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ゴーレムはロボットです。  作者: 山田 ソラ


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第282話 天空への追跡


 空高く、巨大なピラミッドがゆっくりと上昇を続けている。


 雲を突き抜け、遥か彼方へ向かっていくその姿は、まるで何かに呼ばれているようだった。


 飛行船の艦橋で、カイルは腕を組んだまま空を見上げていた。


 ミーナは観測装置に向かい、飛行速度や高度、進行方向のデータを次々と読み取っては解析していく。


「解析、完了しました」ミーナが顔を上げる。


「どうだ?」


「進行方向は一定です。目標地点も、だいたい推測できました」


 カイルは小さく頷いた。「俺も同じ考えだ」


「何が分かったの?」古代文字の資料を抱えたまま、リヒトが尋ねる。


 カイルは空を指差した。「あのピラミッドは逃げているんじゃない。向かっているんだ」


「どこへ?」ナルサが眉を寄せる。


 カイルはふっと笑みを浮かべた。

「天空の都市だ」


「古代文字の記述にも一致します」リヒトが資料をめくりながら言う。「『天空への道を開く神殿』そう書かれています」


「じゃあ……本当に伝説はあったのね」母が呟く。


「本当だった」ヒカリが小さく声を漏らす。


「空の都市だー!」リーナが目を輝かせて叫んだ。


「追いかける」カイルが言う。


「もちろん言うと思った」ナルサが肩をすくめる。


「止めても無駄ね」キキが苦笑した。


 父はディスプレイに向き直り、迷いなく指示を出す。【全速前進】


 母はそれを見て、思わず苦笑を漏らした。「あなたまで楽しそうね」


 カイルは操舵席へと歩み寄る。

「ミーナ、飛行船を最大出力にしてくれ」


「了解」


 魔導炉が唸りを上げ、最大稼働に入る。ゴォォォォォ!!と飛行船全体が震え、高級魔石が次々と輝きを増していく。


「推進器出力、百パーセント」ミーナが淡々と告げる。「高度上昇、開始します」


 飛行船が加速する。ドォォォォォ!!雲海を切り裂きながら、船体は天空へと向かっていった。


 前方遥か遠く、浮遊するピラミッドの姿がまだ見える。少しずつ、確かに距離が縮まっていく。


「追いつく?」リーナが窓に張り付くようにして尋ねる。


「現在の速度なら、追跡は可能です」ミーナが答える。


「良かった」ヒカリがほっと息をついた。


 窓の外を見つめながら、ナルサがぽつりと呟く。「本当に、空の都市なんてあるのかな……」


 リヒトは静かに頷いた。

「ここまで来れば、もう伝説ではありません。歴史になります」


 カイルは操舵輪を握りしめる。

「家族旅行の続きだ」


「随分と壮大な旅行になったわね」キキが笑う。


「帰ったら皆に話しても、信じてもらえなさそう」母がため息交じりに言った。


 父はディスプレイに一言だけ打ち込む。

【思い出】


 その表示に、全員が思わず笑った。


 その頃、遥か前方。浮遊するピラミッドは、まるで誰かを導くかのように、一定の速度で進み続けていた。


 雲海のさらに上。陽光に照らされながら、巨大な島のような影が、ゆっくりとその姿を現し始める。


「見えた……」カイルが息を呑む。


「巨大浮遊大陸を確認しました」ミーナが静かに告げる。


「あれが……天空の都市」リヒトも言葉を失っていた。


 伝説の舞台は、もう目の前まで迫っていた。




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