第32話 大切なもの
それから暫くして、太陽が西へ傾く昼頃。
蜻蛉と出会った夏樹達は、直ぐに釣りを止めると逃げ帰るように村の帰路へと着いていた。
「じゃあな、お前ら」
「うん。またね」
健吾や皆との別れを済ませると、自分の家に向かう夏樹。
「(…結局、何がどう言う事なのか分からなかったなぁ)」
先程身の回りで起こった異変について真剣に考えながら土で押し固められた村道を歩いて行く。
しかし答えが出るよりも先に、やがて石垣に囲まれる空亡家へと辿り着いてしまった。
夏樹は銀色の門の前へと立つ。
地面と触れ合い、揺れる音を空気中に響かせながら、彼が正面の門を開けて中に入ると…
「…あれ、父さん?」
──何故か、仕事で出掛けていた筈の父親"元"の、庭の畑を鍬で耕している姿が目に飛び込んで来たのだった。
………………
「おぉ夏樹か!意外と早かったな!」
こちら側に視線を向けると、直ぐに額の汗をタオルで拭い、快活そうな格好で此方へ話しかける元。
「確か、友達と釣りに行ってたんだろ?」
そのまま記憶を辿ると、夏樹が遊びに行っていた事を思い出したらしく朗らかに尋ねて来た。
「うん。けど直ぐに飽きて皆で帰って来ちゃった。…父さんこそ今日は仕事じゃなかったっけ」
「ん?…いや俺の仕事は午前に終わったぞ」
夏樹はあくまで、影蛉と健吾達の間に軽く一悶着あったことは内緒にして答える。
続いて夏樹が元に尋ねた質問。それに対し返って来たのは…やはりと言うべきか、自分の認識とは少し異なっている話だった。
「さっきも昼飯を一緒に食べただろ?」
「…そうだったね」
頷く夏樹。
「あと師匠が今日の夕飯を食べに家に来るらしいよ」
「師匠…あぁ影蛉の事か。全くアイツの図々しさにも困ったもんだな。ガハハ!」
「いつの間に、そんなに仲良くなったの?」
今朝会ったばかりの筈なのに、気づけば食卓を共にする程親密になっていたらしい元と影蛉。夏樹がその事を聞くと、元が話し始める。
「いやほら、仕事で何回か会ううちに最初の事もあって"意気投降"したんだよ。"昨日の敵は今日の敵"ってやつか?」
「多分…意気投合だと思うよ?それに父さんと師匠は別に最初から敵じゃなかったでしょ…」
もはや定番なのか、謎の言い間違いをする元に夏樹が突っ込んだ。
「ほぉ、そうなのか?良く知ってるな!」
「はは…」
「まぁそれは置いといて、夏樹。家に帰ったら飯まで何するんだ?」
「うーん、やる事も無いし…テレビでも見ていようかな」
しかし、夏樹の言葉に元は少し眉を顰めた。
「おいおい友達と遊びに行く時以外は全部テレビじゃないか。夏休みの宿題は終わったのか?」
「……っ!」
飛び込んで来た寝耳に水の話に、身体を一瞬震わせる夏樹。
「た、多分?」
「…怪しいな」
真贋を見極めるように此方を見つめてくる元に、夏樹は背中から冷や汗をかく。だが…
「─まぁ別に気にする事じゃねぇか!そんな事より今から父さんと一緒に遊ぼうぜ」
元は豪快に笑みを浮かべて親指を立てる。
「え、えぇ?…良いけど」
突然の出来事に困惑しながらも、夏樹は了承をした。
そのまま元の方へと、特に警戒する素振りもなくのんびりと歩いて行く夏樹。
「(父さんとの遊びかぁ。何だか久しぶりだな)」
懐かしい記憶に心躍らせながらも、彼の所に辿り着いた。
…元の目が怪しく光っている事など露も知らずに。
「それで、何して遊…」
「とりゃっ」
その時、突然夏樹の両脇に手が入れられ、遥か上に身体が持ち上げられた。
「わっ!うわぁ!!」
「──ガハハ!高い高いだぞ!!」
驚いた夏樹が空中で手足を激しく騒がせながら踠くのに対して、元が楽しそうに笑いながら夏樹を上下に揺らしながら何度も動かす。
「おーほらほら!」
遊園地のアトラクションのような衝撃に目を回す夏樹。
「夏樹は昔から、これが好きだっただろ?」
「お、降ろして〜」
夏樹は口ではそう言っているものの、何処か楽しそうに笑っている。
「まだまだー!」
更に腕を高く掲げて、夏樹の身体を元は地面と並行にする。そして腕を振りながら飛行機が飛ぶように夏樹を近づけては遠ざけて、空気を切った。
「わーー」
襲ってくる無数の風達。その全てを全身で受け止める夏樹は、空でも飛んでいる気分になって実に爽快な気分だった。
そんな夏樹の笑顔を見た元も段々楽しくなって来て、また「高い高い」に戻る。
そうして親子水入らずの楽しい時間を過ごそうと…
「うおららー………うん?」
「もう!だめだよ!あはは!」
「…………」
─だが突如、元の腕が止まって夏樹の身体がゆっくりと地面に降ろされた。
「え…どうしたの急に?」
「…いや、なんか。──やっぱ楽しそうじゃねぇな夏樹」
急に変な事を言ったかと思えば、真顔のまま自分の顔を覗き込む元。それに夏樹が目を見開く。
「…俺が可笑しいのか?顔は笑ってんのに、お前から変な感じがする」
「そんな事ないよ!いきなり持ち上げられたのは、びっくりしちゃったけど全然楽しかったし!!」
「いや違う……何時もの夏樹らしくないっつうか、何処か急に大人びた感じがするんだよ」
夏樹自身に一見怪しい所など何も無い。それにも関わらず元は何故か目を細めながら、夏樹の事を凝視していた。
「えっーと…」
困惑する夏樹であったが、次の瞬間…肩が掴まれる。
「ひゃっ」
「もしかしてお前…」
まるで何かを疑うかのように夏樹の顔に視線が降り注いだ。
夏樹の頭には焦燥の気持ちが溢れて緊張に震えて行く。しかし…
「──反抗期か?」
………
「…え?」
予想外の言葉にぽかんとする夏樹。
「そうか。もうそんな時期なのか…くぅ!子供ってのは成長が早いなぁ!!」
「……!?」
元が腕で目頭を押さえ、目から涙を出す演技をしておどけ始めた。
「いや!違うよ!?」
「…言わなくて良い。父さんはちゃんと分かってるぞ!例えお前が父さんと呼んでくれなくなったって、俺はお前の親だからな!」
「……えぇ」
夏樹が困惑する。そのままどうしようかと瞳を左右に慌てさしていると、近くの縁側に位置する窓が透明な音を立てながら開けられた。
「あなた。そろそろ…」
其処から顔を出したのは夏樹の母、伊月である。
「あ、母さん!」
「あら?夏樹、もう帰って来てたの?」
予想外の登場に驚いて伊月は夏樹の方を見る。
「友達と遊びに行ってたんじゃなかった?」
「飽きて帰って来たらしいぞ」
「そうだったの…じゃあちょっと待ってて下さいね」
そのまま二人に背を向けて、何処かへと歩き出そうとする伊月。
「何処に行くんだ?」
「この前、お隣さんからもらった西瓜を冷蔵庫で冷やしてあるんです。せっかくだし皆で食べようと思って…」
伊月の言葉に元が涎を垂らす。
「おー良いじゃねぇか!」
「それじゃあ、直ぐに切ってから此処に持って来ますね」
─伊月が去った後、その場には最初と同じ二人だけが残された。
「まぁアイツが帰って来るまでその辺にでも座っておこうぜ」
元に言われるがまま、夏樹は彼と共に縁側の方へと進んで行き、茶色い木の板材の上へと腰を下ろす。
「よっこらせ」
一息吐きながら座った元。やがて夏樹もそのまま彼の隣に来て二人で庭に広がる畑を前にして並んだ。…それから少し時間が経った頃だろうか。
「………」
だが一緒に座ったは良いものの、二人の間には何故か沈黙ばかりが続いていた。
「(…何を話せばいいんだろ?)」
夏樹が戸惑いを見せる。今の彼にとって、父と話したい事など沢山ある筈なのだ…
だというのに、いざ二人きりで好きに話せるとなると、頭の中に思い浮かぶ言葉を上手く纏めきれずにこんがらがってしまっていた。
「…なぁ夏樹」
「──!」
その間に先に口を開いたのは元の方である。
「…んな驚く事もねぇだろ」
「あ。…ごめん」
突然の不意打ちによって、身体を震わせた夏樹を見て苦笑する元。
「ただ、ちょっと話がしたいだけだ」
笑みを浮かべながらも何時もより少しだけ真剣な空気を放って喉から声が出される。やがて、彼が口にしたのは夏樹にとって少しだけ意外な話題だった。
「夏樹の…その、将来やりたい事とかを俺は今のうちに知っておきたい」
目の奥に潜む夏樹の真意を見抜こうとするように元が窺う。
「まだお前にとって早過ぎる話かもしれないけどな」
「ううん。別に良いよ…けど」
それに、面食らった顔をしながらも夏樹が答え出した。
「実はさっき健吾くんたちにも似たような事を聞かれたんだ。でも僕は自分のやりたい事とか、もう覚えてなくて…ごめんなさい」
申し訳無さそうにして下を向きながら話す夏樹に、元が慌てて止めに入る。
「おいおい!謝る事じゃねぇよ!…しかしそうか」
何か思う所があるのか、元が天を見上げた。
「俺な…本当の事を言うと、お前が何時か居なくなる。そんな気がしてたんだ」
「え?」
夏樹の動きが止まる。さっきまでは少し抜けていそうな雰囲気の目であったのに、それが一転して凄まじい眼力で瞼を見開いて元の方へと向いた。
「さっきのお前を見ていると、直ぐにでも夏樹が何処かへ旅立っちまいそうな不安が襲って来た…それで思い出したんだよ。子供ってのは親が知らぬうちに気づいたら大人になってるもんだって」
少し複雑そうな元。
「…まぁ流石に俺の「奇遇」だったのかもしれんがな」
恐らく、"杞憂"と言いたいのだろう。何時も通りの言い間違いをする元であるが、不思議と夏樹は突っ込む気になれなかった。
「…別に僕は皆が居てくれるのに、何処かへ行ったりなんかしないよ」
「─そうか。だがそれでも、お前は何時か俺達の下を離れて大人になる日が必ず来る」
強く強く、強調した言葉で寂しさを纏わせながらも元が告げる。
「…少しだけ俺の話を聞いてくれないか?」
その一言に、夏樹はただ相槌のみを返した。そして元の口が開かれると、彼の話が始まり出す。
「今まで夏樹に言った事は無かったけど、父さん。実は昔…お笑い芸人になりたかったんだ」
「……は?」
突然、衝撃の告白をされて夏樹が固まった。
「…まぁ、今となっては軽い黒歴史みたいなもんだけどな?20年くらい前のケータイなんて無かった時代、俺はテレビの向こうに居る芸人に憧れていたんだよ」
それだけ前となれば、夏樹が生まれるよりも遥かに昔なのだろう。夏樹が今、小学生である事を考えれば…現在は大凡、西暦2010年代後期の頃であろうか。
極東地方で21世紀の初頭にテレビがアナログからデジタル放送に移り変わったのが有名な話だが、それよりもずっと古い時代の話である。
「皆を笑わせて元気を与える。凄ぇ職業じゃねえか!!俺もあんな奴らみたいに成りたかった。…けど親にはずっと反対されてたんだよなぁ」
──元の親。つまりは夏樹にとって父方の祖父母に当たる存在だ。
元と伊月の話によると、残念ながら二人とも夏樹が生まれる前後で既に他界してしまったらしく、夏樹は彼らの事をあまり詳しくは知らなかった。
「何も酷い親だった訳じゃない。自分がしんどい時でも俺の事を第一に考えてくれて…超絶尊敬出来る人達だったさ。
…それでも当時の俺は何時までも続く子供扱いに耐えられなかったんだ」
遠い目をして語る元。
「だから俺は一度村を飛び出した。自分の夢を叶える為に」
「…大丈夫だったの?それ」
今の自分よりは大きかっただろうが、どんなに強がろうと所詮は子供だ。そんな時に家出をしたらしい元に夏樹が心配そうな顔を浮かべた。
「いや全然。金も無ぇのに無計画で行って、そんな都合良い事が起きる訳ないからな…村から歩いて都市の方へ向かったんだが、俺は結局門前払いだった」
「そっか。じゃあ其処で諦めて…?」
「…むしろ火がついたよ。これで終われるかー!ってな、だが生きていく上ではやっぱ金が要るから俺はバイトを探し始めた」
流石、父さんらしいなと夏樹が心の中で思う。諦めが悪いと言うべきか、心の強さは人一倍なのかもしれない。
「つっても…未成年だったから、履歴書だの緊急連絡先が無くて一つも受からなかったんだけどな。ガハハ!」
やはり苦い思い出すらも、元は豪快に笑って吹き飛ばして見せた。
「兎に角!其処で結局俺が頼ったのが、偶然近くで働いてた叔父さんの工場だ!我ながら情けないが」
「…叔父さん」
「その人には色々良くしてもらって、仕事だけじゃなく保護者の代わりにもなってくれた。……今思えばなんで親にチクらなかったのかよく分かんねーな。
──もしかして親父達は既に知ってて、態と俺を見逃してたのか?」
夏樹に自分の過去を話す中で、改めて振り返ってみると以前は気づけなかった事実に気づいた元。
…既に二人がこの世を去った今、事実を確認する術は無いが、彼らもまた複雑な心境ながらも最終的には息子の夢を応援していたのかもしれない。
「…何にせよ。それから俺は紆余曲折あったが、今は無くしちまった『夢覚』のお陰もあって芸人の事務所に受かる事ができた」
元の言葉に夏樹が驚いて前のめりになる。
「─父さんも夢覚者だったの!?」
「……そりゃ子供の頃は誰だって叶えたい願いがあるもんじゃ…いや、夏樹みたいに"持ってない"奴の方が今時は普通なのか。別に悪い事じゃねーけど」
夢覚は元来、人の持つ強い夢や願いが、それを抱く当人の中に特殊な能力として、具現化し宿る物である。
その性質からして社会に触れて現実を知る大人よりも、無垢な子供の方が得やすい傾向にある。
──当然、現在の元のように夢を忘れてしまえば、それと同時に力も段々と消えて行ってしまう物だが…少なくとも、彼の業界では所有しているだけでも大きなアドバンテージとなった事だろう。
「…で、それから俺は漸く芸人としての人生としての道を歩み始めた訳だ」
自分の夢が叶うまでの流れを説明し終えた元。…しかし彼の現状を見れば、此処で話が終わりにならない事は明白であった。
「さてさて…これからが本題さ。念願を果たした俺だったが、苦労はまだまだ続いてな。肝心の仕事が全然無いんだよ」
元が肩を窄める。
「当時の俺は同時期に入ったヤツとコンビを組んでいて、その名も『天中殺ファンキーブラザーズ』!…イカした名前だろ?…なのに営業に出かけてもお断りばかり──其処で、単に知名度がたりねぇのかと思って、偶に有るA-1グランプリとかにも出たんだが、予選敗退だけが何年も続いただけだった」
A-1と言うのはお笑いの大会の事であろうか。何にせよ夏樹には少しだけ聞き覚えのない単語だった。
「誰にも相手にされず、極々稀に取り付けたステージでも観客の爆笑どころか嘲笑すら返って来ない。
…やがてコンビは解散して、気づいた頃には俺の日常が工場でバイトして過ごすだけの日々になっちまったよ」
自嘲するように呟く元であるが、夏樹の目には悲壮な雰囲気などはあまり無いように見える。
「…何で俺は誰も笑わせる事が出来ないのか、覚悟決めて飛び出した割に…芸人としての才能は無かったのか。失望の果てに結局、俺の心は数年で折れたのさ」
「……それで?」
「おいおい此処は悲しむ所だぞ!─まぁ俺はそんな悲劇の最中で、ついに漸く!運命の出会いを果たすんだけどな!」
「運命…?」夏樹の頭に疑問が思い浮かんだ。夏樹の知る限り元にとって運命だなんて言える相手などこの世に一人しか居ない筈だが…いや、そのまさかであろうか。
「…あれは寒い冬の暗い夜の事だったさ。
買い物からの帰り道夜闇に覆われた白銀の公園で俺は、憂鬱そうに下を向く雪女のように神秘的な雰囲気を纏って、ベンチに座る麗しい女性を見つけたんだ。──それが俺と伊月の初めての出会いだった」
胸焼けがする程に大袈裟な表現で、元は胸に手を当てながら語り出した。
「…母さんとの出会い」
「あの時、俺の瞼はその凍てつくような美しさに一瞬で瞳を焼かれてしまい、気づけば肩を組んで話しかけていたんだよ。『おいおい、ハニー!そんなに辛そうな瞳をしてどうしたんだい?けどもう大丈夫。君の冬は俺が解凍して…』」
「──気持ちわる!それは流石に冗談だよね!?!?」
「いや本当さ。そして次の瞬間…─俺の首は彼女の悲鳴と同時に、明後日の方向を向いていた」
日差しに照らされた黒く短い髪を掻き立てて、恐らくビンタでもされたのだろう方の頬を摩りながら格好つける元だったが、夏樹は今までに無い程に元に対して軽蔑の目を向けている。
「……何の話。コレ?」
「焦るな夏樹!重要なのはこれからだ!!その後、俺は彼女に全力で土下座して自分の正体を明かしたんだよ!」
お笑い芸人の話だった筈が、気づけば脱線して何故か元と伊月の馴れ初めの話に移りかけている事に夏樹はドン引きしながらも気づいた。
正直、元が何を伝えたいのか分からない…と言うか親の恋愛話など気まずくて、出来ればあまり聞きたく無い。そんな夏樹が途中で突っ込むも、元には遮られてしまう。
「『芸人…ホント?じゃあ証明してみせてよ!』そう言われて俺は俺の持ちネタを披露した」
瞬間、元がおどけた表情に変わる。
「証明。仕方ないな!じゃあ"百分は一分にしかず"って事でやってやろう」
『…っておいー!其処は百聞は一見にしかずやろがい!百分と一分は全然違うだろ!』
突然その場で一人二役の寸劇を始める元。この状況に夏樹は訳が分からずに首を傾げた。
「………?」
「そうかそうか!まぁ"カッペの川流れ"って言うからな!どんな達人だって間違える時は間違え…」
『っておい!それは田舎モンがただ川流れてるだけやん!』
「あぁ。また間違えた。正しくは"ザルも木から滑り落ちる"だな!」
『またまた違うよ元ちゃん!それ、当たり前だよ!ザルは木の上じゃ滑って当たり前やねん!丸いんだからね!!』
…これが彼の芸人時代にしていた持ちネタだと言うのだろうか?
「そうだ丸いと言えば"月とすっぽんぽん"なんて言葉があるな」
『月とすっぽんな!意味は形は似ていても、価値が全然違うって意味で…あれ?形以外は大体合ってるのか」
「まるで俺とお前」
『それ、どっち?俺がすっぽんぽんなの?お前がすっぽんぽんなの!?」
「…もちろんお前だ!」
『なんでやねんっ!』
直後、鈍そうな破裂音が空気を震わせる。自分で自分の頬にビンタを決めると、一通りの芸を流れを終えた元が自身満々そうに夏樹の方を振り向いて来た。
「いちちっ…はい、ありがとうございました!ってな訳で、どうだ!面白かったか?」
「……そのネタ、母さんにはウケたの?」
「…いや、普通に滑った!ガハハ!!」
林檎のように赤く腫れた自分の片頬を正面にして、大きな笑い声を周囲へ響き渡らせる元に、夏樹はやっぱり。とでも言いたそうな顔をする。
「まぁまぁ…だけどこの話には当然続きがあるんだよ」
だが元の話はまだまだ続いて行く。
「その後、お互い気まずい空気になって、俺は逃げるように公園を後にしようとした」
その時元とは初対面だった伊月にとって、元は夜中に声を掛けて来た挙げ句、万人受けするとは言い難い独特な漫才を披露した不審な人物でしかない。
警戒に包まれる中、「笑え」と言われる方がむしろ困難な状況であろう。
「…けど俺が去る直前に、アイツは『フフっ』って笑ってくれたのさ」
しかし、それでも伊月にとっての心の何かには触れられたのかもしれない。そんな在りし日の事が何処かノスタルジックな元によって想起される。
「俺の漫才が面白かったのか、後の馬鹿みたいな空気感が面白かったのかは今も分からん。…それでもあの時の俺にとっては伊月のその笑顔が…」
元が抑えきれなくなった頬を緩ませた。
「──初めて誰かに認めてもらえた気がして、どうしようもなく…嬉しかったんだ」
─田舎を飛び出して、自分の夢を叶える為に都市へ来た元。
数々の困難に激突してもずっと努力して、諦めなければ何時か必ず叶うと信じて、願いを純粋無垢にひたすら追いかけ続けていた。
…だが、それでも現実は非常であり、結局誰からも評価を受ける事すら無く、やがて元は腐って行って好きだったお笑いに対して向き合う事すら次第に辞めてしまう。
そんな虚無感に包まれた中で起こった伊月との出会いは、漸く自分の存在や努力を世界に認めてもらえた気がして、言葉では簡単に言い表せない程に彼の心は満たされたのだった。
「…それからはお前も知っての通り。更に数年後、俺は芸人を辞めて風吹村へ帰って来た」
「あんなにお笑いとか、バイトも頑張ってたのに?」
「あぁ。村の奴らにも笑われたよ。お前は何しに此処を出て行ったんだって」
数年間も行方不明だった人間が何も持たずに帰って来たのだ。きっと嬉しさもある反面、若く貴重な時間を無駄にした事へのやるせない嘲笑だってある。
「けどな、結局叶えられなかった父さんの夢だが、その全部が無駄だったなんて全然思ってないぞ!」
それでも当の本人は、そんな事を気にも止めていなかった。
「だって、そのお陰で俺は沢山の出会いに恵まれた。バイト先での友人に、今でも連絡を取り合う元相方、新しい知人達に…何より俺の世界一美人な嫁の伊月!」
重ねられた出会いの数々、それは元にとって誰一人として掛け替えの無い彼の人生における宝物である。
彼が願った夢には結果として何の意味なんかなくとも、確かに其処には意味があったのだ。
「俺の冒険は決して無意味なんかじゃなかった。だからな、俺がお前に伝えたいのはたった一つだけだよ」
元が指を一本だけ立てて、太陽のように眩しい笑みを夏樹に向かって輝かせる。
『夏樹。お前はお前が信じる道を一生進み続けろ』
瞬間、夏樹の目には驚愕が伝わった。
「…それってどういう」
「あのな。俺はこれから先、夏樹がどんな道を選んでどんな大人になるかなんて全く知らん」
まだまだ小さく、元にとっては何時までも子供のままの夏樹が将来何になるかなど想像もつかない。それでも、たった一つだけ信じているものがある。
「けれど此れだけは分かるんだ。例え正しい選択であろうと、誤った選択であろうと、お前が選んだ道に意味が無かったなんて事は絶対に無いって」
それは一人の人間として彼が経験して来た信念であり、親として夏樹に送る激励。
「…もしかしたら、俺と同じでお前の何時か得る夢が、ただの空虚な願いで終わる事だってあるのかもしれないな。それでも恐れずに前へ進め!」
元としては、未だに夢を知らないが仮に夏樹に夢を持ったならば、途中で投げ出さないで欲しかった。
それが正しいか間違いかなんてどうでも良いのだ。ただひたすらに夏樹の未来の事を想っている。だからこそ、この言葉だけは伝えてやりたい。
「その先にはきっと…夏樹にとって何にも替えられない…」
『──大切なものが、出来ている筈なんだからな』
……………
「…大切な…もの?」
「そうだ。この世界にやらない方が良かったなんて事は存在しない」
言葉を受け止め切れていない夏樹に、元が諭すように話しかける。
「たとえ失敗の果てに挫折や落胆があろうと、お前に残るものは決して後悔だけじゃないんだよ」
「…それが父さんの言う大切なものだって言うの?」
「むしろ、俺としては失敗で得るもの全部が大切だとすら思ってるんだけどな!」
元にとっては、その失敗があったからこそ今この場に立っているのだ。
そう言う意味ではもはや、過去の苦汁さえ愛しい自分の中の思い出の一つでしかない。
「だから夏樹には自信を持って進んで欲しいんだ。それを大人になる前に、お前へ伝えてやりたかった」
かつての自分が大人である事を自覚して、親元を離れた時みたいに夏樹だって、知らない内に大人になって突然居なくなってしまうかもしれないのだ。
故に少し大人びた様に見えた夏樹に対して、元は早めにエールを送りたかったのだろう。
だが、そんな何処までも眩しい父の姿は、今の夏樹にとっては少し…目が焼けるほどに輝き過ぎる。
─だからこそ夏樹は、目を逸らしそうになってしまった。
「やらない方が良かったなんて事は存在しない、…か。本当に父さんはそう思ってる?」
「当たり前じゃねぇか!」
「…なら、もし…もしもの話だよ?」
多分、その先の言葉は口にしない方が良いに違いない。
しかし、そう理解していても夏樹に溢れる声を止める手段など持ち合わせていなかった。
「…もし、僕が誰かを殺す為だけに生きるようになって、その中で沢山の人を傷つけて、…そんな悪い人になる道を選んだのなら」
分かっている。それこそ意味の無い質問なのだ。あんなのは只の悪夢に過ぎなかったのだから。けれど…
「──それでも…父さんは僕に前へ進めって言ってくれるの?」
結局、夏樹は唇を震わせながら口にする事を選んでしまった。
「…ん?んーー。いや、それはダメだろ!」
「だ、だよね」
別に最初から分かりきっていた答えだ。自分の子供に人殺しの道を歩んで欲しい親など、世界の何処に存在しようと言うのか。
…そんな答えは意外ですら無い。
だが、夏樹の大きく開いた目には何故か大粒の涙が浮かび、日に焼けていない真っ白な肌が風に揺らされて、青く染まって行く。
「あ、はは。その………ごめん。ごめんなさい!…変な事を聞いちゃって!!」
「そりゃ犯罪なんてやって良い訳が無い。そっから先はただのライン超えってやつだ」
まるで懺悔でもするかの様に、夏樹は頭を何度も下げた。
その間、元の頭には何が浮かんでいたのだろう。
「…夏樹、何か嫌な事でもあるのか?それでも人殺しの道なんて絶対に!何があっても行けないぞ!!」
「…………うん」
「お前がそんな道を選んだのなら、俺が必ず殴って止めてやる」
決して曇らず、一心に夏樹を見つめる元の強い目。…だから夏樹は嫌だった。この答えを聞いてしまうのが怖かったから。
「…まぁでも、態々気にするまでも無いよな。人一倍に優しいお前がそんな選択をする筈ないだろ!」
また何時もみたいに笑い出す元。
父としての子に対する信頼。それが何よりも夏樹にとっては苦しく、何故か忘れられない心の傷を抉り抉り抉り続ける。
──しかし…
『けど、たとえそんな未来があったとして、それでも最後に残るのは…多分、後悔が全てじゃない』
「…え?」
独り言のように呟かれた小さな元の言葉。不意に聞こえたそれは夏樹の耳をつつき、背いた目を再度振り向かせた。
そして確かめるかのように、夏樹は声を絞ろうと。
「──わっ」
すると、夏樹の頬に冷たい手が添えられた。それは上がりきった熱を冷ますように、心を瞬時に落ち着かせる。
思わず夏樹が顔を横に向けると、開いた縁側の窓の前に伊月が立っていた。
「…母さん。いつの間に?」
「あら?今来たばかりよ。ほら二人とも、西瓜を切ってきました!お陰で手が冷んやりしちゃったけど」
伊月が白くなった手を見せびらかす。
そして、もう片方の手には夏の日差しに当てられて、水々しく輝く真っ赤な西瓜の乗った皿があった。
「おー美味そうだな!」
「温くなる前に食べて下さいね。夕ご飯も少し近いですけど…」
「サンキュー!ほら夏樹、急いで食うぞ!」
「……それはそうとして、夏樹もあなたも真剣そうな顔で、何を話してたんですか?」
皿が地面に置かれると、元は直ぐに手に西瓜を取って頬張り始める。夏樹もまた、手を伸ばそうとしたが伊月の声が割り込んで来た。
「えっと。…父さんと母さんの馴れ初め?──ほら、冬の公園で二人が出会ったって」
「あ、それは…」
過程を全部話すと長くなるので、夏樹は伊月に関係がある部分だけ切り取って説明した。だが何故か元が額から汗を流して焦燥を浮かべる。
「……?冬の公園が馴れ初めって…何の事?私達が出会ったのは普通にご──」
「あぁ!そうだったな!!俺達の馴れ初めの話だったな!!」
伊月を遮るように、口の中を西瓜で膨らませた元が腕を滑り込ませた。
突然の異常な様子に夏樹は何かを察する。
「─えっ。もしかして公園の流れって全部嘘!?」
「ち、違う!!」
首を残像が見えるほど左右に早く振って、口元の果汁を吹き飛ばしながら元が必死に疑惑を否定した。
「いや少しは感動的に盛ってたかもしれんけどな?お笑いとか、お前に伝えたかった事だけは全て本当だ!」
「…お笑いですか、懐かしいですねぇ。でも未だに"わざと"言葉を間違え続けるのだけは流石に…」
「おい。それは言わないでくれ!」
伊月の手によって次々とネタバラシされかけて行く元の秘密達。
夏樹も薄々気づいてはいたが、やっぱり元の誤用は意図的なものだったらしい。…最も先程の話を聞いている限り、その理由も想像に難くないのだが。
「ぷっ。はは」
やがて、どうしようもないくらいに愉快な元と伊月のやり取りに夏樹は思わず吹き出してしまった。
するとそれに釣られてか、二人は同時に夏樹の方に視線を送る。
「…今の面白かったか?」
「うん。少なくとも…父さんのギャグよりは?」
「はぁ??……全く、"伊月の子は夏樹"だな」
「何ですかそれ。『蛙の子は蛙』じゃなくて?」
「──馬鹿。蛙なんかに、お前らの可愛さが表せるかよ」
元が拗ねたようにそっぽを向く。
そんな彼を見て、顔を見合わせて微笑む夏樹と伊月。
「「ぷっ!」」
「…何だよ」
「─ほら、西瓜がまだまだ残ってますよ…それに夏樹も早く食べないと…」
「あ、忘れてた」
思い返せばせっかくの冷えた西瓜をまだ齧ってすら居なかった事を夏樹は思い出した。
三人で縁側に座って並ぶと、少し温まってしまった西瓜に夏樹と元は手を伸ばす。
それから、輝かしい果実を手に持ち、漸く辿り着いた夏樹の一口目。
噛むと歯が通り抜けるように進んで行き、途端に口内へ広がったのは水々しい果汁。それは夏樹が今までに味わった事が無い程…
──甘くて、しょっぱい味がした。
ーーーーーーー
その夜。
「─ガハハ!ほら飲むぞ飲むぞ!」
「ちっ。俺はやっと一杯目だってのに早過ぎんだろ」
空亡家のリビングでは、机の上で家族三人に影蛉も加えながら夕食会が開かれていた。
彼らの前に並ぶのは豪華な洋食のディナープレート達の姿である。
「ちょっと、夏樹もいるんだからあまり飲み過ぎないで下さいね!」
「わぁーってる。わぁーってる」
手に缶ビールを持ち、口に入れた飯を酒で流し込みながら大騒ぎをする男二人に対して伊月が注意する。 しかし返って来たのは元の適当な返事のみ。
「本当に…分かってるんですかね?ね、夏樹」
「うーん」
「……夏樹?」
だが此方も同じく少し適当な返事で返される。不審に思った伊月が身体を前のめりにして覗き込むと、夏樹は箸の動きを止めたまま下向きに俯いていた。
「なんだお前。俺達のアルコールに当てられて酔ったのか?」
それに気づいた元と影蛉もまた、箸とビールを持ちながら夏樹に視線を向けており、直ぐにヤジを飛ばして来る。
「まぁそう言ってやるな影蛉。今、夏樹は『反抗期』なんだからな!」
「はぁ?コイツがか!?こんなにちっせぇのにもう反抗期って…ふっ。ははは!!幾ら何でも早熟だわ!」
その場で大笑いして、口から酒を溢しまくる影蛉。
慌てて、近くのナプキンで机を拭きながらも今度は元の方へ矛先を向ける。
「…もしかしたら、誰かさんの教育が悪かったのかもな?」
「んだとぉ!」
食事中である事も忘れて立ち上がり、ふざけながらじゃれ合い始める元と影蛉。
伊月はそんな彼らに呆れながらも、ずっと夏樹の事を見つめていた。
一方。肝心の夏樹であるが…
「(…大切なもの、か)」
夏樹は数時間前に元に言われた言葉を、ずっと心の中で思い返し続けていた。
「(僕にとって大切なものと言えば、父さんに母さん、健吾くん、和樹くん、蒼太くん。…それに師匠や村の皆だよね。なのに…)」
元は確か、自分の信じた道を進んだ先には必ず大切なものが出来ていると言った。
残念ながら今の自分に夢なんて大層なものはなく、周囲に在るのは全て気づけば其処にあっただけに過ぎない。
……それでもたった一つだけ、夏樹の心には不思議な突っかかりがあった。
【──夏樹くん】
鮮明に思い浮かぶのは、決して忘れる事の出来ない。一人の少女の優しく、何処までも透き通った声。
「…カノン」
夏樹の口から不意に、その名が小さく紡がれる。
「(ううん…あれは只の夢だったんだ。だから気にする事なんて何も無いよ)」
必死に自分の想起を止めようと、身体を強張らせて自分の気持ちを抑えようとする。
だがそんな努力も僅かな虚しい抵抗に過ぎない。夏樹の頭には何度も何度も、声が浮かび続けた。
【こんにちは。カノン・エーデルスです!】
【ぷっ。あはは!】
【…なんだとはなんですか】
最早とっくに過ぎ去った筈の夢の世界。
あれは両親も友人も村の人達も、全てが火の中へ消えてしまった最悪の結末でしか無かった。
「(皆がちゃんと生きてくれている。それだけで僕は充分なんだ)」
自分の大切だったものが奪われて行き、身体はやがて憎悪と憤怒に染まる。
そして最後に残った師匠すら気づけば自分の側から消えてしまい、夏樹にはもはや復讐以外に何も残されていない。
「(あんな最低な未来なんか、最初からなかった。…父さんが歩んで欲しくない人殺しの道を進む僕なんて…最初から存在していなかったんだ)」
思い返すのは、自分の犯してしまった許されざる大罪の数々。
復讐の為だけに凶器を握った手で沢山の人を傷つけ、殺し合い、斬り裂く。
その度に夏樹の心はどんどんと凍てついていき、目に映る世界からは、色が消えて行った。
「(絶対に信じたくない。そんなのは只の地獄なんだから…その先にロクな結末なんて在る訳がない)」
もはや、思い出したくない悪夢。だというのに…
─そんな夢の世界で、夏樹は出会ってしまったのだ。
【──こういう時は嘘でも綺麗だって言うんですよ】
艶やかに整えられた茶色の長い髪を、エーデルワイスの花飾りと共に風で揺らす可愛らしい少女。
彼女はただ、底無しに純粋で、誰よりも優しくて、花園に住む天使と見間違えてしまうほど…明るく輝いていた。
そんな、極東を遠く離れた異郷の地で出会った彼女。
最初は勝手に付いてくるだけの変な奴でしかなく、どちらかの目的さえ終われば、直ぐにでも別れてやると夏樹は心の中で決めていた。
その筈だったのに…何時からだろう。
【…ちゃんと夜までには帰って来て下さいね】
彼女の声を耳にすれば、夏樹の中の怒りは安らぎに変わる。
【…あはは。こういうのも少し懐かしいですね」】
彼女の笑顔を見れば、その時だけは憎しみさえ忘れられる。
【こんな日が、これからも続くといいですね】
─そんな彼女の全てがどうしようも無いくらいに愛おしい。
【私は夏樹くんと一緒にいたい。それだけなんです】
【…馬鹿。馬鹿ですよ。馬鹿馬鹿!】
【──ハッピーバースデー。夏樹くん!】
気づくと、一人で歩んでいた筈の道には彼女が隣に居て、夏樹の色褪せた世界は再び色を放ち始めていた。
…罪への贖罪のつもりなんて端から無い。
けれど血に染まった手でも彼女が笑って姉に再開出来るまでは、己の命が多少削れようと守って上げたかった。
悪夢のような夢の中でも彼女の存在だけは、夏樹にとって唯一、忘れたくない「大切なもの」へ変わりかけていたのだ。
「(あれは夢だったんだから、もう会えないよ。それに、皆が生きているこっちの世界のが、何百万倍も良いに決まってる。……けれど、)」
夏樹が少し顔を上げると、じゃれ合う元と影蛉に、心配そうに此方を見る伊月の姿が目に入る。
…自分の大切なもの達が家で仲良くテーブルを囲みながら、自分の側に居てくれる理想の世界。あんな悪夢なんかとは、まるで大違いだ。
なのに、これだけは願ってしまう。
『(─もしここに…カノンも居てくれたら嬉しかったな)』




