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距離感ゼロの如月さんと自己評価ゼロのオレ  作者: 空色いろはに
球技大会 編

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13/110

球技大会 前日 ~ちゃんと聞いてほしい2~'

「……オレは別のとこ回るから」


 静かな声。

 リサの思考が、一瞬止まる。


「え?」


「これオレの作業だから。如月さんの分はオレがやっとく」


 それだけ言う。

 リサは、その場に立ったまま動けなくなる。

 さっきまで浮かんでいたイメージが、音を立てて崩れる。


「……一緒じゃないの?」


 思わず、こぼれる。

 マサキは一瞬だけ間を置く。


「如月さんの仕事が残っちゃうから」


 言っていることは分かる。

 おかしくない。

 むしろ、ちゃんと考えてくれている。

 でも、それとがっかりすることは別だった。


「……そっか」


 小さく頷くしかない。

 拒まれたわけじゃない。

 分かっている。

 ただ、自分だけが少し浮かれていたみたいで、恥ずかしかった。


 マサキはそれを確認すると、前を向いたまま続ける。


「終わったら戻る」


 短く、それだけ。


「……うん」


 返事は、少しだけ弱い。


 マサキはそのまま背を向ける。

 足音が廊下に響いて、遠ざかっていく。

 やがて、完全に聞こえなくなる。


 静寂。


 リサはしばらく入口のほうを見たまま、動かなかった。


(……一緒じゃないんだ)


 さっきまでの空気が、少しずつ冷めていく。

 でも、


(戻るって言ってたし)


 小さく息を吐く。

 気持ちを切り替えるように、用紙を取り出す。


「やるか」


 ひとり、呟く。


 段ボールを開けて、中身を確認する。

 ボール、ビブス、コーン。

 蛍光灯の音と、自分の動く気配だけがやけに響く。


 淡々とした作業の中で、ふと手が止まる。

 入口のほうを見る。

 誰もいない。


(……まだかな)


 また作業に戻る。

 でも、さっきより少しだけ手が遅い。

 耳が、無意識に外の音を探していた。


 ◇   ◇


 廊下を歩きながら、マサキは小さく息を吐く。


(……だる)


 ポケットに手を突っ込んだまま、足だけが前に進む。

 頭の中では、さっきのやり取りが繰り返されていた。


『勘違いするヤツ、いるだろ』


『誰が?』


『……オレとか』


 あのあと。


『いいよー』


 軽い声。

 何でもないみたいに、あっさり言った。


(……なんだよ、それ)


 どう考えても、深い意味なんてない。

 あれは、気まずくならないように流しただけだ。

 体育館で囲まれていたところを抜け出せたから、少し気が緩んだだけ。


 ああいうのは、陽キャ特有のノリだ。

 距離が近くて、人懐っこくて、誰にでも自然にああいうことを言えるタイプ。


(オレ相手に言う意味なんて、ないだろ)


 そう結論づける。

 なのに。


(……いや)


 思考が、そこで止まる。

 ほんの一瞬だけ、別の可能性が浮かぶ。


(ワンチャン……あるのか?)


 浮かんだ瞬間、すぐに顔をしかめた。

 ないだろ。

 何を期待しているんだと思う。

 目立って、可愛くて、放っておいても周りに人が集まるような子。

 自分に向けられたものだなんて、都合よく受け取りすぎている。


 歩く速度が少し速くなる。

 歩きながら、小さく舌打ちしそうになるのをこらえる。


(なに期待してんだよ、きも)


 自分で自分に引く。

 そう、どう考えても違う。

 相手は、あの子だ。

 自分とは立っている場所が違う。

 男子なんか、いくらでも寄ってくる。

 実際、さっきだってそうだった。

 そんな子が、自分にだけ意味のあることを言うわけがない。


(オレにとか、あるわけ……)


 そこまで考えて、また止まる。


(一緒にお弁当食べてくれるし、オレのためにわざわざおかず作ってくれる)


 また都合のいいところだけ拾っている。

 普通に料理好きなんだろ。

 人に食わせるの好きなタイプ。


(毎日話しかけてきてて)


 クラスで浮かないように気を遣ってるだけ。


(いや待て…)


 もし違ったら?

 もし本当に、少しでも意味あったら?


 浮いた瞬間。


(……ないだろ)


 即座に潰す。


 そんなできた話があるか。

 期待した瞬間終わる。

 勘違いした男って一番キツい。


(いやでも、他の男にはあんな感じじゃ……)


 そこまで考えて、頭がぐちゃっとなる。


 そこまで知らないだろ。

 見てないだけかもしれない。

 オレが勝手に特別扱いだと思いたいだけ。


(きも)


 もし本当に誰にでもああなら、なんでこっち見つけた瞬間すぐ来た。

 なんで隣に来るとあんな近い。


 ジャージの袖。

 髪。

 匂い。

 Tシャツ越しに張った胸元。


(いやそこ今関係ない)


 思考が変な方向に飛ぶ。


 勝手に思い出すな。

 近かった。

 視界に入るたび無理だった。


(最低だろオレ)


 助けたとか言いながら、見てんじゃねぇか。

 なのに、頭の中で肯定と否定が同時に走る。


 あるわけない。

 でも。

 いやない。

 けどあの顔。

 勘違いするな。

 でも。


「はぁ……」


 ため息が漏れる。

 自分が勝手に意味を持たせてる。


(マジでキモい)


 そう思いながらも、頭から離れない。

 足を止めて、手元の用紙を見る。

 任された作業。指定された物を所定の位置へ移動。

 やることは単純だ。


(考えるだけ無駄)


 無理やり意識を切り替える。

 体を動かしている間だけは、余計なことを考えなくて済む。


 はずなのに。


『いいよー』


(……あの一言、なんなんだよ)


 また浮かぶ。

 無意識に、手が止まる。


(オレがクラスで浮いてるから、一緒にいてくれようとしてるだけだろ…)


 自分に言い聞かせる。

 そうやって、理由をつける。

 でも、頭のどこかでずっと、気になっていた。


 ◇   ◇


 倉庫の中。


 手は動かしている。

 でも、どこか上の空だった。


 ボールの数を数えて、チェックをつける。

 ビブスをまとめて、棚に戻す。

 単純な作業。


 なのに、どうしてか集中できない。


(……まだかな)


 ふと、手が止まる。

 入口のほうを見る。

 誰もいない。


「……バカみたい」


 また作業に戻る。

 でも、さっきより少しだけ手が遅い。

 耳が、無意識に外の音を探していた。


 このままだと、待っているだけになってしまう。

 そう思って、リサは少しだけ背筋を伸ばした。


(ちゃんとやらなきゃ)


 マサキが戻ってきた時、何も進んでいないと思われるのは嫌だった。

 一人で任されたのだから、一人で終わらせたい。

 そう思うと、少しだけ焦りが混ざる。


 本当なら、中身を少し出してから動かせばよかった。

 でも、早く片付けたくて、リサは段ボールごと持ち上げる。

 思ったより重い。


「よいしょ……」


 腕に力を入れて、棚に乗せようとする。

 けれど、持ち上げた瞬間に重心が少しずれた。

 段ボールの中でボールが片方へ寄る。


「あっ」


 ぐらっと、バランスが崩れる。

 手が滑る。

 段ボールが落ちる。

 鈍い音と一緒に、中身が床に散らばった。

 コロコロ、とボールが転がる。


「うそ……」


 一瞬、動けなくなる。

 すぐにしゃがみこんで、拾い始める。


(やば、松前くんが戻る前に……ちゃんと戻さないと)


 焦りが少しだけ混ざる。

 転がったボールを追って、少し奥まで手を伸ばす。

 冷たい床に手が触れる。

 さっきよりも、静けさが重く感じた。


◇   ◇


 指定された備品を持ち上げて、所定の位置に運ぶ。

 置いて、戻って、また運ぶという単純な作業。


(……考えるだけ無駄)


 さっきそう決めたはずなのに、頭は静かにならない。


(……いいよー、ってなんだよ)


 また浮かぶ。

 小さく舌打ちしそうになるのをこらえる。

 そのとき、


「なぁ、松前」


 声が飛んでくる。

 振り向くと、クラスの男子が二人が近づいてきていた。


「如月さん、どこ行ったか知らね?」


 軽いノリの声に、マサキは目を細める。


「知らない」


 短く返す。


「さっき一緒にいただろ」


「用事は済んだから別れた」


 そっけない返答に、男子たちは少し顔を見合わせる。


「えー、マジかよ」


「どこ行ったんだろな」


 一人が頭をかきながら言うと、もう一人がふと思い出したみたいに顔を上げる。


「てかさ、松前くんLINE知ってるんでしょ?」


 マサキの視線が、ほんの一瞬だけ動く。


「聞いてみてよ。今どこいるー?って」


「……」


 マサキが黙っていると、男子はさらに続ける。


「呼び出してよ」


「せっかくだしさ」


 馴れ馴れしい声。

 マサキは口を引き結ぶ。


「やだよ」


 短く返す。


「は?」


 予想外だったのか、間の抜けた声が返る。


「なんで?」


「めんどい」


 即答。


「お前、そういうとこだぞ」


 男子は半分笑いながら言う。

 マサキは前を向いたまま、


「そうやって如月さんを軽く扱うから、お前らはLINE教えてもらえないんだろ」


 静かに返す。

 一瞬、空気が止まった。


「……はぁ?」


 さっきまでの軽さが、少しだけ引く。


「いや、別に軽く扱ってるわけじゃ……」


 言いかけて、言葉が続かない。

 もう一人も、気まずそうに目をそらす。

 図星を突かれたような沈黙。


 男子たちは少しだけ不満そうにしながらも、


「まあいいや、探すわ」


「見つけたら教えろよー」


 軽く手を振って、そのまま去っていく。

 足音が遠ざかると、いったん静かになる。


 マサキは小さく息を吐く。


(……ほんとにしつこいんだな)


 さっきの状況を思い出す。

 囲まれて、離れられなくなっていたリサ。

 あれがまた起きても、おかしくない。


(……倉庫、バレてないよな)


 一瞬、思考が止まる。

 ありえなくはない。

 人が少ない場所ほど、逆に目立つこともある。


「……はぁ」


 用紙を見る。

 まだ作業は残っている。


(……いや)


 一瞬だけ迷う。


(確認するだけだ)


 そう決めると同時に、手に持っていた備品を適当に置いて、歩き出した。

 足取りは、さっきより少し速い。


(別に心配とかじゃ…)


 頭の中で言い訳する。


(また面倒なことになってたら、余計だるいだけだし)


 廊下を曲がり奥へ、奥へ。

 人の気配が減っていく。


 倉庫の近くまで来る。

 扉は閉まったままだが、中の気配は外からじゃ分からない。


 マサキは一瞬だけ立ち止まる。


(……いるよな)


 ノックもせず、扉を開けた。


 ◇     ◇     ◇


 ギィ、と小さな音。

 そのまま視線を中に向けて、

 止まる。


 床に散らばったボールと、転がったままの段ボール。

 その中で、這いつくばるように手を伸ばしているリサ。


 ジャージの裾が少し乱れて、膝をついたまま、必死にボールを集めている。

 マサキの思考が、一瞬で止まる。


(……は?)


 声も出ない。

 ただ、その光景をそのまま受け止めるしかない。


 リサがびくっと肩を揺らす。


「えっ、あっ……!」


 慌てて振り返ると、マサキと目が合う。

 一瞬の沈黙。


 リサは慌てて立ち上がろうとして、少しバランスを崩す。


「ち、違っ、あの……!」


 声が上ずる。


「これ、その……落としちゃって……!」


 散らばったボールを指差す。


「ちゃんとやってたんだけど、ちょっと重くて……!」


 言い訳が、どんどん早口になる。


「すぐ戻すから!ほんとに!今やってて……」


 言いながらも、またしゃがみこんでボールを拾い始める。

 手の動きが、さっきより明らかに慌ただしい。


「だから、その……サボってたとかじゃなくて……!」


 誰に向けてなのか分からないまま、必死に続ける。


 マサキは、まだ少し固まったまま。

 どこに視線を置けばいいか、定まらない。


(……いや)


 頭の中で何かを切り替える。

 一歩、ゆっくり中に入る。


「……分かってる」


 リサを落ち着かせるように、短く言う。

 でも。


 さっきより、距離が近い。

 狭い空間に、二人きり。


 マサキは無意識に前を向いた。


 ◇


 リサはボールを拾いながら、ふと動きを止める。


(最悪なタイミングで戻ってきた……)


 視線を落としたまま、小さく息を吐く。


「……ごめんなさい」


 口からこぼれ落ちると、マサキが少しだけ目を向けた。

 リサはボールを握ったまま、続ける。


「あたし……なんの役にも立たないのに、実行委員とかやりたがって」


 乾いた笑い。


「ちゃんとできる人がやれば良かったよね」


 言いながら、またボールを拾う。

 でも手が、さっきより少し遅い。


「迷惑かけてばっかだし…」


 沈黙の中、蛍光灯の音だけがやけに響く。


 マサキは少しだけ間を置く。

 それから、ゆっくりしゃがみこんで、近くのボールをひとつ拾う。


「……疲れてるんだろ」


 短く返すと、リサの手がぴたりと止まる。


「え……?」


 マサキは前を向いたまま、続けた。


「あんなに追い掛け回されたら、集中できないよな」


 もう一つボールを拾って、箱に入れる。

 静かな口調。


 リサは一瞬、何も返せない。


 手の中のボールを、少し強く握る。

 視線を落としたまま、小さく息を吐く。


「……それも、あるけど」


 静かにこぼれる。

 マサキの手が、ほんの一瞬だけ止まる。


 リサはボールを握ったまま、視線を落とした。


「最初から、やる気があって入ったわけじゃないの…」


 言ってから、少しだけ間が空く。

 ここで止めれば、まだごまかせる。

 実行委員が足りなかったし、誰かがやらなきゃいけなかった。

 そういう理由にしてしまえばいい。

 でも、それを言ったら嘘になる。


「……松前くんがいるから、入っただけだし」


 静かな声だったが、はっきりしていた。


 倉庫の静けさが、さらに深くなる。

 マサキの思考が止まる。


「……は?」


 間の抜けた声が出る。


「実行委員、一緒だったら話す機会増えるかなって」


 軽くしたつもりだったが、自分で思っていたより、言葉は軽くはならなかった。


「それだけ」


 そう付け足す。

 まるで、本当にそれだけのように。


 マサキは何も言えない。

 拾いかけていたボールを、手の中で止めた。


(……は?)


 もう一度、頭の中で繰り返す。

 松前くんがいるから、入っただけ。

 その二つが、うまく繋がらない。

 繋がったらまずい気がして、マサキはすぐに手元に目を戻した。


「……それで、これ。普通に迷惑かけてるの。ダサいよね」


 リサは先に笑って逃げた。

 マサキは少しだけ顔をしかめると、ボールをひとつ箱に入れる。


「オレ関係なく、やりたいことやればいいだろ」


 静かな声。

 ボールを拾う手は止まらない。


「わざわざ…オレが一人になるとか、考えなくていいから」


 さらっと言う。

 その言葉に、リサの動きが一瞬だけ止まり、ほんの少し目が揺れる。


 でも、すぐにいつもの調子に戻す。


「え、考えてないよ?」


挿絵(By みてみん)


 ボールを拾いながら、少し横を向く。

 でも、


(……あたし以外の女の子がなるの、イヤだったのはあるけど)


 心の中だけで、続ける。


(別に、それ言う必要ないよね)


 何もなかったみたいに、またボールを拾う。

 マサキはその様子を、ちらっとだけ見る。


「……ならいいけど」


 短く返す。


 そのまま、二人とも何も言わない。

 ただ、ボールを拾う音だけが続く。


 一つ、また一つと、同じ動きの繰り返し。


 でも。


 最初より、明らかに早い。

 自然と手順が噛み合っている。


(……早いな)


 リサはふと気づく。


(やっぱ2人だと全然違う)


 少しだけ気持ちが軽くなる。


 そのまま手を動かしながら、ちらっとマサキを見る。

 真面目に作業している横顔は、無駄がない。


(……かっこいい)


 距離も近いし、空気も悪くない。


 そこで、ふと目に入る。

 そこには、2人のちょうど間に転がるボール。


(……これ)


 一瞬で思いつく。


(タイミング合わせたら、手触れるやつだ)


 ありがちなやつ。

 漫画とかでよくあるやつ。


(……いやいや)


 一回、否定する。


(なに考えてるの、不純な動機で実行委員になったのを反省したばっかりでしょ)


 でも、もう一回そのボールを見る。

 距離的に、いける。

 タイミングを合わせれば、偶然みたいに手が触れる。


(……ちょっとくらい、いいよね?)


 さりげなく位置を調整する。

 手を伸ばす準備をし、あとはタイミングを合わせるだけ。


 マサキも、同じボールに手を伸ばす。


(よし来たっ)


 そのまま、ボールを取るふりをして、ほんの少しだけ手の軌道をずらす。

 ボールじゃなくて、マサキの手の方へ。

 指先が触れる。

 そう思った瞬間、


 マサキの手が、直前で止まった。

 ほとんど触れる寸前。

 マサキは一瞬だけリサの手元を見て、それから何かを察したみたいに、すっと手を引いた。


(あ)


 リサの手は、そのまま突っ込む。

 本来なら、マサキの手に触れるはずだった場所。

 でも、その支えがなくなる。

 指先が、ボールの表面に触れてころっと滑った。

 体重がそのまま前にかかる。


「ひぁっ……」


 ぐらっ、とバランスが崩れる。

 慌てて手をつこうとする。

 でも、その下にあったのは床じゃなくて、転がったボールだった。

 支えきれない。


「……!」


 そのまま前に倒れ込む。

 マサキが咄嗟に手を伸ばした。

 たぶん、支えようとしたが、距離も角度も間に合わない。


 数秒、静止。


(なにしてんのあたし)


 床に手をついたまま固まる。

 じわじわ理解が追いつく。


(……完全に自爆)


 そのまま時間が止まる。

 違和感。


(……ん?)


 胸に何か当たっている。

 冷たい床じゃないし、ボールでもない。

 少しだけ温かい。


 下から押されている。

 ゆっくり視線を落とす。


 自分の身体の下から伸びている、マサキの腕。


「……っ」


 一瞬で理解した。


(え、ちょ……)


 固まる。マサキも固まっていた。


 完全に、手が胸の下敷きになっている。

 しかもただ触れているだけじゃない。

 リサが倒れ込んだ体重ごと乗っているせいで、胸が押し潰されるみたいに沈んでいた。


 むにっ、と形が変わる感覚が、自分でも分かる。


「っ、ぁ……」


 変な声が漏れる。

 マサキの手が、胸の下に埋まっていた。

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