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吹雪とフブキ  作者: 爆進王


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3/22

第3話 初調教・暴走する!!

「おはようございます!!」





 翌朝、俺は厩舎に出向き、先生やスタッフに挨拶をする。




 しかし、先生や調教助手さん、それに厩務員さんたちはしかめっ面をしている。




 俺が『どうしたんですか?』と聞くと、先生がフブキを指さし『試しに誰か騎乗させてみようとしたんだが、フブキが誰も乗せようとはしないんだ…。無理やり騎乗しようとすると大暴れをして危なくて仕方が無い』と、頭を抱えた。





「主戦騎手ですから、当然、俺が乗りますよ!!」





 俺はそう言ってフブキに近づき、優しく首筋を撫でる。





(おはよう!!早速の暴れっぷりだね)





 俺は苦笑いをしながらフブキに話しかけた。





(うむっ!!真白か。昨晩考えたのだが、我は神から『お前を一人前の騎手に成長させよ』という使命を帯びてこの世に生まれたのだと思うのだ。だから真白、お前以外の人間を乗せぬと決めた)




(神から!?そうか、よろしく頼むよ)





 俺は半信半疑ながらも、フブキの背中に飛び乗った。





「だ、大丈夫か!?」





 先生が心配そうに俺を見る。





「はははっ、大丈夫ですよ!!案外、大人しいじゃないですか」





 俺はそう言って、騎乗しながらフブキの首筋を『ポンポン』と叩いた。





「しばらくはダートコースを馬なりでいい。折り合いに気を付けて乗ってくれ」




「分かりました」





 俺はフブキの背にまたがりダートコースを駆け抜けていく。





(………フブキ、お前…凄いな!!)




(んっ!?何がだぁ?)




(何がだって…お前、足が速い!!)




(馬鹿者が!!当たり前であろう!!我は神に選ばれたサラブレッドなのだぞ!!)





 フブキは機嫌を良くしてさらに加速をしていく。





(待て、フブキ。今日はそんなに本気で走らなくてもいいんだ!!いきなり早く走ろうとすると怪我をしてしまう!!)




(甘いぞ!!何が怪我だ!!我はそんなにヤワではないわ!!)




(う、うわあああぁぁぁ~!!)





 俺はスピードを落とそうと手綱を引くがフブキは首を上げ嫌がる。見事に折り合いを欠き、フブキはダートコースを暴走するのであった。




 初調教を終えると…





「…すみません。見事なまでに引っかかってしまいました」





 渋い顔をした先生に謝った。





「まあ、今日は仕方がねぇよ。真白、お前が騎乗できただけで良しとしよう。それで初めて乗った感触はどうだったんだ?」




「俺が今まで乗った馬の中ではズバ抜けていますね。能力があるのは間違いありません!!言葉で言い表すのは難しいですが…『天まで駆けていく』そんな感じがしました」




「…そうか。コネの無いお前にそうそうチャンスなんて巡ってこない 。真白、この馬がお前の騎手人生にとって、特別な出会いになるかもしれないぞ。このチャンスを絶対に逃すな!!」




「わかりました!!」





 先生が俺に向かって檄を飛ばした。




 俺はフブキの目を見つめる。





(ふふふっ、少しだけだが、いい顔つきになったのである!!我に任せておけ!!)




(あぁ、よろしく頼む)





 俺は顔と気持ちを引き締め、初めてのフブキの調教を終えたのだった。




 その日以来、俺とフブキの二人三脚の日々が始まった。調教は俺が乗り、時間が許す限りフブキに会いに来てコミュニケーションを取った。




 ゲート練習なども重ねて、調教でも好時計を連発する。新馬戦が始まるころにはトレセン内外でもちょっとした話題になっていたのだった。




 特に美雪さんがSNSを使い情報を発信しているので…





「キタサンブラックからまた大物登場か!?」


「白毛の怪物!?」


「来年のクラシックの有力候補!!」


「お姉様、フブキに期待!!」


「オーナーの金子美雪氏、牧場を買収!!」





 様々な未確認情報と合わせて話題になっていたのだった。





「真白、フブキの新馬戦の日程が決まった。6月21日、阪神の第6レース。芝1800mだ!!」




「!?」





 俺はあまりの早さに驚く。




 先生はこれまで有力馬は秋にデビューさせていた。当然フブキも一旦牧場に戻し、もう一段階の成長を促すと思っていたからだ。





「早いですねぇ…。6月にデビューさせるんですか?」





 思わず質問をする。





「うむっ!!『最近は叩いてから』という考え方が下火になり、『一戦必勝』で狙ったレースに向けて仕上げていくという考え方が主流になっている。俺もこれからはこの方針で仕上げていく」




「分かりました!!」





 先生の気合の入った顔を見て、自然と俺にも力が入るのだった。

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