↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
願いの外交官  作者: トコトコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/37

第25話 虚無

 鍵を入れ……ガチャ、とドアノブを回す音。

 「ただいま」とハクの声が聞こえる。

 ハクは、リビングに入ってきて「……何かあったんだね。深刻そうな顔をしている」とお見通しだった。

「あのね、ハクはどう思う?」

 私はこれまでの話を説明した。

「……そうか。漆井さんと言えば、私達の大学にいるね。確か学科ごとに担任がいるけれど、私達の学科の担任だったはず。意外と世間は狭いね」

「……調べてもらいますか、その漆井って人を」

 ハクは椅子に座り、明日香を見る。

「そうだね……こちらも調べておくよ」

 ハクは特に焦りはないのか、淡々と答えた。

「ご、ごめん。私のせいで大変なことに……」

 あわわわ、としている私を見て母は口を開く。

「大丈夫ですよ。きっと、何事も無く平和に終わりますからね。もしも、何かあっても私達3人や他に協力してくれる人もいますよ。私達で乗り越えましょう」

「お、お母さん……なんて良い人なんだ……」

 こうして一日を終えた。

 大学にて。

「一ツ橋(ひとつばし)友香里、一ツ橋ハク――この者達は、用心するべきだ」

「漆井さん……何故その人達を用心する必要があるのですか……」

「裏社会の人間に有名人がいてね。隠し子である可能性がある」

「誰ですか?その有名人って」

「明日香と呼ばれる人物だ。……話を変えるが、治療系の神を見つけ、保護した。怪しい……が。君達は常に援護に入れる位置にいることだ」

「えっ。明日香ってあのやばいサイコパス女じゃないですか!?まさか衝突するつもりですか……」

「上の意向だ。仕方あるまい。まさか異議を唱えるつもりか?」

「そんなわけないじゃないですか。ははは」

「それでは、私は定時なので帰宅します」

「お疲れ様ですー」




 漆井は「はぁ……」とため息混じりで、空を見ていた。

 (友人が欲しい……。職場上まともな人がいないから、あまり関わらないようにはしているが。熱い青春とは無縁だった私にとって部活という存在は悪魔だった。ライバルとの熱き戦い。私には眩しすぎる。なんならコンプレックスが刺激される。全員ご逝去して欲しい)

「この世に神がいるなら、どんな奴なんだろうな」

 (慈悲をくれる存在なら……こんな所にはいない)



 

 朝の友香里自宅にて。

「おはようーハク、お母さん。オリエンテーションなどなどが盛りだくさん!」

「そうだね……一緒に食べたら行こう」

 支度を整え、ハクと一緒に無料バスに乗った。

「この無料バス、大学から出てるから便利だよね」

「そうだね。一人三万円をコンビニ払いしたけどね」

「まぁまぁ、これで一年間乗れるんだから安いでしょ」

「うん。漆井って人に関しては明日香に任せることにしたよ。結局、私が干渉して下手にまずい事態を引き起こすわけにはいかないからね」

「そっか……ま、とりあえず、会ってみよう」

 無事に大学に着き、オリエンテーションが始まる。

「皆さん、初めまして。漆井と申します。資料を配ります」

 そこから、色々な説明があった。

 教科書購入や教科ごとの履修登録などだ。

 この人が裏社会の人かもしれないなんて信じられない。

 一瞬、冷静な瞳がこちらを覗いた気がした。

 オリエンテーションを終えた。

 「ハク、どの教科を取るの?」

 「私は友香里に合わせるよ。どうしたい?」

 「やっぱ小説に役立つのを取りたいよね。どうしようかなー?」

 シラバスを見て、考える。




 なんとか終えて、無料バスに乗って帰った。

 部屋に着いて思ったこと。

 漆井教授ってイケメンだな。

 とはいえ、気をつけないと。

 ――ピコン。

 ん?メールだ。

 漆井教授からだ、どれどれ。

 『友香里さん、忘れ物がありましたよ。履修登録は済みましたか?じっくり考えてくださいね。履修登録で困ったことや悩んでいることがあるようなら相談に乗ります。他のことでも大歓迎です。とにかく……明日も学校ですのでその時に取りに来てくだされば結構です。』

 なんて……生徒思いな教授なんだ。

 それと同時に申し訳なさが……何忘れたんだ……。

 と、手当たり次第探してみる。

 あ。

 ハンカチが無い。

 いつから落としてたんだ。




 とりあえず、眠りについた。




 昔々。

 何もない私はあの娘に似ているような気がした。

 ――夢幻の神。

 何もない私には…あの娘のようにはなれないと分かっていた。

 前世の記憶が友香里に流れ込んでいた。



 

 起きる。

 また、いつも通りの朝がやってくる。

 嵐を起こさないように……くれぐれも気をつけなくては。

 母は私をみるなり、覚悟を決めたような目だ。

「友香里は神として復活したいのですか?」

「もちろん」

 明日香は慈愛の目を向けていた。

 明日香は、娘のことは神としてよりも対等な関係でありたいと願っていたのだろう。

 彼女にとって大事なのは間違いなく娘なのだから。

 今日も大学に行った。

 帰る道中、明日香が三船連合に向かったとハクから聞いた。

 主君から呼び出しを受けたらしいと友香里は聞く。

 三船連合の様子を映像で友香里に見せる。

 『敵の組織の名前はレガシー。表向きは、最新の精神医学やAIによる「悩み解決」を謳う巨大コンサルタント集団だがその正体は三船連合と対をなす裏の外交組織だ。

1. 組織の特徴

 「願い」を「負債」と捉える。

 三船連合は「願いを叶える」ことで調和を目指すのに対し、彼らは「願いがあるから人間は苦しむ。願い(欲望)を根こそぎ奪い、人間を空っぽ(虚無)にすることで管理する」という思想を持っている。


2.連合を敵視する理由

 三船連合が「個人の願い」を尊重して秩序を守っていることが、彼らの「一括管理」の邪魔になるため。

「神の記憶」のハッキング:

最近誰かに前世の記憶(神としての力)が流れていることを突き止めており、その「神の力」を使って全人類の「願い」を一斉に消去する大規模な儀式を目論んでいる』

 と、ここで映像が途切れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。