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吹雪とフブキ  作者: 爆進王


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4/22

第4話 新馬戦①・馬っ気全開!!

 新馬戦当日。




 阪神競馬場は昨日からの大雨で芝は不良であった。





「…なんてこったい」





 俺は厚く黒い雲で覆われた空を見上げながら呟く。




 時折、遠くの空から稲光が見え、地響きのような低い音が聞こえてきた。





(できれば良馬場で走らせたかったんだけど、最悪の天候になってしまったな)





 俺はパドックでフブキに話しかける。





(わはははっ、何を言っている!!この嵐は我が呼んできた。我の走りを期待して、天で神が興奮しておるのだ!!)





 意外な事にフブキはこの大雨でもご機嫌だった。それに普通の馬は雷も苦手なのに、フブキは平然としている。





(フブキ、お前がいいなら何も言わないよ)





 俺は少し安心をする。ただでさえ、新馬戦では気を使うのだ。普通の状態でもパニックに陥る馬もいる。




 その時…





「残念ねぇ…フブキちゃんのデビュー戦だというのに、こんな大雨に見舞われるだなんて。おまけに雷まで…。美しい毛並みがビショビショに濡れてしまっているわ」





 美雪さんが取り巻きの美人秘書軍団を引き連れて登場した。





「美雪さん、こんにちは」




「こんにちは、真白君」





 美雪さんは大粒の雨が降る中、少し残念そうな顔をしている。





「大雨は残念ですけど、フブキはとても良い状態です。不良馬場も気にしないと思いますから、今日のレースは期待してください!!」




「頑張ってね!!でも…雨に濡れたくないんで、悪いけど早めに馬主席に戻るわね」




「この大雨ですから仕方がありません。レース後にまた…」





 美雪さんは美人秘書軍団を引き連れて、馬主席へと戻っていった。




 俺は美雪さんの後ろ姿を見送りながら…





(絶対に勝って見せますよ)





 そう誓うのだったが、ここで思ってもみなかったトラブルが発生した。





「……………」





 俺は言葉を失くす。




 そして無言のまま、厩務員さんに足を支えてもらいフブキに跨った。





(真白、我の前で歩いている牝馬。名をなんていうのだ)




(セクシーボイスだよ。馬同士なんだから自分で聞けばいいじゃないか?)




(馬鹿を言うな。馬がしゃべれるわけがないであろう!!)




(今、自分がしゃべっているじゃないか!!)




(それは我にも分からん。だが、普通の馬はしゃべらんぞ!!)




(…そうなのか。それは残念だ。しゃべれれば有利になると思ったのに…。でっ?そのセクシーボイスがお前のご立派な『馬っ気』の原因なのかな?)




(うむっ!!良い尻をしている。気に入った!!)




(何が『気に入った!!』だよ。今からレースなんだぞ。集中しろって!!)





 フブキは俺の言葉など無視して足を速める。




 そしてセクシーボイスに近づこうとする。




 俺は慌てて手綱を押さえる。





(待て!!何をする気だ!?)




(何をって?決まっているであろう!!)




(馬鹿を言うな!!)




(真白、お前も男なら分かるだろう。我の昂る気持ちを!!)




(分からんでもないが…絶対にダメだ!!)




(止めるでないわ!!)




(止めるわ!!)





 俺はフブキを止めようとするが、フブキは嫌がり首を上げ大暴れをする。




 パドックを見守る競馬ファンから失笑が漏れる。





「…馬っ気は消しかな」


「新馬戦で平常心を無くしているね。いらんわ!!」


「消し、消し。用無し」


「馬場に出ても折り合いつかんだろう」


「この馬は無条件で金子美雪のファンが単勝を買う。他の馬のオッズにうまみが出てくるね。勝負しようかな」


「去勢しろ!!」





 そんな意見が飛び交っていた。




 停止命令がかかる。




 先生が何やら関係者と話している。





「真白、先に馬場に入れるぞ!!」





 俺はフブキを落ち着かせるために、一番早く馬場入りをするのであった。

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