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私に初めて告白してきた人  作者: 知香


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18/21

おまけ話 ─ペアリング①─

本編には入れたくはなかったのですが書きたかったお話です。付き合いたての二人のお話です。暇潰しにお読みください。

◆◆◆



「じゃあ、またね」


「……ああ」


離したくない手を離す。離した手は繋いでいた形のまま、ただぶらりと垂れ下がる。


宮崎は新幹線の改札を通って歩いていく。その背中を見つめるだけしか出来ない。

ホームに繋がるエスカレーターに乗る前にこちらに振り向き小さく手を振ったので、垂れ下がっていた手を上げた。表情は遠くて読み取れなかった。


そして姿が見えなくなった。


(ああって、何だ)


暫く会えなくなるのに別れの挨拶が出て来なかった。「またな」でも「じゃあな」でも言えたんじゃないかと思う。「気をつけて」でも「連絡する」でも良かった。今になって浮かんでくるなんて、遅くて嫌になる。



いろんな感情が巡っている。


宮崎は今日地元に引っ越しだった。少しでも良いから一緒に居たくて「引っ越しを手伝う」と無理を行ってマンションまで付き添った。

でも準備は殆ど終わっていて、約束の時間に業者が来て少ない段ボールを数個引き渡し、マンションの管理人に部屋の鍵を渡したら終了した。

そして東京駅まで一緒に行き、見送った。


昨日、半年振りに会って食事をして、宮崎の想いを知り追い掛けた。嬉しかった。

離したくなくて、離れたくもなくて宮崎の手を引いて俺のアパートに連れ帰った。二人で暮らした数日とは違う緊張と興奮があり、愛おしさで頭がおかしくなりそうだった。こんなにも誰かを愛おしいと思ったことは無かった。だから朝まで離してやれなかった。


それでも引っ越しという行事は延期出来ないので、業者との約束の時間よりも前に帰宅出来るように一緒にアパートを出た。これから離れ離れになる準備に行くのかと思うと、寂しさからかお互い口数も少なかった。


部屋の鍵を渡して東京駅まで行く道程こそ話すことが思いつかなかった。ただ、繋いだ手を強く握っていた。


離したくなかった。でも離さなければ仕方がない。一人、アパートまでの帰り道、電車に揺られながら空いてしまった手が力無く垂れ下がっていた。


宮崎は俺の彼女だと、昨日の出来事を思い出しては嬉しさが込み上げてくる。でも幻だったのではないか、自分に都合の良い夢でも見ていたのではないかと思ってしまうくらい、孤独感と喪失感があった。直ぐ側にあった温もりが今は無い。


遠距離はまだ始まったばかりなのに、側に居ない寂しさと、次いつ会えるか分からない不安と、宮崎が心変わりしてしまうんじゃないか、直ぐに関係が駄目になってしまうんじゃないかという心配で、頭がぐちゃぐちゃになっていた。


そして、もう会いたかった。




◇◇◇



もう何度も見た景色が窓の外を流れていく。

ここ一年は地元と東京を行ったり来たりだった。新幹線が通学電車にすら感じるくらいには何度も利用した。


そして、これからも何度も利用することになるのだろう。


これまでは大学生で、ここ一年はバイトもさせて貰えず、まあ、する余裕も無かったけれど、親にお金を出して貰っていた。親が過剰に心配になるのも無理は無いけれど、完全に親に頼ってしまっていた。

でもこれからは私も社会人。東京に遊びに行くのも自分の稼いだお金で行かなくては。幸い実家暮らしなので月に一度は福島に会いに行けるだろう。


私はちっとも福島の気持ちに気がつかなかった。


『好きな女に甘えられたら嬉しいに決まってる』


耳元で囁かれた言葉を思い出しては胸がギュッとなる。


いつから好きだった?

福島のアパートに居候させて貰っていた時だって、そんな素振りは全く感じられなかった。顔も体も痣だらけで、もともとけっして大きくない胸だし痩せてしまって女の色気も無く、年頃の男の子と狭い部屋での生活なのに何も無かった。福島は紳士だったのだ。


性欲が無いとか薄いとかでも無いだろう。

だって、昨日、福島のアパートに着いてから、キスして、ハグして……あんなことして、こんなことして……


(うわあぁぁー!)


思わず両手で顔を覆ってしまう。


別に初めてでも無いのに何故こんなにも恥ずかしく思うのだろうか。

私、浮かれてる?


付き合うことになるなんて思いもしなかった。別れを告げたらこれっきり最後になるだろうと思っていたんだから。


福島は優しかった。私の貧相な体でも強く求めて丁寧に触れ、殆どは消えたけど残ってしまった体の痣に唇を寄せて丸ごと受け入れてくれた。何も言わなくても分かっていてくれるのが嬉しいのに、こんな体で申し訳ない気持ちもちょっとある。


昨日はもう流れでやってしまったけれど、今思えば色気の無い下着だった。……今度会いに行く時は可愛いのにしよう、かな。


まあ、居候させてもらっていた時に、洗濯して干していた下着を見られたこともあるだろう。なるべく福島が出掛けている時に洗濯していたけれど、そう直ぐに乾くものでも無いから、きっと見つかったこともあっただろうな。福島のことだから見ない振りとかしてくれていた気がするけれど。


そんな紳士的でクールであった福島が、ベッドの上では愛の言葉を囁きながら快楽を求め合い、朝まで抱き締めていてくれたのだ。思い出すだけで照れてしまう。


バフンと音がして新幹線がトンネルに入り、窓には私の顔が映った。何とも情けないにやけた顔だった。こんな顔をしている自分に恥ずかしくなった。


(……もう会いたい)


福島の腕の中は温かくて安心した。あの温もりが恋しくて、遠距離が始まったばかりなのにもう会いたくて仕方がなかった。


用事も無いのにスマホにメッセージを送ったら、福島はどう思うタイプだろうか。迷惑かな?でも優しい福島はメッセージを返してくれるだろう。

遠距離って、どうしていくのが良いんだろう。分からない……。

とりあえず駅に着いたら連絡しようか。いや、家に着いたら連絡しようか……。



そんなこんなでもうじき駅に着くアナウンスが車内に流れた時、スマホにメッセージが届いた。福島からだった。『もう着いたか?』って。

何てこと無い福島らしい短いメッセージに嬉しくて頬が綻んでしまう。


地元が一緒だからどのくらいで着くか調べなくても分かったのだろう。

もしかしたら私と一緒でメッセージを送る理由を探していたのかもしれない。どんなタイミングで送ろうか悩んだかもしれない。そうだったら嬉しいのに。


だから『もうすぐ着くよ』って返信をした。ちょっとでもやり取りが続くように。




◆◆◆



四月に入り入社式を経て社会人となった。でも直ぐに仕事をする訳ではなく、毎日研修の日々だった。


「福島くん、今日の飲み会行く?」


俺の苦手な気の強そうなタイプの同期の女の子が、馴れ馴れしく腕を絡めてきた。


「行かない」


「えー!全然来てくれないじゃん!」


飲み会と言っても強制的なものでも無い。同期の一部だけでの本当にただの飲み会だ。同期の親睦を、と言いながら学生の合コンの様なノリでの飲み会だ。初任給すらまだ貰っていない身で、そこにお金も時間も掛ける気になれない。早く帰って今日の研修の復習をした方が良い。確か明後日にテストをすると言っていたし。


「腕、離して」


「冷たーい!いいよ、北海くんに声掛けるから」


会社にもいろんな人が居るもんだ。馴れ馴れしいがしつこくは無い。人の懐に入るのが上手く、コミュニケーション能力が高いのかもしれない。ボディタッチ類のスキンシップは止めて欲しいところだけど。


「福島は相変わらずモテるね~」


「香川」


内定者懇親会で親しくなった香川とは、入社してからも同期の中で一番仲が良い。


「俺なんて福島の隣に居るのに誘われもしないよ。島根さんって、気に入った人しか声掛けないよね」


「気に入られることなんて何もしてないけど」


「存在がね、目立つから。イケメンで」


「…………」


イケメンって褒め言葉じゃ無いのかもしれない、と思うのは嫌みだろうか。


「同期の中では福島と北海の二大巨頭みたいだな」


「あっそ」


「何だよ。モテてんのに嬉しくないのかよ」


「彼女がいるから関係無い」


自分で言ってて急に自覚する。宮崎は俺の彼女だ。三月の終わりに付き合いだして即遠距離になり、未だ会えていない。お互いに就職したばかりだし。それでも毎日何かしらメッセージのやりとりはしている。メッセージが来る度に嬉しくて宮崎の顔が浮かぶ。そして彼女であることが夢でも幻でも作り話でも無いと思える。


「え、そうなの?まあ、いてもおかしくはないか。どんな子なの?」


「どんな……?」


どんな子……笑顔が可愛いくて、友人が沢山いて、料理が上手くて、人を色眼鏡で見ずに真っ正面から見てくれて、……こんなことを言ったら惚気てるとか言われそうだ。


「可愛い?写真は?」


「写真……は、無い」


何せ付き合い始めたばかり。そこまで気が回らなかった。

それにこれまで付き合った元カノともあまり写真は撮らなかった。「写真撮ろう」と言われたことは何度かあるが、笑うのが苦手だから写真も苦手だったので、あまりにしつこく言われた時にしか撮らなかった。


でも不思議と宮崎とは嫌じゃない気がする。いや、それどころか欲しいなと思う。会えない日々でも写真があれば寂しさも軽減されるだろうかと期待してしまう。


「無いの!?一枚も?」


香川が大袈裟に驚く。誰もが当たり前にスマホを持ち、何処でも何時でも写真を撮影出来るし加工も出来てSNSにアップしている。恋人との写真をアップするのも多くの若者がやっている。


「付き合い始めたばかりだから」


「へえ。同じ大学だった子?」


「違う大学」


「何で知り合った子?」


「小中の同級生」


「同級生なのに付き合い始めたばかり?」


「ああ」


「まさか、同じ会社じゃ無いよね?」


「違う。地元の企業に就職した」


「えっ!遠恋!?」


香川がそんなに驚くかってくらい驚いている。


「遠恋になるって分かってて付き合い始めたのか?」


「ああ」


「何で?遠恋なんて大変じゃないのか?」


「まあ……」


大変じゃないかと聞かれれば大変なんだろう。まだ始まったばかりだけれど、会いたくても会えず恋しさばかりが増し、次会える日が待ち遠しくて予定が決まらずにもどかしい思いになる。宮崎が心変わりしたらどうしようとか、そんな心配もする。


「そんなにその地元の企業に就職したかったとかなのか?やりたいことや大学での研究がそこでなら出来るとか」


「…………」


そう言えば、どうしてそこの企業にしたとか俺は知らない。宮崎が大学でどんな研究をしていたのかも知らない。

宮崎が地元での就職を希望したのは、元カレのことがあり両親が心配して地元での就職を推したからだろう。


俺達は同級生で小学三年生から付き合いがあるが、実際接してきた時間はそんなに多くはない。同居していた数週間も会話が多かった訳では無かった。宮崎は精神が回復するまで口数が多くは無かったし、俺も気の聞いた会話のフリも出来なかった。


俺は宮崎のことをあまり知らないんだ。

写真も無い。

彼女なのに。


俺はそれ以上、香川に宮崎の話を出来なくなってしまった。




アパートに帰ってからも宮崎のことを考えてしまい、研修の復習をしたいのに全然集中出来なかった。


今夜はまだ宮崎からメッセージが来ない。スマホは大人しく休憩している。


聞きたいことが沢山ある。

どうして今の企業に就職した?

大学ではどんな研究をした?

高校生活はどんなだった?

家族は?昔姉がいると聞いたことがあるけれど他にきょうだいは?

趣味は?好きなことは?

…………


会う度に少しずつ知っていくものなのかもしれないが、俺達は会う機会がどうしても少なくなる。


スマホがあるんだから聞けば良いのかもしれない。でも、仕事で疲れているかもしれないのに質問責めにする気にはなれないし、元カレが心配性で頻繁に電話が掛かってきていたみたいなので、俺と付き合ってまた行動を監視されている様に思われたく無くて電話はしづらい。


『遠恋になるって分かってて付き合い始めたのか?』


香川の言葉にもハッとさせられた。

俺はもしかして宮崎を縛りつけているのだろうか。


俺は宮崎が見せてくれた好意に逃してたまるものかと食いついた。宮崎は好意を見せたけれどその先を望まずに去ろうとしていた。遠距離になると分かっていたからだろうか。俺は離れたらもう手に入れられなくなると思ったから手を伸ばした。遠距離でも気持ちが繋がって同じ想いを持っていられたらと、どうしようもなく愛おしくて関係を切ることなんて出来なかった。それに他の誰にももう取られたく無かった。


ふう、と息をつく。

付き合い始めても悩んでばかりか。いつまでも片想いをしている気分だ。


スマホは相変わらず休憩している。


宮崎に会いたい。会って、ちゃんと俺の彼女なんだと感じたい。

小学生の頃は宮崎の方が大きかった。いつの間にか背を追い越し、包み込める程に宮崎の方が体が小さくなった。あの華奢な体を抱き締めたい。目を閉じるとまだ思い出せるあの感触。忘れてしまうのが怖くて、一日でも早く会いたいと思う。


休憩しているスマホを無理矢理起こす。宮崎にメッセージを送った。『今日もおつかれさま』『おやすみ』と。結局何も聞けない。



暫くして返事が来た。『おつかれさま』『連絡ありがとう。嬉しかった』『おやすみなさい』と。


返事が来たことに安堵しながら、俺が知らないことだらけの宮崎が、俺が居ない俺の知らない場所で世界を広げていくことに不安になる。


手に入れたら入れたで失うのが怖くなるのか。

こんな恋愛は初めてだ。





数日後、初めての給料日を迎えた。


研修しか受けていなくても給料は貰えるらしい。会社からしたら凄い投資だ。まだ利益になら無い多くの新入社員に将来を期待して前払いするのだ。給料どころか研修にも多くの費用を掛けて、会社の先輩社員の時間も割いている。


給料明細を見ながらバイト代とは違うなと思う。お金が入るのは嬉しいけれど、不思議なプレッシャーを感じた。


香川や他の同期と初任給の使い道なんかの話をした。結構の人数が親に何か送ったり食事を奢ると話していた。

暫く帰省する予定は無いので奢るとなると先の話になるだろう。それとも大型連休に帰るか?宮崎にも会えるしそれでも良いかもしれない。宮崎に予定を聞いてみようかと考えながら、でもいつも帰省するのは夏と冬だから急に帰ったら驚かれるだろうか。母とも未だにギクシャクしているし、気まずいは気まずい。不器用な者同士、そう簡単にはいかないのだ。



その日の就業後、同期との飲み会に参加した。殆どの同期が参加するとのことで断われる雰囲気では無く、居酒屋の隅にでも居ればいいやなんて考えて出席した。……が、何故だか甘かった。


「福島くんここね!」


なんて言われて席を決められ、無理矢理香川と離された。気がつけば周りには女子ばかり。


「何飲む?生でいい?」


「食べたいものある?私取るよ!」


「この間のテスト良かったんでしょ?凄いね!」


「私、研修で分からないところがあって、教えて欲しいんだけど」


……何故こうなった!?


「俺、あっちの席に移動したいんだけど……」


「えー!福島くん、あんまり同期飲みに参加してくれないからもっと話を聞きたいんだけど」


「大学生の頃はどんなバイトしてたの?」


「サークルとか何かやってた?」


……いや、もう怖い。女子怖い。


「福島くん、モテモテだね」


少し離れたとこから島根が会話に割って入ってきた。いや、俺は殆どの問いに答えてないから会話にはなっていないけれど。


「男らと飲みたいんだけど……」


「無理だね。北海くんに彼女がいるって知れてから福島くんに狙いが集中してるんだよ」


何!?


「俺も彼女いるんだけど」


「え!」


「そうなの!?」


「うそ!」


何故そんなに驚くのかと思う程、周辺の女子がざわついて、それにつられるように他のテーブルのグループにも広がっていく。


「またまた~!今この状況から逃げたくて彼女いるって嘘言ってるんじゃ無いの!?」


島根が言った言葉にピクッと体が反応した。


「えー!嘘彼女!?」


「仮想彼女ってこと?空想彼女かな!?」


「嘘つくなんて酷い」


島根につられて周りの女子にまでそんなことを言われた。


それはまるで彼女である宮崎自体を存在していないと否定されているようでもあった。


何故そんなことを言われる?何故そんなことが言える?


確かに宮崎と付き合えたことを夢や幻ではないかと何度も思った。でも宮崎からメッセージが届く度にそうではないと確信できた。嘘でも仮想でも空想でも無い。


ガタッと席を立った。勝手に席を決められ、空気を悪くしたら良くないかと強く出られなかったが、もう関係無い。


「人の彼女を勝手に存在していないものと否定する君らの方が酷くないか」


思ったより低い声が出た。周りの女子は無言になったので放って香川のいるテーブルに移動した。


「……福島って、怒ると怖いんだな」


座るなり香川に言われた。


「誰だってそうだろ」


「いやぁ、ガン飛ばしの迫力がさ」


「昔の名残かな」


「お前、昔何あった……?」


ちょっと不良してました。

と言ったら、またなんやかんや噂されたり面倒そうなので黙っておこう。態々ネタを提供する必要は無いだろう。


「女子に対してもあのガンの飛ばし方は凄いな」


同じテーブルに居る男に話し掛けられた。顔を見ると男から見てもイケメンだと思う程格好良い男だった。


「頭にきて」


「彼女が大切なんだ?」


「まあ」


「一緒だな」


イケメンは嫌みの無い笑みを浮かべている。一緒ってなんのこっちゃ。


「おいおい、イケメン二人でイケメンな会話してんじゃねぇよ」


イケメンな会話って何だ。


「福島が一人女子達に捕まったのも、北海のその指輪が原因だろ?相当数の女子が落胆してたらしいじゃん」


香川がイケメンの手元を指差す。どうやらこのイケメンが北海らしい。


「結婚してるのか?」


「まだしてないって。ペアリングだよ」


ペアリングなんて、買ったことなかった。興味を持ったこともなかった。ずっと飲食店でバイトしていたのもあり、元カノにねだられた時も自分の分は買わなかった。


「職場にしてきて良いのか?」


結婚指輪ならまだしも、これは入社したてで着けてきて問題無いものなのか疑問だ。


「人事課の人に聞いたら良いって」


「態々人事課に確認したのか!?」


香川が驚くが、俺もそれには同意見だ。


「採用された女性新入社員達は行動力が凄まじい為防衛させてくださいって言ったら笑ってオッケーしてくれたぞ」


「防衛……」


北海の口の上手さに呆れ半分、人事課の度量の広さに驚きつつ、"防衛"という言葉に惹かれた。


北海の様に俺自信の防衛をしようとは思わない。正直それはどうでも良い。多分今日のことで嫌われたと思うのでもう近寄っては来ないだろうし。

けれどこれがあれば、俺の知らないところで世界を広げている宮崎に声を掛けてくる男への牽制になるのだろうか。



まだ続きます。次話は明日の更新です。

全4話あります。

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