18 思い出はいつかセピア色
「――以上を持って、アキラ・クラモトを正式に冒険者ギルドの一員と認める!」
冒険者ギルドの一室に今俺は居る。体育館みたいなところだ。
まぁ昨日あの後散々な目に合ったけど、みんな俺の為にやってくれてるからありがたい。ただ……あんまりフリフリしたのは……ちょっと心の準備が。
精神的なダメージを負いつつも、綺麗なドレス姿で式を受ける。周りにはアリスちゃん一家、エステルちゃん達がいる。
「よし! じゃぁ終わり! 後は皆で好き好きでよろしくなっ!」
そう言って軽く終了宣言をするのは、ここラクスの冒険者ギルドのマスター。みんなが拍手してくれている。
ほんとに入学式みたいだな……。おじさんちょっと恥ずかしい。
「ちょっとぉ! シュルツさん、いちようギルドマスターなんですから、もうすこしねぇ……」
受付のうさちゃんに小言を言われているギルドマスター。笑って流しております。
ちなみに、ギルドマスターはシュルツさんと言い、フェリド君のお兄さんだ。なんか軽いお兄ちゃんでフェリド君も大変なんだろうな。
式が終わると、ジョイスさんが話しかけてきた。
「アキラさんには珍しい事かもしれんが、冒険者になると命の危険もあるからの。こうやって門出を誰かの記憶に残しておく事が伝統になっておるんじゃよ」
そう言うジョイスさんはどこか懐かしそうにしている。
アリスちゃんの時もたぶんこんな感じだったんだろうな。でもあれだな、思ったより冒険者って仲間意識高いんだな。こうなんかもっと、殺伐としてるかと思ったのに。
所属式でギルドマスターが言っていたのは、基本的にはルールは守ろう、人に迷惑をかけないようにする。そう言った内容だったが、特に同じ冒険者は助け合う事が大事だと言っていた。
やっぱり魔物とか、本当に危ないやつらがいるから仲間意識を大事にしてるのかな? でもなんか良い感じがするし、おじさんはそうゆうの好きだから問題ないよ!
無事に入学式のような所属式も終え、これで俺も冒険者。無職じゃないよ? 少し生産的になったよ?
その後、アリスちゃんのお家に戻ると、お祝いにみんなで宴会タイム。昼過ぎから始まった飲み会ですね。なんかでも、ギルドマスターも居るんだけど? あれ? 仕事は?
「いやぁ~、フェリドの事助けてくれたんだってな。ありがとな。あいつはなぁ、俺みたいな体力タイプじゃないからな。でもその分頭も良くて要領もいいんだけどな」
大笑いしながら弟自慢をするシュルツさん。大事にしてるんだね。
「シュルツ君飲みすぎだよぉ~。アキラちゃんひいちゃってるよぉ~。こんな酔っ払いほっといてあっち行こ~」
ちょっとエミリーひどくねっ? そう言いながら、クラウス君達の方に絡みに行った。あ……弟のフェリド君苦笑いしてる。なんか君は真面目に育ってほしいと思うおじさんであった。
エミリーさんに女子の方に連れていかれる。そうしてワイワイみんなで楽しみながら時間が過ぎて行った。
日が沈んでもまだ宴会は続いた。シュルツさんは男子達に、いいか女ってのはな! 押しが大事なんだ! なんかそんな事いっております。そして完全に酔っ払いです。めんどくさいです。
こっちはこっちで、エミリーさんを始め。なぜかみんなもお酒を飲んでおります。アリスちゃんは飲んでないけどね。
「アキラ姉はぁ良い匂いっスねぇ~。しかも可愛いとは……どうっスか、自分の愛人になるってのは?」
カティアちゃんが抱き着いてくる、出来上がっている。まぁ嬉しいからいいんだけどね! でも愛人って……。おじさん喜んでなりますとも、ええ!
そんな嬉しい冗談を聞いていると、エステルちゃん達が騒ぎ始めて、そりゃもう色々と楽しい宴会です。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、そろそろお開きに……と言うか、酔っ払いの方々を寝室に移していた。
「クラウス君とニック君、二人ともありがとうね。ちょっとこの恰好じゃ運ぶの大変だったから」
二人には酔いつぶれた、シュルツさんとフェリド君を運んでもらっていた。
「いえ、大丈夫ですよ。ギルマスはこうゆう人なんで慣れてるんで。でもこう見えてすごく良い人ですし、強いですからねぇ」
クラウス君は笑いそう言いながら、シュルツさんを運んで行く。フェリド君はニック君に抱っこされていました。お姫様抱っこでした。あれ起きたら恥ずかしい奴だな……。
女性陣はこっちはこっちで、酔っ払いカティアちゃんとエミリーさんを運んでいる。
「エステルはちっちゃくてくぁいいねぇ! 今日は一緒に寝るっス!」
エステルちゃんに肩を借りながら歩くカティアちゃん。小さいって言うな! そう言いながらも運んであげるエステルちゃんは良い子です。
その横ではエミリーさんがリーゼちゃんに絡んでいた。
「リーゼちゃんもぉ、おっぱいおっきいねぇ~。たいへんだよねぇ~おもくてぇ~」
リーゼちゃんは顔赤くして、恥ずかしがっていた。おじさんはそんな二人のある部分を見ながら、これは勝てないと思い。見つめ続ける。その顔は真剣である。
それぞれが運ばれて静かになったので、裏庭のベンチに座って休んでいた。
夜空を見上げると月が出て綺麗だった。そんな風景を片手に俺もお酒を飲む。いいねぇ……風流だねぇ。
そう思ったら運び終わったのか、エステルちゃんが戻ってきて俺の横に座った。
どうしたの? って言っても静かに横に座るだけ。
あれ? なんか怒らせた? さっきから揚げみたいなの俺がたくさん食べたからか? エステルちゃんも好きだったのな?
いろいろ考えていると、エステルちゃんがさらに近くに腰を動かすと、ぴったりくっついてきた。
「アキラ……。その……似合ってるわよ、そのドレス……」
そう言って俺の手を握る。その手は柔らかくスベスベだった。
目と目が合う。少しエステルちゃん目が潤んでいた。
やばいなこれ。まずいんじゃない。めちゃくちゃチューしたい奴じゃん! ぐぐぐ、いかんいかん! おじさんの煩悩が!
そう思っていると、小さく口を開き、小さな声でつぶやく。
「アキラなら…………いいよ……?」
見つめ合う二人。少しづつ近づく顔。あと少しで唇に……。
「アキラおねえちゃ~ん! そろそろ着替えないと風邪ひいちゃうよ!」
アリスちゃんが叫ぶ。
「ふぁい! 戻ります!」
俺は立ち上がり、顔が離れる。エステルちゃんを見ると少し残念そうだ。
でもね、エステルちゃんもお酒の匂いしてたから、飲んでたんだろうね。そうゆう気分になっちゃったんだよ。
そそくさと部屋に戻り。服を着替えベッドに転がる。
やべぇな、なんか久しぶりにドキドキしちゃった。これもあれかな? この体のせいなのかな? でも良い思い出になりましたわ。
翌日、酔っぱらってやらかした方々の、落ち込んでいる姿を見かけました。
お酒はほどほどにね!




