第216話 内緒の実技試験
朝、カイルの屋敷。
まだ日も昇りきらない、静かな時間。カイルは一人、庭に立っていた。
「……よし」
小さく呟く。その背後に、キキ、クレア、父、そしてナルサ。
キキが眠そうに言う。「ほんとに行くのね……」
カイルは淡々と答える。「実戦確認だ」
ナルサが少し不安そうに聞く。「リーナとヒカリは?」
「学院」
母が苦笑する。「黙っていくのね」
カイルは少しだけ視線を逸らす。「……あいつら、絶対に怒るからね」
キキが笑う。「正解ね」
父のディスプレイ。【出発】
ゴーレム馬車が起動する。ガシャン……
カイルが乗り込む。「短時間で終わらせる」
ナルサも覚悟を決める。「了解」
母が言う。「無理はしないでね」
キキが肩を回す。「試すだけ、よね?」
カイルが頷く。「深追いはしない」
馬車が動き出す。まだ眠る街を抜け――ダンジョンへ。
一方その頃。王立魔導学院。
リーナがあくびをする。「ねむい……」
ヒカリが言う。「生活リズム乱れ」
リーナがぽつり。「……なんか、いやなよかん」
ヒカリがわずかに首を傾げる。「同意」
だが、まだ知らない。カイルたちが、すでにダンジョンへ向かっていることを。
場面戻る。ダンジョン入口。
カイルたちが到着する。朝の空気。静かな入口。
「行くぞ」
全員が頷く。今回の目的は《パワードスーツ》の実戦試験。そして、機械領域への再挑戦の布石。一行はダンジョンへ踏み込む。静かに。迅速に。"子供抜き"の本気編成で。
その選択が後にどうなるかは、まだ誰も知らない。




