第222話 王の褒美
王宮・王妃の私室。柔らかな光が差し込む午後。
テーブルの上には、プリンと茶碗蒸し。
「まあ……!」王妃は目を輝かせた。
スプーンを手に取り、まずはプリンを一口。「……っ!なにこれ……!」
表情が変わる。甘く、なめらかで、優しい味。王妃は完全に目を輝かせた。「美味しいわ!」
「よかったです」母が嬉しそうに笑う。
続いて茶碗蒸し。一口。今度は驚きだ。
「同じ卵なのに、全然違う……!」
完全に感動していた。
「陛下を呼んで!」王妃は即座に侍女へ言う。侍女が慌てて走る。
「大事になってきたわね」キキが小声で言う。
「王様来るの!?」ナルサも緊張した。
しばらくして、扉が開く。
国王・レオンハルト。堂々とした姿。「騒がしいと思ったら……」
「あなた、これ食べてみて!」王妃が笑顔で言う。半ば強制だった。
王は苦笑しながら席につく。まずはプリンを一口。「……ほう」静かに目を細める。次に茶碗蒸し。「これは面白いな」王が頷く。「どちらも見事だ」
後ろで料理長も真剣な顔をしていた。
「カイル様が作ったのよ」王妃が楽しそうに言う。
王の視線がカイルへ向く。「……またお前か」
キキが吹き出しそうになる。カイルは平然。「頼まれました」
「相変わらず面白い男だ」王は笑い、テーブルに肘を置いた。「感謝する」真面目な声だった。「王妃がここまで喜ぶのは久しぶりだ」
「本当に美味しかったわ」王妃も頷く。
「すごい評価……」ナルサが小声で言った。
その時、王が懐から取り出したもの。重厚な鍵。金色、魔力を帯びている。カイルへ放る。
「……これは?」受け取りながら聞く。
「宝物庫の鍵だ」王が口角を上げた。
空気が止まる。
「は?」キキ。「えぇ!?」ナルサ。母も驚いた。
「一つだけ好きなものをやろう」王は楽しそうに続ける。
「特別よ?」王妃が微笑む。
「プリンの対価じゃないわよこれ……」キキが小声で言う。
「国宝とかある場所じゃ……」ナルサも青ざめた。
父のディスプレイ【高価値】。
カイルは鍵を見る。ずっしりと重い。
「遠慮するな」王は笑う。「お前なら、変な物を選びそうだがな」
「それは否定できません」キキが即答した。
王妃がくすくす笑う。
「……宝物庫か」カイルは静かに呟いた。
その目はすでに、"何か"を考え始めていた。




