第20話 神の社会
機械の神は歩く。
歩いて……歩いて……誰かを探していた。
発明者の所は離れた。
何をワタシは生きてきたのか。
何を失ってきた。
何を忘れてきたか。
我々は考えなくてはならない。
――機械の神
神々の世界へようこそ。
いつしかそんな言葉も聞き飽きてしまった。
神々の世界はいつだって厳しい。
ワタシもそれは分かっている。
ただ……この世界のことはどうでもいい。
発明者に認めて欲しいだけだ。
しばらく歩いていると、スラム街に着いた。
「なぁ、恵みを……」
物乞いがいる。
助けよう。
千円上げた。
「そんな人ほっとけばいいだろうに」
周りから笑い声が聞こえる。
「……誰?アナタのこと、ワタシ知らない」
なんとなく、予感はしているけど。
「■■■だ。覚えておけ」
正直、どうでもいいから聞かなかった。
どうせ、上の立場……実力がある者なのだろう。
この神界は、実力社会だ。
上の立場であればあるほど実力が高く、下の立場であればあるほど実力が低い。
一言で言えば、多く信仰されているかそうでないかだ。
信仰が多ければ多いほど、神としての力も増す。
神々の制度は実力社会を築き上げている。
上に行けば行くほど恵まれるが、下の者は冷遇され、出て行ってしまった。
ただ、まれに上であるにもかかわらず出ていく者がいた。
その者達が集まった所。
そこが三船連合だ、と聞いたことがある。
具体的にどの神はいるかは分からない。
ワタシは……地位がそもそもないからだ。
ハクは、神々の制度について説明した。
「神々の世界は、とにかくコネが大事なんだよ。コネがあるってことは実力というか、才能があるってことだからね。まぁ、主君はきっとそんな社会に嫌気がさして、わざわざこちらに来たんじゃないかな」
「ハクが喋ってる!?」
そのことを聞いた明日香は立ち上がった。友香里は何が何だか分かっていない様子だ。
「いや、主君って何?武士?」
「友香里……大丈夫ですよ。いずれ分かります。それに、ちゃんと説明しますから」
明日香は今こそ、我らの神の願いを叶える時が来たと、と考えていた。
友香里はえ……本当に喋ってるの……ハクが……?と頭がぐるぐるしていた。
そもそも、喋れるなら早く喋れば良かったのに。
いや、聞こえるようになったのかも。
守護霊の記事に書いてあった。
一つ目。
いずれ、霊的存在と喋れるようになる。
それが、これかぁ。
というか……お母さん今、主君について知ってるって言っていたような。
何それ?
実は……お母さんはサムライだったの?
で、主君は主将ってこと?
正直、そんな詳しくない中、頭をフル回転していた。
なんてことだ……私は真理に辿り着いてしまったようだ。
明日香はジーとこちらを見ていた。
……ああ、お母さんもそう思うんだね。
「違いますからね。一応言っておきますが……」
母は、お湯を沸かしに行った。
ハクは……ただ黙っていた。
――後日
「お母さん、おはよー」
リビングに入ると、お母さんが私に気づく。
「友香里、おはよう」
母は緊張しているかのようだった。
ハクがいない。
「ハクは……?」
「少し、出かけていきましたよ」
「そ、そっか。……でさ、お母さんが私にしたい話って何?」
私が聞くと、少し母は考えた後、ゆっくりと口を開いた。
「私は……本当は、宗教団体に入っています。貴方の夢で、ハクが出てきたと言っていたでしょう。あの話は本当。貴方に伝えにきたんだと思います」
「……え。そうなの?なんで秘密に?」
「それは……私が裏社会と繋がりがあるからです」
「そ、そうだったの!?別に気にしなくてもいいよ。生きててくれればいいからね!」
お母さん、大丈夫なのかな。
「友香里……私は、貴方に言いたいことがあるんです。貴方は、神かもしれないんです。私の所属している所は三柱の神がいるのですが……長らく消息を絶っている神もいました」
「その神が……私?」
「ええ……ただ、信じなくてもいいんです。私だって貴方が無事ならいいの」
「何か……証拠があるの?」
「そうですね。焼印がありましたよ。といっても普段は見えないでしょうが」
「そうなんだ……分かったよ。何か、ハクから言われたの?」
私が母に尋ねた。
母は夢幻の神についてと私の役割を話してくれた。
「つまり、物語を書いてお母さんをサポートとかすればいいってことか」
「そうですね……お願いします」
「分かった!私、頑張るよ」




