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召喚少女! ~少女たちと召喚士が紡ぐ、カードと絆の物語~  作者: 和泉きよ


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037.もう一度会いたい

翌朝。


ミナは、いつもより早く目を覚ました。


隣のベッドを見る。

そこには誰もいない。


「……」


昨日のことを思い出す。


リリと別々に過ごした時間。


交わした短い言葉。


そして、最後に見た寂しそうな背中。


ミナは胸の奥に重たいものを感じた。


「……リリちゃん」


名前を呼んでも、返事はない。


ミナはベッドから立ち上がった。


「昨日のこと……ちゃんと話さないと」


リリが怒っていたわけではない。


嫌われたとも限らない。


それでも。


このまま何も言わずに離れてしまうのは嫌だった。


ミナは急いで宿を出た。


町の中を歩きながら、リリを探す。


昨日二人で歩いた道。


一緒に立ち寄った店。


町の広場。


けれど、どこにも姿はなかった。


「リリちゃん……?」


何度名前を呼んでも、返事はない。


町の外れまで来たところで、ミナは立ち止まった。


「……どこに行ったんだろう」


近くにいた町の人に尋ねてみる。


「すみません。昨日、一緒にいた女の子を見ませんでしたか?」


「女の子?」


「ピンク色の髪で、小柄な子です」


「うーん……」


町の人は少し考える。


「そういえば、昨日の夕方に町の外へ向かっていた子なら見たよ」


「町の外……?」


「うん。何か急いでいるようには見えなかったけどね」


「ありがとうございます!」


ミナは頭を下げると、すぐに町の外へ向かった。


街道を歩く。

周囲を見回す。


けれど、リリの姿は見えない。


「……」


ミナは足を止めた。


昨日、自分が言ったことを思い出す。


『ごめんね』


『私、いっぱい話しちゃったから』


そして、リリの言葉。


『少し一人で歩きたい』


「……私のせいかな」


そんな考えが浮かんだ。


けれど、すぐに首を横に振る。


「違う」


リリはそんな簡単にいなくなるような子じゃない。


そう思いたかった。


ミナはさらに歩いた。


途中で小さな橋を見つける。

橋のたもとに腰を下ろし、川の流れを見つめた。


「……」


ここまで来ても、リリはいない。


ミナは自分の手を見つめた。


「私……何をしてるんだろう」


家を出たときは、一人になりたかった。


誰にも心配をかけたくなかった。


自分の弱さを見られたくなかった。


だから、「修行に行く」と嘘をついた。


けれど。


一人になって分かった。


「……一人って、こんなに寂しいんだ」


ミナは小さく呟いた。


リリと出会ってからのことを思い出す。


一緒に歩いたこと。


一緒に人を助けたこと。


くだらない話で笑ったこと。


夜に未来の話をしたこと。


そして――。


『ミナと出会えてよかった』


あの言葉。


「……私もだよ」


ミナの目に涙が浮かぶ。


「私も……リリちゃんと出会えてよかった」


だからこそ。


「もう一度、話したい」


昨日は、うまく話せなかった。


自分の気持ちを伝えただけで、リリとの距離が離れてしまった気がした。


でも。


だからといって、このまま終わりにしたくない。


「……ちゃんと謝りたい」


ミナは立ち上がった。


「それから……ありがとうって言いたい」


リリを探そう。


今度は、自分から。


そう決めた。


ミナは再び街道を歩き始めた。


しばらく進むと、道端に小さな花が咲いているのが目に入った。


以前、リリが好きだと言っていた花だった。


「……リリちゃん」


ミナは花を見つめる。


「どこにいるの?」


答えはない。


それでも、歩みを止めなかった。


夕方になっても、リリは見つからない。


ミナは町へ戻った。


宿の前に立ち、周囲を見回す。


やはり、いない。


「……」


胸の奥に、不安が広がっていく。


もしかしたら。

リリは、もうどこかへ行ってしまったのではないか。


そう思った瞬間。


「……嫌だ」


ミナは首を横に振った。


「そんなの……嫌」


せっかく出会えた。

せっかく一緒に笑えるようになった。


それなのに。

また一人になるなんて。


「……リリちゃん」


ミナは両手を胸の前で握った。


「お願いだから……」


涙が頬を伝う。


「もう一度、会わせて」


その夜。


ミナは眠れなかった。


ベッドに横になっても、リリのことばかり考えてしまう。


どこにいるのだろう。


無事なのだろうか。


今、何をしているのだろう。


そして。


――自分のことを、どう思っているのだろう。


「……」


ミナは目を閉じる。


すると、リリの笑顔が浮かんだ。


「えへへ」


「ミナと一緒だと楽しい!」


そんな声まで聞こえてくるようだった。


「……私も楽しかったよ」


ミナは小さく呟いた。


「だから……帰ってきて」


もちろん、返事はない。


それでも。


ミナは決めた。


明日も探す。


見つかるまで探す。


そして、ちゃんと話す。


「……リリちゃん」


ミナは静かに目を開けた。


「今度は、私から会いに行くから」


一方その頃。


ミナの知らない場所で。


リリもまた、ある決意を胸にしていた。


その行き先が、二人の運命を大きく動かすことになるとは。


このときのミナは、まだ知らなかった。


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