第201話 怒りの操者
中央ダンジョン・中層、魔境の塔・最奥。
リーナとキキ。二人は半身を石に変えられ、動きを封じられていた。
静寂。一瞬だけ。
「……ふざけるな」
低い声。カイルだった。その目に――明確な怒りが宿っている。
「カイル……?」ナルサが息を呑む。
カイルはゆっくりと前に出た。石化した二人を見て、拳が震える。
「俺の……家族に。何してくれてんだ」
次の瞬間、ゴーレムが一斉に動いた。
ガシャン!!
石化したリーナとキキの周囲を囲み、完全防御陣形を取る。
「防衛ライン構築」ヒカリが即座に理解した。
「私も守る!」ナルサも動く。
カイルは振り返らない。ただ一言。
「頼む」
そして、前を見た。ボス。石化の魔眼を持つ異形。
「……殺す」
短い、しかし明確な宣言だった。
カイルは新型の戦闘用大型ゴーレムへ走る。
ガシャン!!
コクピットが開き、乗り込む。閉鎖。
ブォォォン!!
魔力が唸りを上げた。
「出力、急上昇」ヒカリが言う。
「……なにこれ」ナルサが震える。
「全部ぶつける」カイルの声が響いた。
ゴーレムが重い一歩を踏み出す。ボスが動き、魔眼が輝く。
しかし、カイルは見ない。視線を外し、魔力感知で捉える。
「見なきゃいいんだろ」
ドォン!!
正面衝突。ゴーレムの拳がボスを直撃した。
ドゴォ!!
ボスが吹き飛ぶ。
「効いてる!?」ナルサが叫ぶ。
「ダメージ確認」ヒカリが即答した。
「まだだ!!」
追撃。ゴーレムが加速し、連打を叩き込む。
ドドドドド!!
床が砕け、衝撃が響く。ボスが腕を振るい、衝撃波を放った。
ガギィン!!
ゴーレムが受ける。しかし止まらない。
「関係ない」
さらに踏み込む。拳、蹴り、体当たり。圧倒的な物量だった。
「近接特化戦術」ヒカリが分析する。
「力押し……!」ナルサが呟く。
「時間がねぇんだよ!!」カイルが叫んだ。
石化が進行している。リーナの足が完全に石へ変わり、キキの腕も固まり始めていた。
カイルの目がさらに鋭くなる。「終わらせる」
ゴーレムの背部が展開し、新機構が現れた。
ブォォォォン!!
エネルギーが集中する。
「高出力攻撃準備」ヒカリが言う。ナルサが息を呑んだ。
ボスが構える。魔眼が光る。しかしカイルは見ない。
「関係ねぇ」
トリガー。
ドォォォォォン!!!
直撃。爆発、光、衝撃。塔全体が揺れる。
煙の中、ボスの影が崩れていく。
静寂。
「……反応低下」ヒカリが言う。
「やった……?」ナルサが呟いた。
「まだだ」カイルの声が響く。
煙の奥で、何かが動いている。完全には終わっていない。
しかし、確実に追い詰めている。
石化のタイムリミットは迫る。怒りの戦いはまだ終わらない。




