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少女でリスタート  作者: 亀山
19/51

19 最初はこんなもん。

「アリスちゃんこの植物でいいの?」


 俺は枝豆に似た植物を持っていた。それをアリスちゃんに見せる。


「それがパーネの実だよ~、それで大丈夫!」


 笑顔で教えてくれるアリスちゃん。アリスちゃんに確認も取れたところで、周辺にあったそれを、植物で出来た袋に入れる。麻袋みたいなもんか。


 アリスちゃんと二人で、森の中でパーネの実を探していた。


 そう、冒険者での初めての仕事だ。枝豆集めだけどね。


 朝起きてみると、お酒を飲んでいた人達は二日酔いだった。俺が寝た後も残りのメンバーで飲んでたらしい。ギルマスであるシュルツさんは弟のフェリド君に職場に連れていかれた。


 あの人あんまり仕事するきないんだな……。みんなも軽く朝食を取った後、部屋に休みに戻る。エステルちゃんは昨日の事を特に気にした様子もなかったようだ。


 なんか変にギクシャクするよりはいいよね? でもなんか寂しい気もするけど……。


 みんなはお休みだが、俺は元気なのでギルドに行って依頼を受けてみようと思い。ジョイスさんにその事を伝える。


「うむ、そうじゃなぁ。とりあえずは、防具類はわしの知り合いに伝手があるからそこに頼むとしよう。アリスも一緒に行きたいそうじゃ。なぁに、最初は街の近くで採取じゃから安心せい」


 防具はすぐには必要ないようだ。アリスちゃんが一緒に行ってくれるなら安心だね。主にトイレとかね。


 いちよう護身用にと、ショートソードを渡された。


 ショートって言ってるけど思ったより長いんだな。こんくらいなら使えそうだし、大丈夫っしょ!


 そしてジョイスさんからその他に服も頂けた。白いYシャツとズボンとブーツ。


 お? 結構丈夫に作られてるんだな。作業用なのかな? よかったぁ、おじさん一張羅だったし。これで清潔感を保てるよ! そうゆうの大事だよ!


 アリスちゃんに臭いなんて言われた日には、おじさんの心は砕けてしまうよ……。


 着替えも終わると、アリスちゃんに手を引かれギルドに向かった。


 ギルドに着くと、アリスちゃんが掲示板の前に行き。これにしよぉ~っと言ってきたのでそれにしました。ええ、枝豆を集める依頼です。


 受付に行くとウサちゃん職員さんが居た。枝豆集めの依頼を頼むと、大まかな流れと腕輪を渡された。


「はい~じゃぁこれで、大丈夫ですね。その腕輪をつけてみてくださいっ。そしたら腕輪に意識を集中してくださいね~」


 言われた通りにすると、腕輪が光る。


 おお! 使えたよ! ん……? なんか頭の中にイメージが流れ込んでくる。空っぽの空間かな?


 不思議そうに腕輪を見ているとウサちゃんが声をかけて来た。


「大丈夫そうですね~? それが空間収納の魔法をサポートしてくれるアイテムですよ~。最初はそれをつけて感覚を覚えてくださいね? そのうちなくても出来るようになりますから、安心してください~」


 にっこり笑顔でそう伝えるウサちゃん。ふんわりしてる感じが可愛いっす。


 受付で説明を受けてると、奥から人がやってくる。かなりだるそうにしていた。


「おー……。さっそく来たんだな。お前ら元気だな……。俺はもう寝たいよ……。サブリー俺帰っていい?」


 ギルマスのシュルツさんがやって来た。二日酔いは辛いからね、だらだらしたいよね? すごく分かる。


 昨日さぼったから駄目ですっ! そう言われ泣きそうな顔で奥に消えて行ったシュルツさん。なんか普段は駄目な人なんだなきっと……。


 とりあえずウサちゃんことサブリーさんから依頼を受け、街の外へ向かった。


 初めて入った時は気にしていなかったが、出入り口に警備の人が立っている。


「こんにちわっ! 依頼を、受けたので! 街の外に行ってきます!」


 アリスちゃんは警備の人に元気よく、挨拶をして街の外へ出ることを伝える。


 あんまり遠くへ行っちゃ駄目だよと警備の人に笑顔で言われ、見送れた。


 そして今は森でうろうろしながら、枝豆もとい、パーネの実を探している。


 結構集まってきたな。腕輪に意識を集中させてっと……。おお! 収納出来た! なんか入ってる気がする!


 手に持っていた麻袋が光ると消えていた。どうやらちゃんと魔法が使えたようだ。


 途中休憩を挟みながら、収集を続ける。そうしていると、木の間に大きなクモの巣を見つけた。


「アリスちゃんこれは? こんな大きなクモの巣、みたことないんだけど……」


 そう言うと、アリスちゃんはクモの巣を見ると表情が明るくなる。おや? これもなんか収集品なのかな?


「わぁ~! アキラおねえちゃん、これウールスパイダーの巣だよ! お洋服に使うと、凄くスベスベで気持ちいいんだよぉ~」


 アリスちゃんと一緒に巣をはがして集めだす。アリスちゃんが上手に丸めて行った。


 案外ベトベトひっつかないんだな。アリスちゃんも綺麗に毛糸玉みたいに丸めてすげぇな。


 何か所が近くにもあったので集めていると、視線を感じたのでそちらの方向を見てみる。


 手のひらサイズのクモ達がこちらの様子をうかがってるようだ。


 あ……。ご在宅だったんですね? なんかすごい見てるよ、てか大きいよ! あんなの見たことないよ!


 固まってると、アリスちゃんも気づいたが。


「大丈夫だよ~、アキラおねえちゃん。ウールススパイダーは人を襲ったりしない大人しい子達だから」


 アリスちゃんがそう教えてくれる。アリスちゃんツエエな、おじさんちょっともうビビってるよ。


 確かに、こちらが近づくと後ろに下がって行く。なんか……可愛いな。すごいフワフワしてるし。


 慣れてくると可愛いもんだな。目はクモなのに二つなんだな……。なんかその、悲しそうな目で見つめないで欲しいよ! 罪悪感がおじさんにのしかかるよ!


 そう思っていると、アリスちゃんはささっと収集していった。


 クモさん達は、クモなのに植物しか食べないらしい。なんか不思議な生き物だなと思いながら、俺は先ほど収納した袋を取り出し、中身を少しクモさん達の方に投げた。


 食べてるな。なんかこっちだけ取っちゃうのも申し訳ないし、とりあえずそれで今回は……。


 クモさん達は枝豆を大事そうに抱えると、木の上の方に消えて行った。おじさんの心もこれで安心だよ。


 アリスちゃんが声をかける。


「アキラおねえちゃんは、やっぱり優しいね! 巣を取った後にアリスも上げようと思ってたんだ。またここに作ってくれるかな? って思ったの。あとお家とっちゃたお返しに、おじいちゃんがあげなさいって言ってたの!」


 なるほどな、うまく付き合って行く方法もあるんだね。アリスちゃんも優しくて良い子だね。


 頭を撫でてあげる。アリスちゃんは嬉しそうにした後に、抱き着いてきてもっとして欲しいとおねだりしてきた。


 もうアリスちゃんは欲しがりさんなんだから……。


 アリスちゃんの頭を撫でてあげていると、離れた所に人影が見えた。それはフェリド君だった。


 ん? フェリド君も依頼受けたのかな? でもなんか雰囲気が……? まぁ遠くてわかんないし、ここらへんは安全だから大丈夫か。


 お昼も過ぎておなかも減ってきたので、街に戻ることにした。


 最初のお仕事はなんとか上手く出来たな。クモさんの巣も手に入ったし、やったね!

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