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毎日夜9時更新です。
本話はヴィオレル視点となります。
※キスシーンがあるため、苦手な方は飛ばしてください。
執務室に硬質な音が響いた。
無意識に手に力が入りすぎたのか、愛用の万年筆が折れ、書類どころかシャツにまで黒いインクが醜く飛び散る。忌々しさに舌打ちし、着替えのために私室へ戻った俺の耳に、隣室から微かな物音が届いた。
ロゼリッタか。
吸い寄せられるように二人の寝室の扉を開けた瞬間、俺の視界は怒りで赤く染まった。
無防備に横たわるロゼリッタの傍らで、ルカが、迸るような粘着質な視線を彼女に注いでいたのだ。ルカを寝台から引き摺り下ろし、衝動的に微睡む彼女の唇を深く塞ぐと、ロゼリッタは無意識に俺の首へと白磁の腕を回した。
「……消えろ」
低く、殺意を込めた一喝。這うように部屋を去る影を、俺は汚物を見るような眼差しで追放した。
彼女は俺のものだ。誰の手も、視線さえも触れさせはしない。
背後で扉が閉まる音が、この密室の完成を告げる。俺は彼女の唇をこじ開け、熱い体温を滑り込ませた。規則正しく並ぶ真珠のような歯列をなぞり、奥底の甘い蜜を蹂躙する。
「ん……っ……」
吐息が漏れ、浮上した潤んだ瞳が俺を捉える。彼女は戸惑いながらも、俺の熱に応えるように、健気に絡みついてきた。
扉の外に、まだあの男が気配を殺して立っているのは分かっている。それが俺の嗜虐心をさらに昂らせた。
執拗に、貪るようにその甘さを分かち合う。彼女の口端から零れた艶やかな雫を逃さず、また深く、深く繋がっていく。
静寂を汚す密やかな水音が、ロゼリッタの指先を縋るように俺の肩へと食い込ませた。
「はぁ、はぁ……ヴィオレル、様……」
「ロゼリッタ……」
指先を蜂蜜色の髪に絡め、細い首筋を強く引き寄せる。彼女の全てを、その呼吸の欠片までも吸い尽くすかのように、濡れた熱を絡めとった。
「……っ、ん……ヴ、ヴィオレルさまぁ!」
甘い悲鳴が俺の喉を震わせた。
ようやく唇を離すと、彼女の呼吸は乱れ、真っ赤な顔をして俺を見上げている。
「ロゼリッタ、すまない……少し、加減を忘れた」
謝罪を口にする俺に、彼女は首を激しく横に振った。
「ヴィオレル様……お願い……やめないで……」
その一言で、俺の理性を繋いでいた最後の鎖がぷつんと弾けた。
雨霰のような接吻を降らせながら、布越しに掌に収まる柔らかな曲線、折れそうなほど細い腰。
布一枚の隔たりさえ、今の俺には疎ましくてたまらない。
蕩けた瞳。一生懸命に応えようとする幼い反応。
きつく抱きしめながら、布の向こうに隠された彼女を隈なく指先で記憶していった。
「ロゼリッタ……愛している」
祈りにも似た切実さを伴って、溢れ出した言葉だった。だが…
「……ヴィオレル様、私も……愛しています」
「……え?」
思考が停止した。
俺は彼女を愛している。だが、彼女は義務感や庇護欲から俺に従っているのだと、どこかで決めつけていた。
驚愕に目を見開く俺を見て、ロゼリッタがきょとんとした顔で小首を傾げる。
「ロゼリッタ……君は、私を愛しているのか?」
彼女は林檎のように赤くなり、恥ずかしそうに、けれど力強くこくんと頷いた。
心臓が爆発しそうなほどの歓喜が全身を駆け抜ける。
一方通行だと思っていたこの狂おしい情熱が、今、天にも昇る至福へと変わった瞬間だった。
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