↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『乙女ゲー脳の冬香ちゃん、敗北する』  作者: ローガン・デメガ・カシューム


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/8

【第5章】 策士の小細工と、調子に乗った乙女脳

「よーし、次! さいしょはグー!」


「「「じゃんけんポン!」」」


【勝者】 夏向:グー ✊ / 秋也:グー ✊


【あいこ】 冬香:チョキ ✌️ / 春樹:チョキ ✌️


「あいこで、ショ!」


【勝者】 冬香:グー ✊


【敗者】 春樹:チョキ ✌️


「うわっ、俺かよ!」


思わぬ敗北に、春樹が声をあげた。


「ちぇー、ついてねえな」


春樹は苦笑いを浮かべながら、豪快にブレザーを脱ぎ捨てて床に放り投げる。

ブレザーの下から現れたのは、体育の授業で着ていた半袖の体操着Tシャツだ。


(ほら見なさい! 男子はもう制服の下が体操着なんだから!)


脱ぎ捨てられたブレザーを見つめながら、私は心の中でガッツポーズを決める。

男子のカード(枚数)はこれで一気に削られた。脱ぐものがなくなれば、その時点で男子の敗北だ。


(ふふっ……私の『重装備戦略』は間違ってなかった! やっぱり私の勝ち確定じゃない!)


勝利を確信して鼻高々になっていた私だったが——勝負の神様は思いのほか気まぐれだった。


「さあ、どんどんいくぞ! さいしょはグー、じゃんけんポン!」


【勝者】 春樹:グー ✊ / 秋也:グー ✊


【あいこ】 冬香:チョキ ✌️ / 夏向:チョキ ✌️


「あいこで、ショ!」


【勝者】 夏向:パー ✋


【敗者】 冬香:グー ✊


「あ……」


「よしっ! 冬香、ブレザー脱いで!」


「うぐぐ……」


春樹の嬉しそうな声に促され、私は渋々ブレザーのボタンを外して脱ぎ捨てる。

けれど、私にはまだカーディガンという厚い壁がある。余裕余裕、と自分に言い聞かせて次の手を握りしめた。


「さいしょはグー、じゃんけんポン!」


【勝者】 春樹:チョキ ✌️


【あいこ】 冬香:パー ✋ / 夏向:パー ✋ / 秋也:パー ✋


「あいこで、ショ!」


【勝者】 夏向:グー ✊ / 秋也:グー ✊


【敗者】 冬香:チョキ ✌️


「嘘でしょ!?」


「はい、冬香連敗〜! 次は何脱ぐの?」


「……カーディガンです……」


ニヤニヤと視線を送ってくる男子たちの前で、私はカーディガンを脱ぎ捨てた。

一気に二枚の防具を奪われ、上半身は薄手のブラウス一枚になってしまう。ひんやりとした視聴覚室の空気が、ブラウス越しに肌へ伝わってきて身震いが出た。


(やば……急に涼しくなってきた。でも、私にはまだブラウスの下に体操着が控えてるんだから!)


必死に自分を励ます私に、再びチャンスが巡ってきた。


「さいしょはグー、じゃんけんポン!」


【勝者】 冬香:チョキ ✌️ / 春樹:チョキ ✌️ / 秋也:チョキ ✌️


【敗者】 夏向:パー ✋


「よっしゃーー!!」


「あー……負けたか」


ついに夏向が負け、私は思わずガッツポーズを突き出した。

夏向はため息をひとつ吐くと、かがんで自分の上履きをゆっくりと脱ぎ始めた。


「あ、夏向もう裸足じゃん!」


上履きを脱いだ夏向の足元を見て、私は思わず声をあげた。

クールな見た目に反して、夏向は今日、靴下を履いていなかったのだ。……というか、よくよく男子全員の足元を見てみれば、春樹も秋也もそろって靴下を履いていない。

体育終わりの男子たちにとって、靴下を履くのは面倒だったらしい。つまり男子たちの足元は、靴を脱いだ時点でもう素足確定ということだ。


(ちょっと待って……男子たち、手札少なすぎじゃない!?)


男子たちの枚数の少なさに気づき、私の心の中にふたたび強烈な勝利の予感が湧き上がる。


「よーし、この調子でどんどんいくよ! さいしょはグー、じゃんけんポン!」


【あいこ】 冬香:パー ✋ / 春樹:チョキ ✌️ / 夏向:グー ✊ / 秋也:パー ✋


「あいこで、ショ!」


【勝者】 春樹:グー ✊ / 夏向:グー ✊ / 秋也:グー ✊


【敗者】 冬香:チョキ ✌️


「あぐっ……!」


また私!?

次は何を脱ぐべきか——ふと自分の胸元に視線を落とした瞬間、私の脳内に極上の名案がひらめいた。私はニヤリと悪魔のような笑みを浮かべる。


そして、制服の首元についているスカーフリボンを結び目からスルリと解き、ドヤ顔で床に置いた。


「はい! 負けたから1つ脱ぎました〜!」


「いやいやいや! お前それズルだろ! 服脱げよ服!」

「そうだよ、リボンなんてカウントに入るわけないだろ!」

「小物で枚数稼ぐとか汚ぇぞ冬香!」


すかさず男子三人から大ブーイングのツッコミが飛んでくる。けれど、私はすんとすました顔で胸を張った。


「え〜? 『身につけているものを1枚脱ぐ』ってルール提案したの夏向じゃん! リボンだって立派に身につけてるアイテムだし! そもそも最初に上履き脱いだとき、誰も文句言わなかったでしょ?」


「うっ……」


「それはそうだけど……」


正論(屁理屈)を叩きつけると、男子たちは言い返せずにぐぬぬと口ごもった。よし、押し切った!


(ふふん、頭脳戦なら私の勝ちね!)


調子を取り戻した私は、ノリノリで次の拳を握りしめた。


「さあ次! さいしょはグー、じゃんけんポン!」


【勝者】 冬香:グー ✊ / 夏向:グー ✊


【あいこ】 春樹:チョキ ✌️ / 秋也:チョキ ✌️


「あいこで、ショ!」


【勝者】 秋也:チョキ ✌️


【敗者】 春樹:パー ✋


「よし、春樹の負け!」


これで春樹も靴を脱ぐことになるだろう——そう高を括っていた私は、次の瞬間、あっけにとられることになった。


なんと春樹は、靴ではなく体操着Tシャツの裾を掴むと、一気に頭から脱ぎ捨てたのだ。

しかも下にはアンダーシャツを着ていなかったため、一瞬にして上半身裸になってしまった。


「どうだぁ〜! 俺の鍛え抜かれた筋肉を見ろ!!」


バッと両腕を掲げてポーズを決める春樹。

言い張るだけのことはあり、そこには引き締まった厚い胸筋と、綺麗に割れた見事なシックスパックがお目見えしていた。


「すご〜い!! ねぇ春樹、腹筋触っていい!?」


「おう、いいぜ! 遠慮なく触ってみな!」


あまりの肉体美に、私はすっかりゲームの罰であることを忘れ、興味津々で春樹のお腹に手を伸ばした。


「あっ! 思ってたほどカチカチじゃない……! しっかり固いのに、表面はすごく弾力がある……♡」


男の子の生の筋肉という未知の感触に、私の心臓はドッキドキだ。

すっかり勝ち誇り、自分が圧倒的優位に立っていると信じ切っていた私は、イケメンの肉体を堪能しながら完全に油断しきっていたのだった——。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。