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ゴーレムはロボットです。  作者: 山田 ソラ


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第224話 起動

 夜、カイルの屋敷・工房。


 静まり返った空間。机の上には、王宮の宝物庫から持ち帰った"古い機械"。


「……ほんとに動くの?」キキが少し眠そうに椅子へ座る。


「何なのか全然わかんないんだけど」ナルサも興味津々だ。


 父のディスプレイ【観察】。


「無理しないでね」母が温かい飲み物を置く。


 カイルは頷くだけ。視線は完全に機械へ向いていた。


「……懐かしいな」


 前世の記憶。パソコン。文明の象徴。この世界には存在しない技術。


 カイルは慎重に外装を開ける。


ギィ……


 内部は酷かった。埃、腐食、断線。


「うわぁ……」ナルサが顔をしかめる。


「よくこれで喜べたわね」キキも引いた。


 しかし、カイルの目は真剣だった。「直せる」


 工具を取り出す。配線修復、基板確認。一つずつ、丁寧に。時間が過ぎる。


「細かすぎて見てるだけで疲れる」キキが途中で呟く。


「集中力すご……」ナルサも苦笑した。


 父のディスプレイ【職人】。


 やがてカイルは次の作業へ移った。「ディスプレイが死んでるな」


 魔石を取り出す。透明度の高い魔石に魔力を流し込み、回路を形成していく。


「それ、代用するの!?」ナルサが驚く。


「似た原理だ」カイルは短く答えた。


 淡い光。魔石が"画面"として形成されていく。「……本当に作ってる」キキが目を見開いた。


 次はキーボード。一つずつ分解し、掃除し、接点を修復する。


カチ、カチ……


 懐かしい音。カイルの動きが少しだけ柔らかくなった。


 そして、最後。「電源だな」


 この世界に"電気"は存在しない。しかし魔石なら代用可能だ。慎重に、本当に慎重に、魔力出力を調整していく。


「出力を間違えると吹き飛ぶ」


「怖っ!?」ナルサが後ろへ下がる。


「先に言いなさいよ!」キキも離れた。


 父のディスプレイ【警戒】。


 カイルは集中する。魔石接続、配線固定、深呼吸。「……いくぞ」


 工房が静まり返る。カイルがスイッチを押した。


カチ。


 沈黙。数秒。何も起きない。


「ダメ……?」ナルサが小声で言った。


 その瞬間。


ブゥゥン……


 低い音。魔石ディスプレイに光が灯る。


 全員。「……っ!」


 文字が浮かんだ。古代文字。しかしカイルだけは読めた。


「起動した……!」


 本当に嬉しそうだった。


「動いたぁ!?」キキが驚く。


「すごっ!!」ナルサも興奮した。


 父のディスプレイ【成功】。


「おめでとう」母が微笑む。


 カイルは画面を見つめた。前世の記憶、技術、文明。それがこの異世界で、再び目を覚ました。


「……ここからだ」カイルは静かに笑う。




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