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78. 文化祭準備 中編 ~みんな気づいている~ (挿絵)

ガラッ、とドアが勢いよく開く。


「お、やったー。やっぱ如月さん来てるじゃん」


「マジかよ。まーた松前か」


「松前がまた如月さん独占してんのか」


 ぞろぞろと戻ってきたクラスメイトたちが、面白がるように声を上げる。

 視線が一斉にこちらへ向き、空気が軽くざわついた。


「独占とかじゃない……」


 マサキは即座に否定するが、声がわずかに裏返る。

 自分でも分かるくらい、余計に必死に聞こえた。


「如月さん、いい加減乗り換えてよ」


「そうそう、そろそろ選び直そうぜ?」


 茶化しがさらに重なる。

 囲むように広がる男子たちのノリに、リサが少しだけ困ったように笑った。


「やめてよー、あたしそんな尻軽じゃないってば」


 その一言に、マサキは一瞬だけ固まる。


(その言い方は誤解されるだろ……)


 だが周囲はそれを冗談として流し、笑い声に変えてしまう。


「じゃあ松前じゃなくてオレと付き合おうよ」


「いやいやオレだって」


「むしろオレの方が先だろ」


 軽いノリが教室を満たす。

 その中心で、リサは困ったまま笑っているだけだった。

 マサキは一歩だけ前に出る。


「池沢は」


 空気を切るように、話題をずらした。


「先に戻ってるはずだけど」


「戻って来ないよ。池沢くんはあたしとグループ交代したから」


 リサがさらっと言う。

 その瞬間、マサキの思考が一瞬止まった。


(いつの間に……)


 納得するようで、納得しきれない違和感だけが残る。

 だがクラスの空気はすぐに切り替わった。


「え、如月さんこっちになったの?ラッキー」


「ここ男ばっかだからさ、マジ助かる!」


「いや普通に戦力だろ」


 軽い歓声のような声が広がる。

 その中で、マサキだけが一瞬だけ遅れているような感覚になる。


(オレの知らないところで、2人が……)


 そんな考えが、胸の奥に引っかかったまま残った。


「如月、なんでこっちに来た?力仕事だけど平気か?」


 マサキが何気なく聞く。

 するとすぐ横から、男子が一人、軽く肩をすくめながら口を挟んだ。


「バカか松前、お前がこっちにいるからだろ」


 一瞬、場の空気が止まる。

 笑いかけていた周囲の空気が、その言葉だけでわずかに形を変えた。


「……」


 マサキはすぐには返さなかった。


(オレがいるから……?)


 さっきのホームルームの光景が、頭の奥で重なる。

 装飾側にいたリサ。

 こっちを見た一瞬の間。

 迷ったような視線。

 そして、最終的に残った選択。


 ――考えかけて、そこで止める。

 これ以上つなげると、余計なものまで見える気がした。

 マサキは短く息を吐いて、目をそらした。


「……そういう話じゃない」


 それだけ言って、会話を切る。

 リサは慌てたように目をそらしながら、言葉を探す。


「池沢くんがあんま美術好きじゃないから、木だけ切ったら抜けたかったんだって」


 リサはそこで一度言葉を切って、小さく付け足すように続けた。


「あと…装飾も高いとこに飾り付けするのに、女の子ばっかじゃキツイって途中で気づいたんだよね」


 説明としては筋が通っている。

 ただ、それ以上の意味は隠されていた。


「オレ聞いてない」


 静かにマサキが言う。

 その一言に、リサは少しだけ肩をすくめた。


「いやだって、松前くんに言うとダメって言うから」


「……あー」


 納得してしまう自分が悔しい。

 確かにそうだ。

 男ばかりの班にリサを入れるなんて、もし相談されていたら止めていた。

 でも、それとは別に。


(池沢と、2人で決めたのか……)


 その事実だけが、どうしても引っかかる。

 理由がどうであれ、"自分抜きで決まっていた"という形が残る。

 リサはそのまま、少しだけ声を落とした。


「あの、あたし……ちゃんと真面目にやるよ?邪魔しないからぁ」


 控えめな上目遣い。

 不安そうにこちらを見るその顔は、妙に守りたくなる形だった。


(こういう表情に男は弱いって分かっててやってる)


 そう思ってしまうのに。

 普通に効く。

 胸の奥が一瞬だけ揺れる。


「分かったから」


 マサキは目をそらして言った。


「じゃあジャージに着替えてきてくれない?こっち男ばっかりだから」


 言ってから、少しだけ後悔する。

 守りたいのか。

 それとも、余計な視線から遠ざけたいのか。

 自分でも区別がつかない。


「うんっ、わかった」


 リサはぱっと顔を明るくする。


「すぐ戻るね!」


 そのまま軽く手を振って、女子更衣室へ駆けていく。

 動きに合わせて髪が揺れ、教室の空気が一瞬だけ柔らかくなる。


「かわいー……」


 誰かが小さく漏らした。

 残されたマサキは、その声を聞き流すように立っていた。

 そのときだった。


「松前くん」


 低い声。

 肩を、強く掴まれる。

 振り向く前から分かる。

 空気の温度が、さっきまでと違う。


「話があんだけど」


 抑えたような声の奥に、明らかな圧があった。


 ◇


 教室の空気は、いつの間にか別の熱を帯びていた。

 文化祭準備の話題から流れた雑談は、気づけばひとつの方向へと向かっていく。


「怪しいとかそういうんじゃねーんだよ。完璧デキてるだろ、如月さんと」


 笑顔と上辺だけの言葉のようでいて、どこか確信めいた声だった。


「デキてるって何が」


 マサキは反射的に聞き返す。

 意味が分からないというより、その言葉の温度が理解できない。


「だーかーら!如月さんと付き合ってるだろ」


 一気に飛んだ結論に、教室の数人が笑い声を漏らした。


「付き合ってない、フツーに友達」


 マサキは即座に否定する。

 本当にそれ以上でも以下でもない。

 そのはずだ、と自分の中でも繰り返す。

 だが、空気はそれで終わらなかった。


「でもさ、如月さんは間違いなく松前のこと好きだろ」


「は?」


 今度は別方向から、何の前触れもない爆弾が落ちる。


「そーだよ。どうすんだよ、あれ」


「松前と話してる時の如月さん、マジでかわいいよな」


 次々と、勝手な観測が積み上がっていく。

 根拠というより"印象"の寄せ集めのような言葉だった。


(いや、待て……なんでそうなる)


 マサキの思考だけが、置いていかれていく。


「いや、待て……誤解してる。如月がオレを好きなわけないだろ。相手モデルだぞ」


 必死に現実へ引き戻そうとする。

 自分の言葉が一番現実的なはずだった。

 だが、誰もそこには乗ってこない。


「お前なー、それ本気で言ってるなら鈍すぎだぞ」


「松前と一緒にいる時だけめちゃくちゃ笑うから可愛いんだよ」


「オレらとは話しづらいみたいな空気出してるもんな」


「松前の気を引きたくて仕方ない行動がさ、かわいすぎるんだよなー」


 どんどん"解釈"が積み上がっていく。

 会話というより、共通認識の上書き作業だった。


(なんで全員、同じ方向に行くんだ……)


 マサキは言葉を探すが、適切な反論が見つからない。


「いや、でも……好きとか言われたことないし……」


 絞り出すような否定。


「お前がはぐらかして逃げ続けるから、如月さんも決心がつかないんだよ」


 別の生徒が当然のように言う。


(だから、そんな男らしくないオレを如月が好きになるわけないだろ)


 心の中で反射的に否定する。

 そのとき、ふと別の違和感が浮かんだ。


「あ、でも最近…如月は池沢といい感じなんじゃないのか」


 静かに漏れた言葉は、自分でも確信があったわけじゃない。

 ただ、今日までの流れがそう見えただけだ。

 だが——


「はぁ?池沢??それはねーよ」


「うん、絶対にない」


「お前の目は節穴か」


 一斉に否定が返ってくる。

 あまりにも揃いすぎていて、逆に不自然だった。


(なんで全員一致なんだ……今日だって2人で、オレの知らないところで……)


 考えれば考えるほど、輪郭の分からない違和感だけが残る。


「松前ってとことん鈍感なんだな」


「如月さん可哀想だわ……」


 同情なのか呆れなのか分からない視線が向けられる。

 マサキは何か言い返そうとして、口を開きかけた。

 その瞬間だった。

 教室のドアが、ガラッと勢いよく開く。


 ◇


 その音に、空気が一瞬だけ跳ねる。


「お待たせー」


 ジャージ姿のリサが、何事もなかったように入ってくる。

 その一言だけで、それまでざわついていた教室が不自然なほど静かになった。


(……なんなん?)


 リサは小さく首をかしげる。

 空気の変化には気づいているはずなのに、あえて深く踏み込まないまま教室を見回した。

 目が自然とマサキに向かう。


「お、おかえり……」


 マサキが少し遅れて返すと、リサはふっと表情をゆるめた。


「ただいまー」


 その声は、さっきより少しだけ柔らかい。

 沈黙が続く中、空気を読まない男子がぽつりと呟く。


「如月さん、ジャージも可愛いよね」


 その一言で、固まっていた空気がわずかにほぐれる。


「ありがとー」


 リサは軽く返す。

 誰に対しても同じ、柔らかくて距離のある笑顔だった。


 ――ただし、それはすぐに切り替わる。

 次の瞬間、リサは目を変えた。


「松前くん、あたし何したらいいー?」


 声のトーンがわずかに上がる。

 さっきまでの"全体に向けた顔"ではなく、明確に一人へ向いた声だった。

 周囲が一瞬だけ固まる。


「え……じゃ、下書きやってもらおうかな」


 マサキが少し遅れて答えると、


「はーい」


 即答だった。

 しかも、どこか嬉しそうですらある。


(……なんだこの切り替え)


 さっきまで誰にでも同じように笑っていたはずのリサが、マサキの言葉にだけ反応速度が違う。

 そのままリサは机へ向かおうとするが、ふと足を止めた。


「松前くんは何するの?」


「オレは研磨……」


「え、じゃああたしも研磨する」


 当然のように横に並ぶ。

 その距離は、明らかに他の誰とも違った。


「力いるから疲れるぞ」


 マサキが少しだけ気遣うと、


「できるよー」


 リサは軽く笑って返し、何でもないことみたいに肩をすくめた。

 そのまま、当然のように横に立ち続ける。


 その様子を、少し離れた場所にいたクラスメイトたちが眺めていた。

 目だけが密かに交わされる。

 言葉にはしない。

 でも全員が、同じことを思っていた。


(((松前……鈍すぎる)))


 男子たちは目だけをわずかに交わしながら、言葉にしないまま同じ方向へと空気を寄せていく。

 そして、その流れのまま——


「そうだ、やってもらおう研磨」


 だが、その声には妙に軽い含みが混じっていた。


「いいな、研磨」


 賛同する声に合わせて、クラスメイトたちの目が一斉にリサへ向く。

 そこには作業の割り振りというより、"口実ができた"という空気があった。

 数人の男子は口元をゆるめたまま、わずかに目を細めている。

 冗談めかした笑いの形をしているが、その目だけはやけにじっとしていて、どこか品のない熱を帯びていた。


 リサはその空気を気にした様子もなく、ただ当たり前のようにマサキへ目を向けると、そのまま一歩、二歩と自然に距離を詰める。

 何の迷いもなくマサキの隣へ歩き、作業しやすい位置にしゃがみ込んだ。

 その動作に合わせて、男子たちの目がわずかに動く。

 笑っているのに目だけが笑っていない、そんな歪んだ見方だった。

 リサはそれに気づかないまま、当然のように手を動かし始める。


 ◇   ◇


挿絵(By みてみん)


「んしょ」


 作業が研磨に変わり、リサは木の板のバリをとるため、床に手をつきサンドペーパーを一生懸命に擦っていた。

 しゃっ、しゃっ、と軽快な音が教室に響く。

 動きに合わせて『たゆんたゆん』とリサの豊満な胸が、作業のたびに揺れる。


「ちょっ」


 マサキは思わず焦って声を漏らす。


(む、胸が……)


「え、えっろ……」


「あれ、ヤバいよなぁ」


 とマサキのクラスメイトが口々に言う。


(これが目的か……)


 マサキはそこで気づいた。

 リサはマサキに頑張っているところを見せたい分だけ、ここでは普段より無防備になる。

 それを全員が分かっていて、研磨を割り当てたのだ。

 クラスメイトたちはリサの激しく揺れる胸を楽しみながら、作業の手だけは適当に動かしていた。


「き、如月さん…この辺をもう少し…」


 男子生徒がわざと板の中央に研磨剤を垂らした。

 リサからは少し遠い位置だ。


「うん」


 リサは素直に返事をして、身体をぐっと乗り出すようにして手を伸ばす。


「「「おおっ」」」


 男子生徒たちはリサを一斉に見ている。

 身を乗り出した拍子に上体が前へ傾き、リサの大きな胸が重力に逆らえず、Tシャツの首元をわずかにはだけさせた。

 男子生徒たちは生唾を飲む。

 Tシャツの隙間から覗く谷間には豊満な脂肪が詰まり、動くたびに柔らかそうに揺れる。

 オレンジにピンクのラインがあしらわれたシンプルながら可愛いブラジャーがちらちらと見え隠れしていた。


(松前くんの役に立たないと…)


 力のないリサは身体全体を使って力をかけ、必死にサンドペーパーをこすり付ける。

 胸が大きく揺れる。


(如月っ、それは無防備すぎる!)


「「「うおおっ」」」


 小さな歓声が上がる。

 それに気づいたリサは顔を上げた。


「ん?ちょっと何?みんな手止めて…」


 と彼らの目が自分に集中していることにようやく気づいた。

 リサは自分の身体を見返した。


「やっ!」


 とっさに起き上がって隠すがもう遅い。


「きゃあああーっ!どこ見てんのバカ変態!わーん、松前くーん!」


 涙目でマサキに抱きつく。


「わっ」


 リサがマサキの身体に飛び込み、ぎゅっと押しつけてくる。

 その柔らかい感触に、クラスメイトたちは羨ましそうにマサキを見た。


(これは役得…)


 グイグイと押し付けてくるリサに、マサキは困惑しながらも感触を意識しながら耐えていた。


(松前の奴!このやろう!!)


(自分だけいい思いしやがって!)


「如月さん!松前もめちゃくちゃ見てたって!」


 図星のマサキはぎくっとした。

 言い訳をしようと口をぱくぱくさせるが、リサはマサキにぴったりくっついたまま動かない。


 ◇


 教室の隅では、リサが一人、床に膝をついて作業をしていた。

 A4サイズの見本を手元に置きながら、それを拡大して描き写している。

 正面には壁。

 背中側に教室の空間が広がる位置を選び、自然と男子たちの目から距離を取る形になっていた。


 窓際から差し込む光が、横顔をやわらかく照らしている。

 その姿は、騒がしい文化祭準備の空気の中でも浮いて見えた。

 可愛らしい顔立ちに、真剣な表情が重なる。

 普段は明るく人懐っこい印象が強いのに、今はどこか大人びて見えるのが不思議だった。


 リサは見本と板を交互に見ながら、鉛筆を走らせている。

 床に置かれた板の上を、線が少しずつ伸びていく。


『下書き頼む』


 マサキにそう言われて引き受けた作業を、黙々と続けていた。


(こういうのは、嫌いじゃないんだけど)


 リサは内心でそう思う。

 絵を描くのは昔から好きだった。

 図案を拡大して再構成するのも、むしろ得意な部類だ。

 最初の指示は的確だった、と今なら分かる。

 だから本来なら、集中して楽しくやれるはずだった。

 それなのに。


(あー、もう。これだから男は…)


 リサは小さく唇を尖らせる。

 床に膝をついたまま、姿勢を変えずに手だけを動かし続ける。

 線はむしろさっきより安定しているくらいだった。


(人がちゃんとやってるのに、変なことばっかり考えて……)


 思い出すたびに、わずかに頬が熱を持つ。

 怒りというより、呆れと照れが混ざったような感情だった。


「……ほんと、何あれ」


 ぼそりと漏れた声は、教室のざわめきにすぐ溶けていった。

 それでもリサの手元は正確だった。

 線はぶれず、迷いもない。


 ──ただ、その集中の奥で、さっきからずっと引っかかっているものがあった。


(他の男子は、普通に見てくるのに)


 ちらりと視界の端に、騒がしい男子たちが映る。

 冗談混じりに茶化したり、わざと目を向けてきたりする。

 それはそれで腹が立つし、普通に嫌だ。

 問題は、もう一人。


(……松前くん)


 彼だけが違う。

 見ているのか見ていないのか分からない。

 わざと避けているようにも見えるし、興味がないようにも見える。

 さっきから、その曖昧さだけが妙に目につく。


 胸の奥に、小さな不安が刺さる。

 他の男子にどう思われるかは正直どうでもいい。

 むしろどうでもいいはずだった。

 でもマサキだけは違う。

 "見てるのに分からない"という状態が、一番気持ち悪い。


(……あたし、そんなに魅力ない?)


 その考えが一瞬よぎってしまう。

 すぐに否定する。

 でも完全には消えない。

 むしろ残るのは、その一点だけだった。


 リサは小さく息を吐いて、鉛筆を握り直す。


「……何なんだろ、ほんと」


 今度の声は、さっきより少しだけ低かった。


 背中越しに、クラスメイトたちの小声が聞こえた。


「なあ、松前」


 男子の一人が、ひそひそ声で話しかける。


「如月さんにさ、ちょっと休憩しようって言ってこいよ」


 マサキは一度、手元のサンドペーパーから手を離した。

 眉がわずかに寄る。


「……まだ怒ってる」


 短く、それだけ答える。


「だから頼んでんだって」


「そこをなんとか」


「せっかくこっち来てくれてんだし」


「如月さん、1人にしとくのもあれだろ?」


 矢継ぎ早に言われて、マサキは言葉を探す。


(いや、オレも気まずいんだけど……)


 そう思っても、口には出ない。

 放っておくのも違う気がした。

 あのまま一人にしておくのは、なんとなく落ち着かない。


 息をひとつついて、マサキは立ち上がる。

 しぶしぶ、という言葉が一番近い足取りで、教室の隅へ向かった。


 リサの背中が見える。

 作業に集中しているせいか、こちらに気づいていない。

 その横顔は、やっぱり整っていて。

 黙っていると、可愛いという言葉が先に浮かんでしまう。

 マサキは一瞬だけ間を置いてから、声をかけた。


「……如月」


 その一言に、リサの肩が小さく跳ねる。

 ぱっと反応して、ゆっくりと顔だけがこちらに向く。

 ほんの一瞬、手が止まる。


 マサキの声だ。

 呼ばれたのはそれだけなのに、胸の奥が妙に軽く跳ねる。


「……なに?」


 声は平静を装っているが、目だけが少しだけ明るくなる。

 それは"呼ばれたこと自体が少し嬉しい"反応だった。

挿絵はAI生成。

SDで生成、GPTで編集しています。

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