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願いの外交官  作者: トコトコ


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第21話 悔恨

 ――ピンポーン

 チャイム音が鳴り響く。

 母が玄関に行き、大きい荷物を受け取った。

 大きい荷物は母の影を塗りつぶす。

 意外と大きな段ボールだ。

「届きましたよ、パソコン」

「おおー!早速開けよう!」

 母が段ボールを開くと、パソコンとケースが入っていた。

「こ、これが……パソコンかー。デカい。おしゃれ!」

「そうですね……シルバーでかっこいいです」

 パソコンを取り出し、開く。

 起動時にキーボードが光る。

「幻想的ですね」

 母は見惚れているようだった。

 ……無事に起動できた。

 早速執筆開始だー。

 以前、スマホでやったことあったけど……二百文字ぐらい書けた。

 我ながら上手に書けた。

「パソコンが届いて良かったですね。友香里は目がキラキラしていますし」


 ◇◇◇

 

 場所は変わって海岸。

 友香里達の姿はない。

 海は波打って砂浜に書いてあった文字を掻き消す。

 時戻し、と書いてあった。

 文字はなんて書いてあったか分からなくなってしまった。

 その光景を見つける、姿がはっきりしていない者がいた。

 水のような……人の姿をしているような……そんな神が。

「……はぁ。俺みたいな海の神を頼るとはねぇ。何が目的なんだか。夢幻の神を探してると言われたものの……知るか、そんなの」

 あくびしながら、波風に当たる。

 思えば……いつからだろう。

 仕事をサボるようになったのは。

 何も知らない奴に何も言われたくない。

「いずれ戦争が起きる。神々をも巻き込んだ……そんな戦争が……アナタは信じないのか」

 機械の神から言われた言葉は……信じられなかった。

 いつも巻き込まれ、割を食うのが一般市民だ。

 そんな戦争が神々をも巻き込む……人間風情に無理だ。

 どう考えても。

 これだから、かつての名君……いや今は主君と呼ばれし者が作った失敗品は。

 ガラクタ。

 大体、その主君も面倒くさい奴だと聞いたことがある。

 というか良い話を聞かない。

 主君の駒になったら最後……容赦なく捨てられる、という話は聞いた。

 生きてたらマシらしい。

 人間には好かれてるのか。

 ならまぁ良いのか。

 確かに、有能な奴なら問題無さそうだ。

 もしくは、対等な関係を築ければ心強い。

 それがきつい。

 例えば、聞いた話によると。

「君……何してたんじゃ?」

「えっ。本読んでましたけど……」

「どんな本じゃ」

「人ぶっ殺しまくる話です」

「……そうか」

 それ以来話しかけてくることなく、疎遠になったと聞いた。

 何がいけなかったんだ。

 そもそもどんな本の内容だったんだろうか。

 それにもよる……のか?

 本人の言っていたことを要約すると、『人を殺す話読むなんて正気じゃないと思った』だろうだ。

 時代に乗り遅れてる。

 主君は昔はああじゃなかったって聞くに本当に変化についていけてないだけなのかもしれない。

 面倒くさい性格もしてそうだが。

 そういえば……機械の神も言ってたっけ。

 主君は変化が嫌いだって。

 俺は、最近仕事をサボるようになった。

 機械の神と共に革命を起こすためだ。

 上の者達の願いはなんなのだろうか。

 関わったこともないからさっぱり。

 今の現状にどう思っているのか。

 俺はただ海を眺めていた。

 機械の神は言った。

 かつての発明者に自分が失敗作でないことを証明したいと。

 なぜ、ワタシを捨てたのかしりたいと。

 そのためには、力がいる。

 上に行かなくてはならないと。

 俺は考えた。

 何をどうするつもりなのかと。

 そして聞いたら、実力を磨くのだと。

 俺は実に馬鹿げてると思った。

 彼女は人でないと同時に神とは最もかけ離れていると。

 叶うわけがない。


 ◇◇◇

 

 明日香達の家では、友香里が執筆して見せた。

 タイトルは……『神の願い』だった。

 後日、友香里はバスの説明会へ向かう。

 予定よりも早く終わり、コンビニ払いの紙を受け取り帰宅した。

 ハクも一緒に大学に入れたら良かったのに。

 海の神は、そんな友香里を見ていた。

 ……大学生に紛れて。

 海の神は気づいていた。

 彼女が夢幻の神であることに。

 思い出していた。

 あの日の悪夢を。

夢幻の神が追放される前の話。

 かつて夢幻の神は「神々の腐った制度」を書き換えようとして、海の神を含む他の神々にハメられ、ボロボロにされて追放された。

 海の神はあの日のことは後悔していた。

 そんなところも機械の神はお見通しだった。

 本当、発明者はすごいやつなんだろうなって思う。

 夢幻の神がいなくなってから、差別がひどくなったのを覚えている。

 彼女が今まで食い止めていた。

 抑止力になっていた。

 彼女には仲間がいなかった、というか一人でやろうとしてた。

 そこが敗因だった、と思う。

 海の神は、機械の神と連絡をとり、夢幻の神が見つかったことを知らせる。

 協力すると一言添えて――。

 機械の神はすべてが終わったら会いに行くと返事をして、計画をすすめると告げる。

 友香里は、大学の入学式に行き、ハクが力を増したことで、人間化できるようになった。

 船で明日香に協力をお願いし、解決したことが原因だろう。

 入学予定者に入っていると友香里に書き換えてもらい、大学生活が幕を開けた。

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