第238話 目覚め
上階層・機械区域。ゴーレム馬車・拠点形態。
室内は暖かかった。暖房魔石の柔らかな熱。外の無機質な空間とは別世界だ。
その中で、ベッドの上にいたカイルはゆっくりと目を開けた。「……ん」
天井。見慣れたゴーレム馬車の内装。少しぼんやりするが、身体は軽かった。連戦で溜まっていた疲労もかなり回復している。
「寝てたか……」身体を起こす。
その瞬間。
「お兄ちゃん!!」
リーナが飛び込んできた。後ろからヒカリ、さらにミーナ。三人とも勢いが凄い。
ドン!!
「ぐぇ」カイルがベッドへ押し戻される。
「だいじょうぶ!?」リーナが涙目になる。
「カイル、異常有無確認要求です。」ヒカリも確認する。
「損傷確認を行います」ミーナは真剣だ。
「落ち着け」カイルは苦笑しながら軽く肩を回す。「問題ない」
ミーナが即座にスキャンした。「生命反応正常。疲労回復を確認」
その言葉に、三人の表情がぱぁっと明るくなる。
「よかったぁ!」リーナ。
「安心した」ヒカリも小さく息を吐く。
「……安堵しました」ミーナが静かに言った。
カイルは少し驚く。感情表現が以前より自然だった。
キキが入ってくる。「起きた?」
「心配したんだからね」ナルサも後ろから顔を出す。
「無理しすぎよ」母は安心したように微笑んだ。
父のディスプレイ【無事確認】。
「悪い悪い」カイルは頭を掻く。
しかし、本当に、悪くない気分だった。家族、仲間、みんなが普通に心配してくれる。そんな空気。前世ではあまり無かったもの。
「……ありがとな」カイルは少しだけ笑う。
「?」リーナが首を傾げる。ヒカリも不思議そうだ。
「感謝表現を確認」ミーナが静かに分析する。
「珍しいわね」キキが笑う。
「ほんとほんと」ナルサも頷いた。
カイルは少し照れ臭そうに視線を逸らした。
その時、外から。
ゴゴゴ……
低い振動。馬車がわずかに揺れる。
「……大型反応接近」ミーナの目が光った。
空気が変わる。カイルの目も鋭くなった。




