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吹雪とフブキ  作者: 爆進王


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16/22

第16話 日本ダービー(東京優駿) ② 前が壁!!

 大観衆の正面スタンド前。




 GⅠのファンファーレが鳴り響く。




 2枠3番のフブキは大人しくゲートに収まる。




 尻っぱねをする馬がいたりして、多少ゲート入りに時間がかかっていた。




 フブキは我関せずという顔をして、今か今かとゲートが開くのを待っている。




 俺はフブキの精神的な成長を感じ取り、首筋を優しく撫でる。




 全馬がゲートに収まった。




 日本ダービー(東京優駿)のスタートである。




 ゲートが開いた。




 フブキは出遅れも無く飛び出した。




 フブキは皐月賞のように逃げる事はせず、ゆったりと正面スタンド前から1コーナーまでを進んでいく。




 フブキの動きを見て、果敢にハナを奪いに行く馬が何頭かいた。




 俺は手綱を緩め、フブキの好きにさせている。




 フブキは最内、やや後方の位置取りで、1コーナーへと入っていった。





(フブキ、落ち着いているね)




(うむっ、今日は最後の直線で、異次元の脚を見せてやろうと思っておるのだ。圧倒的1番人気に応え、他の馬との格の違いを見せつけてやるのだ!!)




(頼もしいな。でも、ペースが落ち着いて一団になってしまった。前や横、それに後ろまで馬がいて囲まれてしまっている。直線、バラけれればいいんだけど…)




(心配をするでない。進路が無ければ、他馬を蹴散らせばよい。強引に体当たりして進路を作ってやるわ!!)




(フブキ、競馬はな、他馬の走りを妨害すると降着になるんだよ。例え1着でゴールを駆け抜けたとしても、着順を下げられてしまう。だから余りにも自分勝手で強引な騎乗はできない。あからさまな体当たりなどできんからな!!)




(これは戦いなのであろう?)




(…ルールある戦いなんだよ!!)




(ふんっ、甘っちょろいわ!!)




(とにかく、強引な体当たりは自重しろよ)




(他の馬に接触しなければよいのであろう?)




(まあ、そうだな)




(ならば、問題無いわ!!)





 俺とフブキは1コーナーから2コーナーを回り、向こう正面に入っていった。




 向こう正面に入ると完全にペースが落ち着き、馬群はひと固まりになる。俺とフブキは完全に内に閉じ込められてしまった。




 一切、コース取りを変えられない状況になる。




 俺は腹をくくり、最後の直線で馬群がバラけてくれるように祈る。




 だが、そんな俺の気持ちを知ってか知らずにいるのか、フブキは鼻歌交じりに大榎を眺めていた。




 3コーナーに差し掛かる。




 痺れを切らし、上がっていく馬がいる。





(ここで大外を回って上がって行っても、最後の直線で失速するのは明らかだ)





 俺は心ではそう思っていても、実際には焦る気持ちもあった。




 


(もしかしたら、このまま先に行かれて負けてしまうかも…)





 そんな思いが頭をよぎる。




 4コーナーを回って最後の直線に入っていく。





(バラけてくれ!!)





 俺の願いも虚しく、直線に入っても進路は塞がれたままだった。





(前が壁!!)





 俺の脳裏に嫌な言葉がよぎった。




 その時…




 フブキの体からとてつもない威圧感を感じる。フブキの体から黒いオーラが出てきたかと思うと、何かが爆発したかのような衝撃を感じた。




 体が仰け反り、落馬しそうになる。




 俺は必死に体勢を立て直すと、驚いた事に目の前の馬たちが左右に割れ、まるで『ここを通ってください』とばかりに、一本の道が広がっていた。





(わはははっ、道が開いたぞ!!真白、行こうではないか!!)





 フブキはそう言うと、悠々と馬群の中央を突っ切っていく。




 坂を駆け上がり、一瞬で他馬を置き去りにする。




 フブキを後押しするかのように大歓声がこだまする。




 坂を駆け上がると、ゴールまで約300m。




 フブキは気持ち良さそうに走り、2着以下の馬を引き離していく。




 俺は勝利を確信した。




 後続に5馬身差をつけてゴールする。




 ゴールと同時に指を二本立て、二冠をアピールする。





(フブキ、やったぞ!!ダービー馬だ!!)




(ふっ、我には正直、関係のない事だが、真白、良かったではないか!!これでお前もダービージョッキーであろう!!)




(何が関係が無いだよ!!無敗の2冠馬だぞ。これでお前の種牡馬入りは100%確定だ!!)




(夢の種牡馬生活!!よし、我は引退するぞ!!)




(いやいやいや、まだ早い。少なくとも今年いっぱいは走らないと…)




(走る意味などなかろう)




(さらに成績を残せば、お相手の牝馬の質が上がるぞ!!そこら辺にいる普通の牝馬ではなく、高額なお嬢様牝馬がわんさかと…)




(わはははっ、お嬢様牝馬か、悪くないのであるな!!)





 俺とフブキは、少し間の抜けた話をしながら、ウイニングランをする。




 スタンド前まで戻ってくると、津波のような大歓声が巻き起こる。




 俺は歓声に応え、ガッツポーズをしながら地下馬道へと消えていくのであった。

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