11話
四人が暫く進むと、いつ何が飛び出して来ても可笑しくない真っ暗な階段が現れた。
「絶対何か居るよねぇ、嫌だなぁ」
憂己が面倒臭さそうな表情で零すと、薫も頷く。
「まず薫が一人で偵察に行って来てよ☆」
景兎が階段を指差し言った。薫は「嫌だ!」と拒否したが、景兎は早くしろと言わんばかりにウィンクする。
突然、階段を降りて来る足音が聞こえギョッとする。薫達は武器を構え、息を顰めた。ゆっくりと暗闇から現れた人形ーー。
否、ロリータファッションと言うのだろうか、ふんわりとしたドレスに身を包んだ幼い少女。少女は薄気味悪い歌を小さく口ずさみながら、楽しそうに此方に歩いて来る。
「やぁっと見つけたよぉ? おにぃちゃん」
少女は急に足を止めると、薫を見て微笑む。
人形と見紛うのも無理は無い、白く透き通った肌にブロンドの髪、碧いビー玉の様なまん丸い目が特徴的な整った顔。
だが、少女の着ている元は淡いピンク色であったであろう服は返り血で真っ赤なまだら模様。薫の頭の中で警戒音が鳴り響いた。
「お前ら! 気をつけろ!」
薫は叫び、咄嗟に景兎の手を引き護るように背中に隠す。
「なんで? なんで怖がるの? ヒドイよおにぃちゃん……」
少女は悲しそうに呟くと、その場に顔を伏せてしゃが見込むと肩を震わせる。急に泣き出した少女に、薫は戸惑いながらも、恐る恐る近付き声を掛けようとする。途端、勢い良く顔を上げた少女は狂ったように高笑いした。
薫は茫然とし動けないで居ると、少女は片手に持っていた包丁を薫の首元に突き付ける。
「油断しすぎじゃあ、ないのかなぁ?」
「かおるっ!」
景兎が叫びながら銃を少女に向けて構える。
少女は顔だけを景兎に向けると冷たい声色で言った。
「それ以上うごかないでぇ? ほんとうにぶっ刺しちゃうよ?」
景兎は少女のあまりの形相に恐怖で全身がガクガクと震える。憂己が景兎の銃を持っている腕を優しく掴むと「大丈夫だから、落ち着こう?」と優しく宥めた。
憂己の言葉に力が抜けた景兎は銃を降ろすと、ぺたんとその場に座り込む。凛々が景兎に駆け寄り優しく背中を摩りながら、少女を思いっきり睨んだ。
鬼の様な形相から一瞬であどけない笑顔に表情を変えた少女は薫に突き付けていた包丁を降ろすと、くるりと身体を此方に向ける。
「蜜蜂蟻巣、十歳。甘いものと、イタズラがだーいすき☆」
突然の自己紹介に四人が面を食らっていると、蟻巣が不機嫌そうに言った。
「おにぃちゃん達のお名前は? 知りたいなぁ?」
「僕は篠宮憂己。よろしくね? アリスちゃん」
憂己が作り笑顔で言うと、蟻巣は「よろしくね。憂己おにぃちゃん☆」と微笑む。『また機嫌を損ねたらマズイ』と直感的に感じた薫達も憂己に続いて自己紹介。
すると、蟻巣は満足そうに笑い「うーん」と何か考え始める。そして、持っていた包丁をポイっと投げ捨てる。
「アリス『殺していいよ』って言われてたし、みーんな殺すつもりだったんだけどきぶんじゃないみたい。見逃してあげる☆」
蟻巣の言葉に薫達の背筋が凍る。目の前の少女の気分次第で〝ゲームオーバー〟だったかもしれないのだ。
「なぁ……アリス」
「なぁに?」
「さっきそこに転がってたゾンビお前が殺ったのか?」
「んふ、せいかーい☆」
薫の質問に蟻巣は笑顔で答え「また遊ぼうね☆」と、階段を笑顔で駆け上がって行った。とんでもなく危険な幼女が去り四人は胸を撫で下ろす。
「世のロリコン達はアリスにも萌えるのかなぁ?」
何故かヒソヒソ声になって景兎が言う。
「確実にトラウマになるな」
「萌え〜と思った次の瞬間にはこの世に居ないかもしれないね」
薫と憂己が口々に答えると、凛々も「うんうん」と激しく頷く。
辺りを警戒しながらやっと階段を上り終え二階へ着く。
滅多刺しにされた死骸が廊下に散乱しているのを見て『アイツだ……』と四人は苦笑いする。
ありすちゃーん!
もっと狂気的にしたかったのだけれど
文章力が足りず……断念。
ここまで読んで頂きありがとうございました!




