5/13
第4話 幼なじみからの手紙
ある日、零のもとに一通の手紙が届いた。
中には、キスマークのついた紙と文章が入っていた。
「ねえ零、私のことを覚えてる? 幼なじみの坂口日奈だよ。高校のときは端の席で静かに本を読んでいたんだけど、覚えているかな?」
手紙を読んだ零は、困惑した。
「確かにいたけど、本当に幼なじみといえるのかな……」
零には、心に決めた女性がいた。
記憶を失っていても、自分が愛しているのは千秋だ。その気持ちは変わらなかった。
零は日奈に返事を書いた。
自分には大切な人がいること、そしてその人を心から愛していることを伝えた。
しかし、日奈は諦めなかった。
「そんなに大切な人がいるんだね。でも、私だって簡単には諦めないよ」
日奈のアプローチは、そこから始まった。
一方、私は病室で零と過ごす時間が増えるにつれ、彼のことが少しずつ気になり始めていた。
記憶はない。それでも、彼のそばにいると安心する。
その理由を、私はまだ知らなかった。




