第228話 学習する心
AIゴーレム・ミーナ。完全自立型。自己学習型。
つまり"成長する"。最初のミーナは、かなり硬かった。
「お姉様、行動を開始してください」
「食事時間を確認しました」
「感情反応を解析します」
リーナが頬を膨らませる。「もっとふつうにはなして!」
ヒカリも頷く。「会話が少し硬いです」
ミーナは少し考えた。「……普通?」
リーナが手を引く。「こう! おはよー!」
ミーナ。「……おはようございます」
「ちがうー! おはよー!」
「……おはよー?」
リーナ、大喜び。「できた!」
ヒカリが補足する。「語尾を柔軟化必要です」
こうしてミーナの言葉は少しずつ変わっていった。
母からは、"優しさ"を学んだ。母が料理を教えながら言う。「困ってる人には優しくするのよ」
ミーナは真剣に聞く。「……優しさ」
母は微笑んだ。「難しく考えなくていいの。相手を大切に思うことよ」
ミーナは静かに記録する。
その日からメイドゴーレムを手伝ったり、リーナの髪を整えたり、ヒカリへ毛布をかけたり行動が少しずつ変わっていった。
キキとナルサからは、魔法を学んだ。キキが火球を見せる。「イメージが大事」
ミーナ。「解析開始」
次の瞬間。
ボォッ!!
巨大な火球が炸裂した。
「でかい!?」とキキ。
「初回で!?」とナルサ。
父のディスプレイが光る。【高出力】
ミーナは首を傾げた。「問題ありましたか?」
キキが慌てる。「加減! 加減を覚えて!」
続いてナルサが回復魔法を教える。「優しく魔力を流す感じね」
ミーナ。「優しく……」
ぽわっ。
柔らかな光が広がった。ナルサが驚く。
「……上手」
学習速度が、異常だった。
そして、父。問題はここだった。父はいつも通り。無言。鎧姿。巨大な骸骨。ディスプレイだけで会話する。【……】
ミーナ、停止。数秒固まる。「……」
ゆっくりと後退した。
リーナが不思議そうに聞く。「どうしたの?」
ミーナ、小声で。「……怖い」
キキが吹き出す。ナルサも笑いを堪えた。
父のディスプレイ。【ショック】
だが見た目が完全にラスボスだった。
カイルは大笑いする。「はははは! 初めて見たな、お前がビビるの!」
ミーナは真剣だった。「威圧感が異常です」
ヒカリも頷く。「同意します」
父のディスプレイ。【悲しい】
母がフォローする。「慣れれば優しいのよ?」
ミーナは慎重に父を見た。父は、ゆっくりと親指を立てる。【よろしく】
ミーナ、さらに一歩下がる。「……怖い」
カイル、再び爆笑。「駄目だこりゃ!」
屋敷に笑い声が響いた。ミーナは学ぶ。
言葉。感情。優しさ。魔法。そして"家族"というものを。
AIゴーレムだった少女は、少しずつ、本当に"少女"のようになっていった。




