amour où je suis poursuivie.
[僕と付き合ってくれない?]
…え?
となりのクラスの田村 銀次郎くんに声をかけられて中庭に来たんだけど…
今何て言ったの…?
「あの…付き合って、って言いました?」
[ん?そうだよ 俺と付き合ってほしい!]
「あの…姉と間違えてませんか?」
[間違えてないよ 君に言ってるんだよ
七尾 小夜さん]
わたしには朝子という双子の姉がいる
顔はそっくりだけど、性格はまったく違う
同じ親に育てられているというのに
どうしてこうも陽と陰に分かれているんだろう
わたしが告白されるなんてありえない…
みんな姉を好きになるに決まっているから
[えっと…聞いてる?]
「どうして、わたしなんですか…?
あ、罰ゲームか何かですか?」
[いや?君が好きだから…としか言いようがないかな]
「…!」
[そんな顔しないで 信じてもらえないかなぁ?]
「あなたも…姉に会ったら、姉が好きになるんでしょう?」
[…ならないよ]
あぁ…この人も同じことを言うんだ
顔だけは姉と似ているせいで
何回か告白されたことはある
…でも、みんな結局は姉が好きだって…
この人も、きっとそうなるんだ…
[何か良からぬこと考えてない?
あのさ、今までの人がどうだったかは…
なんとなく今のリアクションで想像はついたよ
だけど、一回 とりあえず少しだけでもいいから
付き合ってもらえない?俺のこと知ってよ]
「…いいですよ」
[良かった!じゃあ…よろしくね 小夜ちゃん]
「銀次郎さん…はちょっと長いから銀さんって呼ぶね
よろしくお願いします…」
この人は何日もつかなぁ…
なんて、ぼーっと考えていた
人気だもん いつも周りに女の子もいるし…
[小夜ちゃん!帰ろう!]
「え?あ、うん…」
[ねぇ、土曜日空いてる?]
「うん」
[じゃあ、でかけようよ!]
「どこに…?」
[うーん、小夜ちゃん趣味とかある?]
「えっと…本読んだり…映画とか…」
[映画いいじゃん!じゃあさ、朝から待ち合わせして、映画見たあとにご飯食べようよ]
「うん…でも、銀さんはそれでいいの…?」
[もちろん!僕も映画好きなんだー
本…はそんなに読まないけど…]
「ふふ…じゃ、土曜日はそれで…」
[うん!あ!そうそう Rile交換しよ!送っていいでしょ?]
「あ、うん…もちろ…」
〔あれぇー?小夜!〕
「!!」
姉が声をかけてきた
〔銀ちゃんと一緒なのー?〕
「え? 銀、ちゃん…?」
[付き合ってるからね 僕たち]
〔えー!いつの間に!?小夜と付き合ってるなら、あたしとも仲良くしてよぉ〕
あ、まただ…
こうやって、さりげなく腕を絡ませて
ボディタッチするんだよね
銀さんも、きっと…
[悪いけどさ]
〔え〕
[僕は小夜ちゃんと付き合ってるけど、君とは付き合ってないし お姉さんだからって仲良くなんかしないよ 小夜ちゃん、行こう]
「え?あ…」
あれ…
絡まれた腕をサッと解くと、その手でわたしの手を掴んで歩き出してしまった
うわぁ…こっち睨んでる…
家に帰るの嫌だなぁ…
両親は姉の味方…というか、姉のことしか興味がないから
はぁ…
っていうか、
わたしから奪っていった彼たちがいたはずなのに…
その人たちはどうしたんだろう…
またわたしから奪おうとするの?
【朝子point of view】
はぁ!?むかつく…っ
小夜に彼氏なんか百年早いんだっつーの!
よりにも寄って 田村 銀次郎なんて…
くっついても話しかけても全然靡かない
この、あたしがくっついてるのに!
こんな男初めてだった
ふーん…おもしろいじゃん
絶対奪ってやる…
「ただいま…」
〔ねぇ、小夜ー〕
「…何」
〔銀ちゃんのRile教えてよ〕
「え!?」
〔どうせ遅かれ早かれ、あたしのものになるんだからさ〕
「嫌」
〔はぁ!?〕
「あたしのものになるっていう自信があるなら、
自分で聞いて いつも、わたしの彼氏奪っていくのにそこまですることないじゃない」
〔ふーん…じゃあ、銀ちゃんに明日聞きに行こーっと それは文句ないんでしょ?〕
「…うん」
はぁ…ま、いいや どーせあたしを選ぶに決まってるんだし
あんまり小夜のこと虐めたらカワイソーよねぇ
あ、いたいた
小夜より早く出てきたから時間あるわよね
〔いたいた!銀ちゃーん!〕
[…何]
〔あたしにもRile教えてよぉー〕
[嫌だよ]
〔え?〕
[あのさ…わざわざ妹の彼氏に手ー出さないと彼氏出来ないの?僕なんかより、他にたくさんいるでしょ
あんたの周りにいる男たちとか、
今まで小夜ちゃんから奪ったお下がりとかさぁ…]
〔お、お下がり…ですって…?〕
[そうじゃないか 元々は小夜ちゃんを好きになった奴らだろ?お下がり以外の何物でもないよね]
〔はぁ!?何であんたにそこまで言われなきゃいけないのよ!!〕
[ふっ…いつもカワイコぶってんのに…すごい顔してるよ?
周りの奴ら引いてるけど、大丈夫そう?]
〔っ…この…〕
[あ!小夜ちゃーーん!!]
〔あ!?待ちなさいよ!〕
何なの…あの男…
あたしが、小夜のお下がりしか彼氏に出来ないですって!?
…うっざ
小夜なんかよりいい男作れるに決まってんじゃん
後から泣きついてきたってこっ酷く振ってやるんだから!!覚えてなさいよっ!!
【小夜point of view】
[あ!小夜ちゃーーん!!]
「銀さん…おはよう」
[おはよ!待ってたよー行こ!]
「あ、うん…」
[今日遅かったね?]
「ん?うん 片付けしてから来たからー」
[そっか!小夜ちゃん、お昼何ー?]
「今日は学食だよ」
[じゃあ、一緒に行こうよ!
あ、友達と行く?]
「ううん、友達はお弁当だから…」
[よし!じゃあ迎えに行くから あとでねー!]
そう言うと銀さんはとなりのクラスに入っていった
そういえば…同じクラスになったこと…ないよね
なんで、好きになってくれたんだろ…?
授業の合間の10分休憩にはRileもくれるし…
結構、構ってくれるタイプなんだなぁ…
"次体育だから、Rileできないや 次はお昼だね
楽しみにしてるから"
"うん、わかった!頑張ってね!
お昼待ってるね!"
ボーッと外を見ていると、あ…銀さんだ
周りに女の子がいるけど
あれ?…なんか様子が…
目つき、悪い…?
あれ?銀さん、だよね?
しばらく眺めてると、わたしに気づいた銀さんは
大きく手を振っていて
いつもの優しい顔になってた…
見てはいけないもの、見ちゃったのかな…
チャイムがなったから、
わたしも手を振り返して、席に戻った
[小夜ちゃーん、ご飯行こ!]
「うん…」
[あれ?どうしたの?元気ない?]
「あ、ううん!お腹すいちゃって」
[じゃあ、早く行こ!]
さっきの…気になっちゃってるけど、
どうやって切り出そうかなぁ
[小夜ちゃん、何にしたの?]
「わたし、冷やしたぬきうどんにしたよ!」
[さっぱり系だね 僕、唐揚げ丼にしたー
唐揚げ1個あげる!]
「え!そんな…悪いよ…」
[いいのいいの!おいしいの共有したいじゃん!]
「じゃ、うどん…少し食べる?」
[いいの!?]
「もちろん!どうぞー」
[ありがと!あ、うまー体育の後だからしみるー]
「しみたの?ふふ よかったー」
[はい、あーん]
「え?」
[からあげ!あーん]
「…ぱくっ ありがと…」
恥ずかしい…
〈ねぇー!銀ちゃん!あたしたちにもやってよー〉
うわっ誰だろう、お友達かな…
[は?]
え…?銀さんから、聞いたことない低音が…空耳?
〈…っ あ、あれ…?銀、ちゃん?〉
[邪魔しないでくれる?]
〈…ご、ごめん…〉
空耳じゃなかった!!!女の子たちは走って行ってしまった
[ごめんねぇ?小夜ちゃん]
「あ、ううん…」
[食べ終わったら、教室行こっか!]
「うん…」
にこにこしてる…
わたしに見せる顔と、他の子に見せる顔…違うってこと…?
[ふーっ おいしかったぁ!]
「うん!おいしかったね…」
[どうしたの?なんか、元気ないね?]
「あ、さっき…声が…その」
[っ、怖かった!?ごめんね!!]
「あ、えっと、わたしは怖くなかったよ?
でも、言われた子たちは怖かったかも…」
[うーん でもー]
「ん?」
[小夜ちゃんにしか興味ないからさ]
「…!」
[わぁ、顔真っ赤で可愛い!]
「ぎ、銀さん…照れるから、だめ…」
[もっと見せてね!僕、小夜ちゃんがいてくれるだけでいいから!]
「銀さん…」
この人、もしかして…
わたしのこと、めちゃくちゃ好きなの…?
それは、すぐに思い知らされることになるーー
「銀さんっ!?今なんて…?」
[えー?だめ?]
「だめ…ではない、けど…」
[GPSだってば!このアプリ入れて?
あと、この指輪つけて!
学校にいる間はこれ、ネックレスも用意してあるから!クラス違うから心配なんだもん…いいでしょ?]
「…は、はい…っ」
[よかった!小夜ちゃん、好きだよ…]
「…うぅ…照れるよ…」
このデレデレ甘々彼氏に早く慣れないと…
心臓が…もたないよ…!
ーー
「そういえば、どうしてわたしのことを好きになってくれたの?」
[あれ?話さなかったっけ?
2年の終わり頃に僕が昇降口で友達を待ってたらさ
君がお姉さんと2人で歩いてるのを見てね
一目惚れしちゃったんだ!]
「姉、じゃなくて?」
[小夜ちゃんだよ お姉さんと全然違うもん]
「そう?みんな間違えるよ?」
[目が違う お姉さんの目は冷たいから
笑っていても…ね 僕に似てるからわかるよ]
「銀さんはいつもにこにこしてるじゃない」
[それは小夜ちゃんの前だからだよ]
ふっ、て笑った顔は
本当ににこにこしていて
他の女の子たちに見せる顔とは違うの
わたしだけに見せてくれる、彼の顔
優しい目つきも、口調も、
その性格も…好きになっちゃいそうだよ
銀さん…
「僕、こんなに小夜ちゃんのことが好きなんだもん ずっとそばにいさせて」
タイトル〘amour où je suis poursuivie〙
訳:追われる恋
Fin…
こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。
再編集して投稿しております。




