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願いの外交官  作者: トコトコ


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24/37

第24話 証明

 執事は、「相変わらずですねぇ」と飲み物の準備を終えた。

 こちらに飲み物をくれた。

 その後は雑談し、執事のところを去った。




 一方その頃、リビングでは――。

 「ハク、遅いねー」

 「友人に会うのですから、仕方ないですよ」

 「今日は休日だもんね。私は小説でも書こうかな」

 「そうですね……どんな話を書くのですか?」

 「癒される話だよ」

 早速パソコンで書いていく。

 一応、設定は特別な綿などから生まれる、モコモコなキャラクター達。

 手芸で作られ、形が整えられることで自我を持つのだ。

 ……どこかで設定被ってるかもしれないけど、小説としては初だと思うし、なにより、私はパクるつもりではない。



 

「出来たのですか?友香里」

「ふっふっふっ。出来ました!」

 母は私のパソコンの画面を覗き、読んでくれた。

『綿から出来たマスコット。どれも、作り手によってうさぎのキャラクターとして誕生した。ある日突然、作り手が魂を吹き込み自我が芽生え体を自由に動かせるようになった。その後、目が覚めると、異世界転生していた。異世界は未開拓の地であり、マスコット達は開拓していく――。畑を耕し……』

「面白そうな話ですね。ただ、これは小説ではなくあらすじな気がしますね。もっと掘り下げて欲しいです」

「ぐぬぬ。でも、初心者にしては上出来なはず!」

「そうですね。あらすじみたいなのは具体的に書くことで改善されるはずです」

「それが難しいんだよねー」

 そういえば、デビューした人の原稿のこと、すっかり忘れてた。

 あの人は、どう書いていたんだろう。

「お母さん、デビューした人の原稿って何か参考になるかな?」

「ああ、少し待っていてください。きっと役に立ちますよ」

 母が少ししてから、リビングに戻ってきた。

「こちらの、作品はですね……病気で一旦ストップしている作品の続きらしいです。かなり評判が良いんですよ」

「よし、読んでみるー」

 『響いた。機械音が一日の始まりを告げる。白い壁塗りが霞んで見えている。ガラスの靴を履いたシンデレラのように十二時が迫っていることに私は思わずにはいられない。呼吸器に繋がれた体。誰も看取りには来ず。誰も私のことを思ってはくれていないのだろうか』

「……これは、シリーズの続きなの?」

「さぁ、それは分かりませんが……」

 なんというか、シリーズの続きではなさそう。

 どちらかというと、自伝だ。

「ねぇ、お母さん。どうにか、助けられないかな?私、すっごく胸に突き刺さって……」

「それなら、友香里がこの人の病気を無かったことに書き換えてみてはどうですか?」

「それはそうなんだけど、名前も知らない人だし、書き換えるには何か条件がありそうだなって」

「とにかく、物は試しです。やってみましょう」

 母は私を勇気づけ、書き換えてみることにした。

 目を閉じて意識を集中させる。

 ノイズが発生する。

 その人の感情、感覚、記憶が流れ込んでくる。

「先生、調子はどうです?なにやら、ファンレターが届いていましたよ。漆井って人から」

 先生は無言だ。

 細目でもどかしそうだ。

 (どうして、私は喋ることができないんだろう)

「その漆井って人、教授らしいですよ。地方の私立大学に勤めているそうで……」

 (そんな詳しく分かることある?)

「ですから、もし……この今の状況が変わったら連絡してほしい、と書いてありました。なんでも、神の力を知りたいらしいです。先生が好みそうな作り話でしょう?」

 (分かってるねぇ)

「えっと、先生の名前は、上田美香、ですよね。本名。病気は……」

 (心臓病です)



 

 ――目を開けて、パソコンを見る。

 書いてみよう。

 上田美香さんの心臓病は……治る。

 こう書いてみた。

 ていうか、どうして目を閉じて意識を集中させたんだろうか。

 なんというか、癖……のような気がする。

 前世もこんなことやってたのかな。

 というか、神の力だなんて凄い作り話を書いた人もいるもんだなー。

 だって……いくらなんでも偶然でしょ。

 そんな私の行動を見透かせるわけない。

 一応、お母さんに相談しておこう。

「書き換えられたかな?それと……意識を集中させてたら、変な話を聞いたよ」

「変な話、ですか」

「うん。漆井って教授がいて、今の状況が変わったら連絡して欲しいって。神の力を知りたいらしいんだけど、私のことを特定するのは無理だと思う。だから、作り話なのかなって思ったよ」

「……なるほど」

 母は、考え事をしているようだった。

「……そうですね。友香里のことまでは分からないと思います。ただ、どうしてその人だったのでしょうか。ただ単にファンなだけならいいのですが」

 母は何を考えているのか、という疑問が多いようで私の話を詳しく聞いてきた。

 私はそれに答えた。

「にしてもさ、どういうことなんだろ。宗教やってる人なのかな」

「そうですね……神の力を知りたいのであれば、思い当たる節はありますが」

「なになに?」

「実は最近三船連合と敵対する組織のうちの一つが神の力を手に入れたという情報がありました。もしかしたらその実験、もしくは本当か確かめるためなのかもしれません」

「裏社会の人間が関わってるかもしれないんだ」

 まじか……教授が。

「もう書き換えてしまったのであれば仕方ないですが、次からは控えた方がいいかもしれませんね」

なんとか5万字を突破しました!

ここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございます。

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5万字突破のお祝いも兼ねて、応援していただけたら嬉しいです!

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