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願いの外交官  作者: トコトコ


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第22話 仮初

 大学生活の前に、まずはオリエンテーションがある。

 オリエンテーションとは、大学の説明のようなものだ。

 後は健康診断とか、履修登録。

 履修登録は自分の受ける授業を選択することだ。

 シラバスという各授業の説明が載っている資料があるからそれを見て選択していく、という流れらしい。

 いやー楽しみだなぁ。

 入学式を終えてハクと一緒にいた。

 なんだろうか、めちゃくちゃ嬉しいなぁ。

 ハクの人間化した姿はあくまでも仮らしい。

 ハクは言っていた。

 「どうして、仮の姿なの?」

 好奇心で聞いてみた。

 「生前の行いで……少し問題があるかもしれないからね」

 ハクは視線をそらしながら自販機の前に止まる。

 「……んん?それって何をしたというんだよー」

 ハクが自販機でコーヒーを買い、私は自販機のラインナップを見る。

 「いいから、あまり触れないで」

 ハクは少しだけ困ったような表情を浮かべる。

 「はーい」

 自販機……あまり欲しいのはない。

 しかし……ここは合わせるべきか?

 ……やめとこう。

「友香里、帰ろ」

 ハクと一緒にバスに乗り、何か会話しようと試みる。

「ところでさ……今まで助けてくれてたのってハクなの?色々……」

 白露神社の火災の件を思い出していた。

 三つあったんだよね。

「それは……友香里の想像しているのは大抵そうだよ」

 一つ閃いた。

「そうなのか……ねぇ、ハクは私に良い人紹介してくれるの?」

「……え。急だね」

「だって……良い彼氏できるかどうか分からないじゃん。その点ハクが選んでくれたら安心だよ」

 ハクなら普通にどんな人かどうか分かりそうだし。

 頼らない手はない。

「友香里は……そもそも私をどう思っている?」

 不思議な質問だ。

 また視線を逸らして膝あたりを見つめていた。

「命の恩人!だってー私のこと沢山助けてくれてたじゃん。私が覚えてないだけでもっと助けてくれてたと思うし」

「私は……君が思っているような人じゃない。自分で選んだ方がいい」

 むしろどんな人なんだ。

 気になる。

 ただ、そうだな……私がハクに対して思うことといえば、私のことしか考えないで欲しい、とか。

 自分でも割ととんでもないことを思ってるな、という自覚はある。

 恋愛感情はないんだけど。

 大事な人……だから。

 今は……ずっと一緒にいたい。

 ただ、それだけ。

 私のこと、ハクはどう思ってるんだろう。

 ずっと私のことを見守ってきたんだよね。

 なんだか……よく分からないよ。

 そろそろ降りる時間だ。

 バスから降りてハクと一緒に家まで歩く。

「ねぇ……ハクはお母さんのことどう思ってるの?」

「可哀想な人、だね。後は……君が彼女を不幸にするのか、ましな未来にするのか……今の時点ではまだ分からないね」

「え……今物凄く大事な話されてる?」

 というか、お母さんの未来まずいのかな。

 私、頑張らなきゃ。

「そもそも、君の母親はいずれ報いを受ける時が来る。そうなった時、友香里はどうなるのか。……安心して。私が友香里のことは面倒見るから」

 そうか。

 お母さん、裏社会と繋がっていると言っていたけど、思ったより深く繋がりがあるんだ。

 どうしよう。

 お母さん、死んじゃう?

 そんなの嫌だ。

 ハクは冷徹な目を向けている。

「言っておくけど……共犯なんて許さないからね。まず、そうなったら本当に最悪な目に遭うから。私は……言っておいたからね」

 ハクは冷静に淡々と言った。

「ハク……お母さんは大丈夫なの……」

「君は、無事に人生を歩めるようにするし、母親のことは私が上手くやっておく」

 ほっ、と私が安心していると、ハクは一瞬微笑んでいた気がした。

 良かった……お母さんがピンチになってもハクが助けるつもりみたい。

 私は笑顔になりつつ、ハクにハイタッチしようと手を掲げる。

 ハクは少し照れているのか頬がほんのりピンク色に染まりつつハイタッチしてくれた。

 お母さん……大丈夫そうだなぁ。

 ハクがいるもんね。

 ふぁぁ、とあくびをし家に帰った。

「ただいまー」

 私がなごやかに言うと母が出てきた。

「おかえりなさい、友香里、ハク。疲れたでしょう。ゆっくり休んでくださいね」

 母が私達の荷物を預かり、リビングへ戻っていく。

 私は急いで靴を脱ぎ、そのままリビングへ向かった。

 ……母の大自然を想像させる匂いで家に帰ってきた、と思わせる。

 キィィと扉が音を立てて開く。

 その先にはハクがいた。

 ハクもリビングに入り、すでに部屋着に着替えていた。

 いつの間にか、だった。

「友香里も、着替えてきたらどうですか?」

「そうだね……部屋に行ってくる」

 重い足取りでいつもより服がのしかかってくる気がした。

 なんとか……着替えを済ませた。

 良い匂いがする。

 母とは違う……料理の匂いが。

 今日はハンバーグかな。

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