第229話 冬休みと再開の気配
王立魔導学院。終業式。
雪がちらつく寒い朝、学院中が妙に浮ついていた。
「冬休みだー!!」リーナが元気よく飛び跳ねる。
「長期休暇、開始です」ヒカリも静かに頷く。
周囲の生徒たちも盛り上がっている。しかし二人の頭の中にあるのは、ただ一つ、ダンジョン。
屋敷。扉が勢いよく開いた。
「ただいまー!!」
「帰宅完了」
リーナとヒカリが飛び込んでくる。工房ではカイルが設計図を書いていた。ミーナも隣で補助している。
「マスター、魔力効率に誤差があります」
「そこ修正。」
そこへ。「冬休み!!」リーナが叫んだ。
カイルの手が止まる。
「長期間行動可能」ヒカリが補足する。
沈黙。数秒後、カイルの目がゆっくりと細くなった。「……冬休み」
「あ、思い出したわね」キキがその顔を見て苦笑する。
「絶対そういう顔してる」ナルサも引きつった。
カイルはゆっくりと椅子から立ち上がる。そして、「ダンジョン攻略」
その一言で、空気が変わった。
「いくの!?」リーナの目が輝く。
「再挑戦希望です」ヒカリも頷く。
父のディスプレイ【出撃準備】。
「ダンジョン?」ミーナが首を傾げる。
「この家の恒例行事みたいなものよ」キキが笑う。
「命がけだけどね……」ナルサは少し青ざめた。
「今度はちゃんと準備してからよ?」母はため息交じりに言う。
カイルはすでに考え始めていた。高階層、機械型モンスター、新型装備。そしてAIゴーレム・ミーナ。試したいことが山ほどある。
「……行けるな」カイルは小さく笑った。
その声には確信があった。
「ダンジョンだー!!」リーナが拳を突き上げる。
「攻略開始予定です」ヒカリも静かに拳を上げた。
「危険区域ですか?」ミーナが聞く。
「ああ。でも、面白い場所だ」カイルは頷く。
ミーナは少し考えて言った。「……興味があります」
「完全にこの家に染まってきたわね」キキが笑う。
外では雪。冬が始まる。しかしカイルたちにとっては、"冒険の季節"だった。
止まっていたダンジョン攻略が、再び動き出そうとしていた。




