第241話 機械都市の入口
上階層・深部通路。
中ボスクラス撃破後、一行は慎重に進んでいた。以前なら巨大機械兵一体で撤退案件だったが、今は違う。ミーナ、パワードスーツ、改良ゴーレム、そして家族全員の連携。戦力が揃っていた。
「……静かだな」カイルが周囲を見渡す。
確かに異様だった。敵反応が少ない。
「不自然です」ヒカリが呟く。
「索敵範囲内、敵反応極小」ミーナも同意した。
「こういう時って嫌な予感しかしないのよね」キキが警戒する。
「絶対なんかある……」ナルサも頷いた。
その時、通路の先に巨大な扉が見えた。高さ十メートル以上、黒い金属、古代文字。
「……これは」カイルの目が細くなる。
前世の記憶に近い。機械文明。扉の横には魔石ではない、電子パネルのような装置があった。
カイルが触れる。
ブゥン……
光が走る。全員が驚いた。
「反応した!?」ナルサが叫ぶ。
「マスター認証反応を確認」ミーナが解析する。
「なんで認証されるのよ……」キキが呆れた。
「知らん」カイルも苦い顔をする。
すると重い音。ゴゴゴゴ……
巨大扉が開き始めた。冷たい風、暗闇。そして、見えた。
全員が息を呑む。
巨大空間。無数の光。金属の建物。空中を走るレール。停止した機械群。まるで"機械都市"だった。
「なに……これ……」ナルサが震える声で言う。
「ダンジョンの中……よね?」キキも言葉を失った。
「超大型文明跡地」ミーナが静かに分析する。
父のディスプレイ【危険】。
「すごーい!」リーナは目を輝かせた。
「未知領域です」ヒカリも珍しく見入っている。
カイルは静かにその光景を見つめた。前世でもこんな規模のものは見たことがない。しかし、同時に理解していた。ここは今までとは別格の、本当に危険な領域だ。
「……探索開始だ」カイルはゆっくり息を吐く。
その瞬間、都市の奥で赤い光が灯った。
一つ、二つ、三つ。そして、無数。
「敵性反応、大量発生」ミーナの目が鋭くなる。
「やっぱりぃぃ!?」ナルサが叫んだ。
静かだった機械都市が、ゆっくりと目を覚まし始めていた。




