第243話 中ボスだらけの都市
機械都市。探索開始から数日。
カイルたちは慎重に進軍を続けていた。戦う、休む、補給する、そしてまた進む。以前のカイルなら興奮して突っ込んでいたかもしれない。しかし今回は違った。
「休憩」カイルの号令に全員が即賛成した。
「やっと……」ナルサ。
キキもゴーレム馬車の椅子に座る。「連戦は疲れるわ」
リーナはソファへ飛び込んだ。「ふかふかー!」
「体力回復中です」ヒカリも座る。
「敵反応監視継続」ミーナは周囲を警戒したままだ。
「みんな、お疲れ様」母とメイドゴレームがお茶を配る。
父のディスプレイ【休息重要】。
カイルも温かい飲み物を受け取り、自前で書いた機械都市の地図を見た。現在地はまだ中心部の外縁。中心までは遠い。
「これ、本当にダンジョンなの?」ナルサが地図を覗き込む。
「都市国家くらい広いわよ」キキも頷いた。
「推定面積、王都以上」ミーナが補足する。
全員。「は?」
「広すぎだろ……」カイルも少し引いた。
数時間後、探索再開。しかし問題が発生した。
通路を曲がるとそこにいた。中ボスクラスの大型機械兵。しかも三体。
「また!?」ナルサ。
「今度は集団!?」キキ。
戦闘開始、撃破。さらに進む。
別の広場。また中ボスクラス。今度は五体。
「いっぱい!」リーナ。
「嫌な予感的中ですが……」ヒカリ。
撃破。さらに進む。そしてまた中ボス。また中ボス。また中ボス。
「多すぎるでしょ!!」キキがついに叫んだ。
「ボスクラスは普通は一体じゃないの!?」ナルサも全力同意する。
「都市防衛戦力と思われます」ミーナが
淡々と答えた。
「つまり、門番みたいなものか」カイルが言う。
「門番が多すぎる!」
父のディスプレイ【同意】。珍しく父も賛成だった。
「ボスってなんだっけ?」リーナが中ボスを見ながら言う。
「概念が崩壊中です」ヒカリも真顔だった。
実際、中ボスクラスがうじゃうじゃいた。広場ごと、街区ごと、防衛拠点ごとに配置されている。
「……中心部のボス、どれだけ強いんだよ」カイルは額を押さえた。
誰も答えられなかった。
その時、ミーナが都市中心部を見つめる。赤い瞳がわずかに揺れた。
「……観測されています」
「え?」全員が固まる。
「何かがこちらを見ています」
空気が変わった。都市の中心、巨大な黒い塔の最上部。遠すぎて見えない。しかし確かに、何者かが待っていた。
まるで侵入者が来るのを知っていたように。




