、見てたから


【沙和point of view】


誘い方変じゃなかったかな…

うーーーー男の人なんて初めて誘ったから…


なんでか知らないけど"恋多き女"なんて呼ばれて…

どうしてこんなことになってるのか

さっぱりわからない…

好きな人に誤解されてたらどうしてくれるのよぉ…


はぁ…今日もかっこいい…

高嶋彰久くん


他の人みたいにチャラく誘ってこないし

クールでイケメンだしぃ!!!

お友達の仕事まで手伝っちゃう優しい人なんだー

あードキドキするよぉ…

ずっと見てたんだもん…


今日のミッションは…

彼女とか好きな人がいるかどうかを聞くこと!


ご飯に連れていってくれるってことは…

彼女はいない、のかな…?

彼女いてもご飯くらいなら行く人は行くかな…


うーー緊張するーーー


あ、ご飯おいしい…ほんとにお腹空いてたから…

高嶋くんのおすすめのごはん屋さんだもんね

通っちゃおうかな

今日は魚にしたけど、お肉のメニューもおいしそ…


「月岡さん?」

〔んー?〕

「…月岡さんって、表情豊かなんだね」

ふふ、と笑ってる高嶋くん…え、かわいい…

「う、あ、あの、あんまり見られると…その…」

〔あっ、ごめんね!え、表情豊かってなぁに?〕

「え?今、いろんな顔してましたよ?にこにこしたり不安そうな顔したり…おいしそうにご飯食べたり」

〔え!?う、うそ…〕

「無意識?可愛いー」

〔え〕

か、かわ…可愛いって…

「顔、真っ赤」

〔か、からかわないで…〕

「からかってないけど…てっきり、言われ慣れてるかと」

〔…〕

あ…ほら、勘違いされてる…

私、恋多き女なんかじゃないのに…

「あ、ごめん…そんな顔しないで…」

〔あ、こちらこそ…ごめんね 慣れてないの…〕

「…なんというか」

〔ん?〕

「聞いていた話と、全然違った印象だなと思って」

〔…やっぱり、ヤ〇マンとか…思ってた…?〕

あ、涙出てきた…

「ちょ!思ってないって!!あ、ハンカチ…どうぞ」

〔…あり、が…と 高嶋くんに、誤解、…されてたら、どうし、…よって…〕

「…大丈夫だから ほら、落ち着いて」

〔うぅー高嶋くん…〕

「…わかってるから」


あーー終わった…

もう無理だぁ こんな急に泣き出す女とか…

絶対めんどくさいと思ったよね…

情緒どうなってんだよ、とか思われたかな…


あーメイクもぐしゃぐしゃだよ…

高嶋くんが1人で残ってたから、もしかしたらご飯とかいけるかも!って気合い入れてメイク直したのに…


諦めたほうが…いいのかな…


【彰久point of view】


あれ、今

俺に誤解されてたらどうしようと思って、みたいなこと言ってなかった?


え?どういうこと

俺のこと、好き、とか…?

でも、そういうこと、だよな…?


ずっと好きだった子が、俺の胸の中で泣いている


「…落ち着いた?」

[ご、ごめんなさい…]

「ううん 謝らなくていいよ」

[あ、これ…私の分…おいしいお店教えてくれてありがとう ハンカチ、洗って返すから

じゃここで…]

「待って」

[え?]

「もう少しだけ、一緒にいたいんだけど」

[え…でも…]

「ゆっくり話せるところ、行こっか」

[え、あ、あの…?]

「安心して、ラブホとかじゃないから」

[…よかった…]

「俺んち、行こうか」

[え!?!?]

可愛い、今日だけでいろんな顔が見られた


この人の恋多き女、というのは間違いだということ

が分かっただけでいいと思ったけど…

この人のこんな可愛いところが他のやつらにバレる前に…

俺のものにしたくなってしまった


手、つないで黙ってついてくるところも可愛いし…

たまに上目遣いで見つめてきたりして…

あぁ!!!

俺のことどうしたいんだよ!月岡さん!


「どうぞ」

〔は、はい…〕

声が裏返ってる…本当に慣れてないんだな…

「そんなに緊張しないで?今何か飲み物…

コーヒーと紅茶があるけど、どっちがいい?」

〔あ、えっと…紅茶で…〕

「うん」


キョロキョロしてる…可愛いなぁ…

〔あ、あの、高嶋くん〕

「ん?」

〔ちょっと、顔だけ洗わせてもらってもいい?〕

「あ、じゃあさ シャワー浴びる?」

〔はぇ!?〕

「…そんなに、驚かないで…ふ」

〔も、もぉ!!!からかわないで…っ、〕

「そういう顔、他の男に見せないで」

〔え?た、高嶋…くん?〕

「好きだよ 君のことが」

〔…ぇ、〕

「俺の彼女に、なってくれませんか」

〔は、はい…〕

「うん じゃあ名前で呼んでいい?」

〔うん!〕

「沙和…」

〔うぅ、心が、ついていけないよ…〕

「ゆっくりでいいよ」

〔はい…あの…〕

「ん?」

〔私も好きです…あっくん…〕

ん゛ーーーーーー!!!!

破壊力…すげえ…


「沙和、ちょっと、俺…」

〔ん?〕

「まじで好き やべえ」

〔え?え!?〕

「シャワー浴びるよね?泊まってってほしいし」

〔ふぁい…〕

「俺の服、持ってくる ちょっと待ってて」

〔うん…〕


俺の服とタオル持たせて、浴室まで案内した

彼女がシャワーしてる間に

彼女の服を洗濯して

ベッドとか片しておこう


何かお菓子とか食べるかな

少しはあるけど…


ま、いっか もしあれだったらあとでコンビニでも…


〔あ、あの…〕

「おかえり…あれ、どうしたの?」

なんか、姿勢が…

〔あの、ブラつけてないから…〕

!!!!

「ちょ、ちょっと待ってて!!」

なんか厚めの…パーカーみたいなやつじゃないとだめか!!


「これ、着て」

〔ありがとう…〕

「もうすぐ、洗濯終わると思うから…」

〔うん!このシャンプーいい香りするね!

まねっこしちゃおうかな…〕

「沙和…」

〔んー?〕

「可愛すぎてやばいよ…ほんとにもうー」

〔え?え!?〕

「…他の人の彼女になる前にこうなれて良かった…」

〔あっくん…?〕

押し倒したくな…"ピーピーッ"

あ、鳴った

「(咳払い)わかるよね?洗濯機の場所」

〔うん!着替えてくるね!〕

「うん」

ふー…あぶないあぶない…

俺まだシャワー浴びてないし…

さすがに、まだ早すぎるか…


〔あっくん、おまたせしましたー〕

「うん じゃあ、俺も行ってくるね」

〔はーい〕


すっぴん可愛いかったなぁ…写真撮りたいくらい…


はぁ…俺の彼女が可愛いすぎる

どうしたらいいんだよ、本当に


「おまたせ…お」

寝ちゃってる

ソファで丸まっちゃって…

ベッドに運んだほうがいいかな

「よっと…」

〔ん…?〕

「ベッドに運ぶね」

〔あっくん…?〕

「ん?」

〔え!?〕

「こらこら、暴れない」

〔う…重いでしょ、降ろして…〕

「ぜーんぜん」

〔力持ちなんだねぇ〕

「普通だと思うけど…よっと、もう寝る?」

〔やだ…〕

「…かわい」

〔あっくん?〕

「あー好き」

〔ありが…んんっ〕

「好き、んん…好きだよ、沙和…」

〔ふ、ぅ…〕

「ごめんね、シャワー浴びたのに」

〔…〕

首を横に振ってる 可愛い

「…初めて?」

〔…ん〕

「…俺も」

〔え!?〕

「なに?」

〔モテるんだと思ってたから…〕

「こっちの台詞」

〔…ふふ〕

「初めて同士、ゆっくりやろっか」

〔うん…〕

「痛かったりしたら言ってね」

〔うん〕




ーーーーー


〔あっ、くん…ねぇ…〕

「んー?」

〔激しすぎ…ほんとに、初めて…?〕

「何で嘘つくのよ 初めてだって」

〔…〕

「ほんとだって!」


しばらく信じてもらえなかった…




〔あっくーん今日もお泊りしていい?〕

「もちろん」

〔コンビニ行こ!〕

「うん あ、じゃあ その前にご飯だけ食べてこようか」

〔はーい!〕


今日は朝から洗濯したり

ごろごろしたりして夕方までまったり過ごした

恋人らしくデート…とも思ったけど

沙和が動けないっていうもので…


「そんなに激しくした覚えはないんだけど…」

〔…3回もしたのに!?えっち!!〕

「…可愛いのがいけないんだろ?」

〔!!!〕


まったく…すぐ顔が真っ赤になるんだから

会社では、そんな顔見せないでくれよ…


その顔は俺だけのものなんだから




タイトル〘ギャップに溺れる〙


 

                     Fin…


こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。

再編集して投稿しております。

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