表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は領地を救いたい!〜宿敵兼婚約者の光の皇太子なんて、いつか絶対に泣かせたいのに何故か溺愛されています〜  作者: ぶるどっく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/19

第七話



 貴族街の端っこ。


 侯爵という地位とは、到底釣り合わない古びて、狭い一軒の屋敷。


「父上……どうしましょうか……」


「どうしたものかなぁ……」


 使用人も雇っていない貴族の屋敷など、ヴェノム侯爵家だけだろう。


 ……最も、地下に勝手に住み着いている存在はいるが。


 今宵も聞こえる怪しい笑い声と爆発音に、頭が痛い……。


「……何故、皇太子殿下はヴァイオレットに、ヴィーに拘るんでしょう?」


「毛色の違う娘が珍しいのか……?」


「でも……持参金なんて払えませんよ?」


「ヴィーに……また恥をかかせてしまう……」


 親子揃って、顔を合わせてため息を付いてしまう。


「我が家には、皇太子殿下の婚約者など到底無理だと言うのに……」


 バーバリアンは、頭を抱える。


 元々の素質もあって王妃教育は、すんなりと出来てしまっても。


 未来の王妃として人脈を築くための社交の場には……ヴァイオレットは出ることが出来ない。


 その場に見合ったドレス一式など……日影の侯爵家には用意が出来ないのだ。


「皇太子殿下は……余程、ヴァイオレットに恥をかかせたいのでしょうね。」


「……言うな、ハロルド。」


 可愛い妹を思い浮かべ、ハロルドは唇を噛み締める。


 王家の催しに呼ばれる度に。


 流行遅れの祖母や曾祖母のドレスを縫い直し。


 どうしても足りない装飾品は、古道具屋を梯子するか、金属片を磨いて作る毎日。


「……王家主催の催しに呼ばれても、公務が最優先の婚約者はエスコートすらしない。

 あの子の誕生日であれど、困っている民のためにと公務が優先。

 それなのに……!

 他のご令嬢との関係は大切なのでしょうね!

 トースター伯爵の助言もあるのでしょうが、細やかな対応をなさる!」


 あの子が影でどれほど嘲笑されてきたことか!


 大切にする気がないならば、さっさと解放してくれれば良いものをっ!


「……ハロルド……不甲斐ない父ですまぬ……」


「父上お一人の所為ではありません!

 僕も……結局、あの子の盾にすらなってやれない……!」


 バーバリアンとハロルドは肩を落とす。


 代々、一族総出でヴェノム侯爵領の状況を変えようと努力してきた彼ら。


「……王家の怒りを買って……ヴェノム侯爵領への援助金を絶たれては……」


「……援助金が有る限り……子々孫々に、僕達は王家の玩具ですね。」


 幾ら宝を手に入れようとも。


 それは、子々孫々に永遠では無い。


 一時の大金よりも、領民が冬を越すために足りない援助金を貰う方が重要なのだ。


「少しずつでも。

 我らが領地は前に進んでいる。

 今はまだ……耐える冬なのだ……!」


 バーバリアンの父が、祖父が、そうしたように。


「いつか、いつか必ず!

 王家の援助など無くても……領民達が飢えることが無いように!」


 長い時をかけて着実に一歩ずつ。


「っ……!」


 すまない……ヴァイオレット!


 可愛い娘一人、守ってやれぬ。


 私は駄目な父親だ。


「……期待するとすれば……その他大勢の令嬢方ですね。」


 己の不甲斐なさに拳を握り締めるバーバリアンを横目に。


 冷静にハロルドは、王城で得た情報を脳裏で纏め上げていく。


「その他大勢の令嬢方……?」


「水面下で、皇太子殿下の真実の婚約者の座とやらを奪い合ってるのです。」


 何を言っても、ヘラヘラ笑っている僕を相手に囀る宮廷雀には事欠かない。


「なんでも、ヴァイオレットは何処の誰かわからない皇太子殿下の最愛の姫君を守る盾だとか。

 ヴァイオレットは、光の皇太子殿下が真に愛している姫君を守るために用意した……捨て駒らしいですよ」


 くだらない。


 心底くだらない王城の権力遊戯。


 そして、着飾ることしか脳のない令嬢達。


 そんなくだらないお遊びの盤上に、僕の大切な妹を使うな……!


 反吐が出る!


「…………ハロルド」


 背筋に寒気の走る酷薄な笑み。


 我が息子ながら……誰に、似たのか?


 恐らく、歴代のヴェノム侯爵家始まって以来……最高の侯爵となるだろう。


「……まさに、この子達の代こそ黄金期か……」


 バーバリアンは、苦笑する。


 そう遠くない未来。


 老兵はただ去るのみ。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

続きが気になったらブックマークと☆☆☆☆☆をお願いします(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ