第217話 没頭の代償
中央ダンジョン・中層。
カイルたちは順調に進んでいた。《パワードスーツ》その性能は想定以上だった。
低階層のモンスター。
ドン!!
一撃。
「軽いわね」キキが余裕の表情で言う。
ナルサも驚く。「全然違う……!」
以前とは別次元の戦闘だった。母の防御。父の前衛。キキの中距離戦。ナルサの魔法。そしてカイルの統率。子供組不在でも、連携は成立していた。
「次、来るぞ」
敵の動きもよく見える。
ガキィン!!
機械系モンスター。だが今回は違う。
キキが関節部を狙う。「ここでしょ!」
バキィ!!
装甲の隙間に命中。ナルサが魔法を叩き込む。「貫通!」
ドォン!!
内部コアにヒット。機械が停止する。ヒカリがいなくても、学んだ知識が活きていた。
カイルが頷く。「いい」
父が大剣でトドメ。ズバァ!!【撃破】
母が言う。「連携、上手くいってるわ」
ナルサが笑う。「これならいける!」
戦闘は続く。一戦。二戦。三戦。どれも安定。ミスはあっても、崩れない。
カイルの目が鋭くなる。「……完成に近いな」
時間が過ぎる。だが誰も気づかない。止める者がいない。
キキが言う。「もう少しだけやる?」
ナルサも乗る。「いけるとこまで!」
母も苦笑しながら。「ほどほどにね?」
父の胸のディスプレイ【継続】
カイルは少し考えて「……あと一回」
だが。その"あと一回"は、終わらなかった。
戦闘、検証、改善。繰り返し。気づけば、かなり深くまで来ていた。
カイルがふと呟く。「……何時だ?」
誰も答えない。静寂。
母が空を見上げるように言う。「……時間、だいぶ経ってるわね」
ナルサが青ざめる。「え、ちょっと待って」
キキが顔を引きつらせる。「……やりすぎた?」
カイルは無言。ただ一言。「……戻るぞ」
頭をよぎる。学院からリーナとヒカリが帰って来ているかもしれない……"もう遅い可能性"が静かに、確実に広がっていた。




