序
「今日は四人か…。日に日に減っていくな。まぁ仕方ないか。お前らも、義務感だけで無理に学校に来るなよ。どうせ後3日か?地球はもう滅亡だ。どうせ勉強したって、何にもならんぞ。…とは言え、俺も真面目だからな。誰も来なくなるまでは先生の仕事を全うしたいと思います。出席とるぞ。えーっと、奥海、鈴木、田中、吉岡」
空席だらけの教室に、四人が席に座っている。ここにいないクラスメイト達は一体今頃、どこで何をしているのだろう。
少しだけ開いた窓の隙間から蝉の声が聞こえる。七月が始まったばかりで、本来ならみんなで野球をしたり、釣りをしたり、それこそ海に行ったりして遊んでいる筈だったのに。
二時間目が終わると奥海さんが席にやって来た。
この前海で奥海さんと喋ってから、何かしらを毎日話すようになっていた。それは登校して来るクラスメイトがどんどん減っていき、お互い誰も喋る相手がいなくなったからなのは明白だった。
「田中くん借した映画見た?」
「見たよ。ジムキャリーって人は演技がうまいね。後半は見ててずっとハラハラしたよ」
カバンの中から奥海さんに借りた『トゥルーマン・ショー』のDVDを出して渡した。
ネットフリックスやアマゾンプライムは半年前から見れなくなってしまった。
「この映画って怖くない?実は誰かが作った世界の中で自分は生きてて、しかも四六時中ずーっと観察されてるってさ。人の人生を何だと思ってるんだー!って、最後苛立ったもん」
「俺はゾッとはしたかな。なんか今の俺たちも、こんな感じなのかなって思った。宇宙人に監視されてるからさ」
奥海さんは映画が好きらしい。
俺は映画を見てこなかったから、お勧めの映画を色々と教えてもらって時間を潰すのは新鮮だった。こんなことなら、もっと映画を色々と見ていれば良かったと思った。色々な名作映画を知らずにこのまま死ぬのだと思うと、何だか勿体ない気持ちになった。
もう我々には時間がないのだ。
「ねぇ!見て。実はもう一枚面白いの持ってきちゃった」
奥海さんの手には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と書かれたDVDが握られている。タイトルは聞いたことがあるが、見たことはなかった。
「簡単に言うと、過去に戻って未来を変える話し。これもかなりお勧めだから、今度これ見て。昔からこれ大好きなんだ」
「大好きなら、奥海さんも一緒に見ようよ。ほら、技術室ってDVDプレーヤーあったでしょ。もう今日は授業サボろう。勉強よりも、映画を見る方が大事な気がする」
ただの思い付きだっったし、突然だったからどうかと思ったが、奥海さんの目は輝いた。
「いいね!授業サボって技術室で映画を見るなんて、物語のワンシーンみたい!」




