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『乙女ゲー脳の冬香ちゃん、敗北する』  作者: ローガン・デメガ・カシューム


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【第7章】 瞬殺の三連敗、そして訪れる究極の選択

冷静に分析してみよう。

春樹はすでにハーフパンツ一丁に裸足。さすがに下着(インナー)は穿いているだろうけれど、残りの手札はたったの2枚だ。

夏向にしても、着ている枚数は今の私と同じか少ないはず。

私の方が負けが込んでいるみたいだが、男子2人の負けを足したらほぼ互角。

・・じゃんけんなんて所詮、確率任せの運でしかない。


(私の負けが多いけど確率なんて回数を重ねればいつか収束するはず。その時、最終的に全裸(ハダカ)になって泣くのは男子たちよ!)


——大数の法則と「確率の収束」という意味を完全に履き違えている冬香であった。


私が自分に都合の良い完璧な勝算を組み立て、心の中でドヤ顔を浮かべていると、秋也が春樹と夏向を招き寄せた。

三人で肩を組み、円陣を作って何やらヒソヒソと秘密の打ち合わせを始めている。


(……なにあれ。作戦会議?)


やがて円陣が解かれると、夏向の目つきが狩人のように鋭くなっていた。一方で春樹は「???」と頭の上に大量のハテナを浮かべている。


不気味な違和感を抱えたまま、終盤戦の幕が切って落とされた。


「さいしょはグー、じゃんけんポン!」


【勝者】 春樹:パー ✋ / 夏向:パー ✋


【あいこ】 冬香:グー ✊ / 秋也:グー ✊


「あいこで、ショ!」


【勝者】 秋也:チョキ ✌️


【敗者】 冬香:パー ✋


「さいしょはグー、じゃんけんポン!」


【勝者】 春樹:グー ✊ / 夏向:グー ✊


【あいこ】 冬香:チョキ ✌️ / 秋也:チョキ ✌️


「あいこで、ショ!」


【勝者】 秋也:パー ✋


【敗者】 冬香:グー ✊


「さいしょはグー、じゃんけんポン!」


【勝者】 春樹:チョキ ✌️ / 夏向:チョキ ✌️


【あいこ】 冬香:パー ✋ / 秋也:パー ✋


「あいこで、ショ!」


【勝者】 秋也:グー ✊


【敗者】 冬香:チョキ ✌️


——痛恨の3連敗。

しかもすべて、秋也との一騎打ちで完璧に敗北してしまった。


一瞬の出来事だった。

1負け目のスカートは、まだなんとか我慢できた。

けれど、2負け目で体操着のTシャツを脱がされ、淡いピンクのブラジャーをイケメン三人の目の前で晒さなければならなかった瞬間は、本気で泣きそうだった。自分の控えめで小ぶりな胸元が、隠しようのない現実として突きつけられてしまったのだから。

そして3負け目——ハーフパンツは、もう半ば自暴自棄の惰性で脱ぎ捨てた。


上下おそろいのピンクの下着を着用していたのが、せめてもの救いだった。

いや、最低限の破滅は回避できた……と思いたいけれど、やっぱり死ぬほど恥ずかしい!!


あっという間に重装備をすべて剥ぎ取られ、下着姿でエアコンの風が素肌に当たる私を、男子たちの視線がじわじわと焼き尽くしていく。


「やったぜ秋也!!」

「ははっ、見事なものだな」


秋也と春樹が勝ち誇ったようにハイタッチを交わす。

それに乗じて、夏向は大はしゃぎしながら「おいおい、もっとこっち向けよ」「回って回って! ポーズ取ってよ!」と、信じられないほどウザ絡みをしてきた。


……そりゃ、無理もないとは思う。

だって目の前で、女子が下着姿さらけ出しているなんて、学生生活においてありえない異常事態なのだから。


そんなあまりにも屈辱的な状況に、私は今や立っているのがやっとで、足がガタガタと震えて今にも崩れ落ちそうだった。

それでも——どうしてもはっきりさせたいことがあって、私は必死に爪を噛み締めながらその場に踏みとどまっていた。


「ねぇ、一体何をしたの……? どうして、こんなことになったのよ……っ!」


私は潤んだ目で、すべての元凶である秋也へと詰め寄った。


すると秋也は、ふっと薄い笑みを浮かべ、静かに首を横に振る。


「それに答える前に——冬香、君はまだこのゲームを続けるのかい? ここでギブアップするなら、僕の種明かしを聞く必要もないだろ。

だが、それでも続けるなら、知っておかなきゃいけないな。なぜなら、これを理解していないと、これからの勝負で冬香は――必ず全敗して、残りの下着まで剥ぎ取られることになるからね」


「えっ……!? ギ、ギブアップ……?」


その選択肢は、私の脳内には微塵も存在していなかった。あまりの不意打ちに、私は間抜けな声を漏らす。


「そうさ。夏向にあおられてズルズル続けているけれど、最後まで付き合う義務なんてない。僕は、冬香がここで大人しくギブアップする判断に賛成するよ」


あくまで秋也は、紳士的な優しいクラスメイトの顔を崩さない。


「俺としては、不戦勝だろうが何だろうが、勝ちは勝ちで構わねぇけどな。それでいいぜ?」


春樹は腕を組み、脳筋らしくあっけらかんと言い放つ。


「あれっ? もしかして俺が原因? まあ、俺としては、その可愛い下着姿のまま可愛く、『ごめんなさい! 冬香が悪かったので許してね♡』と頭を下げてくれれば、大目に見て許してあげてもいいけど?」


(……こいつ、一番ムカつく!!)


そもそも、この馬鹿げた脱衣ゲームの流れを作ったのは最初に全部賭けるよう言い出した夏向のくせに! 腹の底からドス黒い怒りがふつふつと沸いてくる。


さて、どうしよう。

冷静に考えて、夏向と秋也のペアにはもうじゃんけんで勝てる気がしない。けれど、春樹相手ならまだ勝てるかもしれない。

それに何より、秋也が使ったという「作戦の種明かし」が気になって仕方がない。


でも——ここで安全策を取って、これ以上の露出を避けるのも一つの手だ。


頭の中で、理性とプライドが激しくせめぎ合う。

絶体絶命の窮地に立たされた私は、震える拳を握りしめ、重大な選択を迫られていた——。



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