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吹雪とフブキ  作者: 爆進王


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21/22

第21話 フブキ復活!!

「とりあえず、真白が言う失恋話を信じるとする。美雪嬢が買い取って、来春フブキと種付けをするのもいい。でも、二人とも忘れてないか?フブキは馬だぞ。話しても分からんだろうに…」





 先生が呆れ気味に言う。





「任せてください。俺がフブキに伝えますよ!!」




「お願いするわね。セクシーボイスちゃん以外にも、何頭か私のほうでも牝馬を用意するからね」




「フブキはお尻フェチみたいなので、お尻が大きい繁殖牝馬を用意してくれると喜ぶと思います」




「まあ!?フブキちゃんったら、エッチ!!」





 俺と美雪さんが二人で盛り上がる。だが、そんな俺たちを先生は半笑いで見ている。




 完全に『こいつら、何言ってんだ!?』という目をしている。





「それじゃあ、真白が今決まった事をフブキに伝える。それでもフブキの走る気が戻らなかったら、有馬記念を回避して引退する!!いいですね!!」





 先生は半ば切れ気味に言う。





「真白君、お願いね!!」




「お任せください!!」





 俺は美雪さんとガッチリ握手を交わし、緊急会議は終了したのであった。






 次の日…





「フブキ、調子はどう?」




「…真白か」




「熱発は収まったんだろう?馬場入りしようぜ!!」




「我には、もう…走る理由が見つからぬ。放っておいてくれぬか」




「…セクシーボイスの消息がつかめた」





 下を向いていたフブキが、ピクリッと耳を動かした。





「今、北海道にいる。廃用寸前だったが、美雪さんが探し出して購入した」




「本当か!?嘘なら許さんぞ!!」




「本当だ。俺がフブキに嘘などいうか!!」




「ふふふっ、あの女馬主もやりおる!!またセクシーボイスに会えるのか。こんなに嬉しい事はない!!」




「会えるだけじゃないぞ。今、美雪さんの所有馬になったといっただろう。美雪さんはお前との種付けのために、セクシーボイスを購入したんだ!!」




「な、何とっ!!」




「どうだ?フブキ。たぎってこないか?」




「わ、わはははっ!!真白、たぎってきおったわ!!」





 フブキが見事なまでの、馬っ気をたぎらせる。




 俺はそれを見て、フブキの復活を確信する。





「さあ、走ろう!!有馬記念を勝って、気持ち良く北海道に帰ろうぜ!!」




「心得た!!」





 俺はフブキを馬房から出し、坂路へと向かった。




 俺はフブキに跨るが、一向にたぎらせた馬っ気が収まる気配がない。





「フブキ、たぎらせすぎ!!種付けは来春だよ。気が早い」




「分かっておるわ!!しかし、抑えられぬこの気持ち。お前にも分かるであろう?」




「まあ、分かる…が、そのままでは走れない。自嘲しろって!!」




「…善処しよう」





 俺はフブキの馬っ気が収まるまで馬上で待ち、軽快に坂路を駆け上がっていった。





「真白、どういう事だ!?何があった!!フブキが走る気満々だったじゃないか!?」




「だから『来春にはセクシーボイスと種付けできるよ』って伝えただけですよ」




「いやいやいや、分からんだろう?お前、いつから馬語を話せるようになったんだ?」




「馬語は話せないですけど、意思が通じる感じがするんですよ」




「…そうか。にわかには信じがたいが、走る気が復活してくれたんならそれでいい。有馬記念まであと三週間、真白、休んだ分、取り戻すぞ!!」




「はい!!」





 俺はフブキの首を撫でながら、ラストランとなる有馬記念にベストの状態に持っていく事を誓う。




 『フブキ復活!!有馬記念に出走!!』というニュースが駆け巡る。




 師走の日本中が盛り上がる。




 連日、スポーツ新聞の一面を飾り、ネットでも話題を独り占めにする。




 追切も無難にこなし、いよいよラストランになる、有馬記念の当日になった。




 中山競馬場は良馬場。しかし、上空は雪雲に覆われていた。朝から雪がチラつき、天気予報では夕方から大雪になる模様だという。




 


(フブキにはいい条件で走らせたい。有馬記念の11レースまでは降らないでくれ!!)





 俺はやきもきしながら上空を見上げる。




 前検量をすまし、北風が吹き荒れるパドックへとやってきた。





「真白君、白井先生から話は聞いてるわ。フブキちゃんに伝えてくれたのね。ありがとう。心から感謝します。それから、とにかく無事に…ね」




「最善を尽くします!!」




「真白、もうお前には何も言う事はない。全てお前に任した!!」




「信頼してもらい、感謝します」




「ふっ、成長したな!!」





 俺は二人とグータッチを交わし、フブキに騎乗する。





(おい、真白。セクシーボイスの事、女馬主に礼を言っておいてくれ。褒めて遣わす、とな!!)




(その言い方…ほんとにお礼なのか?)




(我から声をかけてやるのだ。本来はそれだけでも栄誉な事なのだぞ!!)




(…まったく、フブキは意外とツンデレなんだね!!)




(だ、誰がツンデレなのだ。からかうでないわ!!)




(はいはい)





 俺は美雪さんにフブキが感謝していると伝える。




 美雪さんは『まあ、嬉しい!!もう一頭くらい、お尻の大きな牝馬を用意しようかしら!!』と、上機嫌になる。





 俺は苦笑いをし「じゃあ、豪華な祝勝会を期待しています!!」と言って、フブキを促し本馬場へと向かうのであった。

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