第215話 第三次ダンジョンアタック(未遂)
カイルの屋敷・リビング。
資料も準備も装備も万全。カイルは立ち上がった。
「よし」
全員の視線が集まる。
「第三次ダンジョンアタックだ」
静寂。
リーナとヒカリが同時に顔を見合わせた。そして、「「あ」」
「なんだ」カイルが眉をひそめる。
「がっこう」リーナが手を挙げる。
「夏休み、終了」ヒカリが補足した。
一瞬の沈黙。
「……は?」
カイルの思考が止まる。
「ぷっ……」キキが吹き出した。
「今日からよ?」母が優しく言う。
父のディスプレイ【確認済】。
「……まじか」カイルがゆっくりと振り返る。
「スケジュール管理不足」ヒカリが淡々と言った。
「いってきます!」リーナが元気に言う。
その瞬間。
ズルッ。
カイル、盛大にコケる。「ぐはっ!?」
「タイミング最悪ね!」キキが笑いをこらえきれない。
「さすがにそれは予想外でしょ」ナルサも笑った。
カイルは床に倒れたまま呟く。「……第三次……延期だ……」
リーナとヒカリはもう準備万端だった。
「いってきまーす!」「登校開始」バタバタと出ていく。扉が閉まる。
静寂。
「はい、解散」キキが肩をすくめる。
「また、次のお休みからね」母が微笑んだ。
父のディスプレイ【待機】。
カイルは天井を見つめた。「……くそ」
完全に出鼻をくじかれた。しかし、ヒカリの言葉が頭に残る。“スケジュール管理不足”
カイルはゆっくりと起き上がった。「……調整するか」元気なくつぶやく。
次の作戦は放課後か。それとも……。「週末だな」
「学生優先ってわけね」キキが笑う。
カイルは小さくため息をついた。
しかし、その目は、まだ燃えていた。
第三次ダンジョンアタック。それは少しだけ延期された。




