17 洒落乙は女子力
「わぁ~! おねえちゃん可愛い!」
アリスちゃんが拍手しながら言ってくる。
「うんうん。いいわねぇ~、アキラちゃん! 可愛いわよ! アリス、アキラちゃんの髪の毛後ろで結びましょ」
エミリーさんが頭を撫でてくる。アリスちゃんははーいっと元気よく返事をして、俺を椅子に座らせた。
うーん……どうしてこうなった……。なんか冒険者になる為の装備とかの話してたら、明日の準備するってなったけど……。
先ほど、ジョイスさんに装備の相談をしたところ、私に任せて! って言ってエミリーさんが乱入してきた。気づけばアリスちゃんも。
そして俺も気づけば着せ替え人形。衣装部屋に連れていかれてとっかえひっかえで着せ替えられている。でもどうやら決まったらしい。
白いワンピースドレスみたいなのと、二の腕くらいまで長い、これまた白い手袋。そしてガーターベルト。
おかしいな……。武器とか防具じゃないのか? なんかこのワンピドレスのスカート短くない? スースーするよ? ちなみに新しい下着もらったよ?
エミリーさんは冒険者ギルドのすぐ隣にお店をやっていて、そこは冒険の道具はもちろんのこと、衣服を作れる人がいるそうで、一緒に販売しているらしく。そこで用意してくれた。お金はジョイスさんが出してくれました。
ジョイスさんありがとう、と思いながらアリスちゃんに髪の毛をいじられる。
そして大人しく鏡越しにその光景を見ている俺。
女の子はオシャレすきねほんと。でもこのドレスなぁ……。肩と背中見せつけちゃってるけど大丈夫なの? 露出高くない? なんかおっぱい強調されちゃってるし。これはおじさんには敷居がたかいよぉ!
鏡を見つめつつ思う。ジョイスさんはお金持ちなんだね、だって鏡普通にあるもんね。そんなこんなしているとアリスちゃんが、できたっ! と叫んだ。
そこには、銀髪をハーフアップに水色のリボンをつけ、白と青で全体的にまとめられたドレス姿の少女がいる。髪と目の色も相まって、パッと見可憐なお嬢様のような感じだが。残念中身はおじさんだ。
「ちょっと……、露出度高くない? アリスちゃん。大丈夫なのこれ?」
アリスちゃんに問いかける。可愛いからだいじょうぶっ! そう言うアリスちゃん、それに頷くエミリーさん。
これもうこの恰好で明日行くしかないな……。なんか入学式みたいなノリなんだな。ジョイスさんもなんか足りない分はわしが出す! とか変に気合いはいってたし、お世話になりっぱなしです。
いろいろと諦めていたら、アリスちゃんがおじいちゃんに見せよ、っていうので部屋を移動する。
部屋で待っていたジョイスさんにお披露目した。
「素敵な恰好じゃなアキラさん。とても似合っておるぞ」
笑顔で言ってくれるジョイスさん。
「ありがとうございます……。でもなんか中々慣れなくて……」
主にスカートが。そんな事を言ってると横に居たエミリーさんは、女の子はこんぐらいオシャレしないと! やたらと女の子を強調してくる。中身はおじさんなんですが……。あんまりエミリーさんには関係ない様子だ。
お披露目していると、朝出かけていたメンバーが帰ってきた。
「アキラ! もどっ……」
固まるエステルちゃん。
エステルちゃんやどうした? おじさんの着飾った姿は駄目だったかい? ちょっとノッテ来たおじさんに引いてるのかい?
周りのみんなも無言だ。これは……良くないのか?
不意に、動き出したリーゼちゃんが駆け寄って俺の両手を取る。
「かっかわいいじゃないですかっ! アキラさんは可愛いんですからこうゆう恰好もっとしましょう!」
おおう、ぐいぐいくるね。リーゼちゃんのこうゆう姿初めて見るな。やっぱ可愛い洋服とか好きなんだね。
ちょっと照れていると、カティアちゃんも近寄ってきた。
「アキラ姉もこうゆう恰好似合うんっスね! 自分はあんまりそうゆう恰好しないっスけど、アキラ姉見てるとなんか良いっスね!」
笑顔で言ってくれるカティアちゃん。カティアちゃんのドレス姿もおじさんはすごく見たいです。
そうしてると我に返ったエステルちゃんもこちらに来る。
「すっ素敵じゃない! でもわたしは……、シャっシャツを着てるアキラも素敵だと……思うわよ?」
エステルちゃんはシャツとか結構きちっとしてる恰好が好みの様だ。おじさん覚えた。
女子からは好評のようだ。じゃぁ男子に聞いてみよう。そう思い男子二人に近寄る。
「どうかな二人とも、変じゃない? 大丈夫そう?」
そう二人に聞くと、ニック君が答える。
「アキラもちゃんと女の子の恰好すれば似合ってるんだから……。普段からもう少し気を付けてほしいもんだよ。その恰好であんまりはしゃぐなよ? まぁ心配しても無駄か……」
色々と諦めた様子であるが、褒めてくれているので大丈夫だろう。
静かなクラウス君に声をかける。
「クラウス君? どうしたの? やっぱ変な恰好かな?」
一歩近づいて聞いた。少し驚かせてしまったようだが大丈夫そうだ。
「あっ! はい! とっとてもステキですよ? 似合っていますよ?」
ちょっとイケメンにしちゃなんかポンコツな意見じゃね? おじさんも頑張ったんだからもうちょっとちょうだいよ!
そう言った後に俯くクラウス君の顔を、下から覗く。おじさん背も低くなったから見上げないと行けなくて大変だよ。
目が合う。でもちょっと下を見ている。これは……。チラ見ってやつですね? おじさん胸はそれなりにあるもんね。そりゃ見るか。でもイケメンなのに本当にこうゆうの慣れてないな……。残念なタイプなのか?
かわいそうなので後ろに下がる。顔が赤いですぞイケメンさん。
なんか自分のせいで赤くなってくれるって、いいもんだな。なんか分かんないけどいいね!
大丈夫そうかなと、思っていたらエミリーさんがじゃぁ明日はこれで行きましょ! そう言ってきた。俺はやっと解放されると思っていたがどうやら甘かったらしい。
そのままエミリーさんとアリスちゃんに手を引かれ、衣装部屋に連れていかれた。そして三名ほど女の子が増えた。
この後も俺は、長い時間着せ替え人形として、がんばりました。
あれ? 装備とかどうすりゃいいの?




