9 まだまだ続く殿下の猛攻
罰だと言って七才児の姿のままでいる殿下とそれを許している陛下。それで良いのか?王家。
わたくしたちの婚約は継続のままになっている。
わたくしの美容液は我が家を主体に売り出すことにした。特級品にはわたくしの魔力が入っているので売るとなるととてつもなく高額だ。
それでも赤ちゃんの様なぷるっとしたお肌になるので売れている。喉から手が出るほど欲しくなるのですって。小皺くらいなら元に戻るらしい。(自分でも恐ろしい)
お母様とお祖母様がとても乗り気だ。
「美への飽くなき願いは全女性の願いなのよ」とは二人の言葉だ。
ブランド名はお母様の名をいただいてローズ化粧品という名にした。化粧水、美容液、クリームという高級ラインナップで攻めている。
魔力を入れない物も売っている。薬草は吟味しているので品質には問題がない。裕福な平民が買える値段設定にした。
いずれはファンデーションも作りたい。肌の色に合わせて色味の充実は必須。薄付きで染みが隠れるやつね。魔力を入れれば可能になるはず。
ローズ化粧品は今や我が国を代表する化粧品メーカーになりつつある。
商会を作り代表はわたくしで実際の管理はアーサーにして貰っている。アーサーはわたくしが孤児院で見つけ育てた逸材だ。
ほら、つい最近まで断罪されるかもと疑心暗鬼だったでしょう。だから絶対裏切らない味方が欲しかったの。
彼を侍従兼護衛として厳しく育てたってわけ。それがこんなに役に立つ男になるとは!良くやった昔のわたくし。経営を取り仕切り営業もやってくれていて有能だ。
忙しすぎて休めないのは良くないので信頼のおける部下を募集した。
お父様に許可をいただき、まずは身元の確かな公爵家の使用人から希望を募った。
見習いから始めさせるつもり。アーサーの下で働いても文句を言わないのが大事だからね。元孤児の下では働けないと言ったらそれまでの話だ。
美容液は謁見の前に王妃殿下にも献上しておいた。(だからこその援護射撃だったのかも。ふふっ)
なのでわたくしには使い切れない程のお金が入って来る。焦って結婚などしなくてもいい状況になっているのだ。
そのお金で領地の道路整備と教育施設を充実させることにした。識字率の向上は領民の幸せな未来への投資だ。責任者はもちろんお兄様。
将来を楽しみに出来る未来が来るとことを五才のわたくしに教えてあげたい。
断罪に怯え絶望に泣いていたあの日のわたくしに。
◇◇◇
充実し忙しい日々にも殿下はやって来る。正装し花束を抱え、わたくしの大好きなチョコレートを添えて。宮廷のパティシエはぐんぐん腕を上げている。
ボンボンショコラ、様々なナッツをペースト状にしてチョコレートに練り込んだ物、フルーツを入れた物までラインナップは多くわたくしを虜にして離さない。
公爵家のパティシエだって負けてはいないけど、仕入れ先が違うのか微妙に味が違う。それがまた堪らないのだけど。
流石に吹き出物が心配だから食べる個数は考えているし、洗顔もフワフワに泡立てるようにしたのよ。前世では泡タイプの洗顔料があったのを思い出したの。
魔道具師に相談したらあっという間に出来上がった。凄いわ。
とわたくしがぽやぽやと考えに浸っている間にも殿下の口説きは止まっていなかった。
「リリス、会いたかった。君がそばにいないとくうきがうすい。生きていけそうにないよ。心から愛しているよ。ねえコウシャクテイに引っこして来てもいい?」
とわたくしの腰に抱きついて上目遣いに囁いくこのテクニック。つい受け入れているけれど本当は十七才の男性なのよね。危ない危ない。
七才の殿下があざと可愛い。 危険なのじゃないかしら?色々と。
懇願するような悲壮感溢れるその表情。わたくし追い詰められているのかしら?
「良いはずがないではありませんか。王妃様が泣かれますよ」
「泣くわけないよ。いい大人だよ。ねえリリス、良いよね?」
「駄目です。さあ殿下お庭をお散歩いたしましょう。チョコレートの食べ過ぎでちょっとドレスのサイズがきつくなりましたの。運動に付き合ってくださいませ」
「ぜんぜんそんな風には見えないけど。サイズが合わなくなったのなら僕がプレゼントをするよ。君に僕の色のドレスをおくらせて。今までどうしてこんな楽しいことを淡々とやっていたんだ?僕は」
「えっ!?殿下が選んでくださっていたのですか?側近の方が選んでいたのではなくて?」
「僕がえらんだに決まっているじゃないか。愛しいこんやくしゃのドレスだよ」
「そうだったのですか…。愛しいとさらっと言ったわ」
殿下の猛攻に押され気味になるアマリリスだった。
あざと可愛いちびっ子殿下の猛攻です。勝てるのか?アマリリス。




