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第3話 画面の向こうの女優
その夜、私はベッドの近くにあるテレビをつけた。
放送されていたのは「あの夏の夜空の下で」というドラマだった。主演は、坂口日奈という有名な女優だった。
日奈さんは、とても美しく上品な女性だった。テレビに詳しくない私でも、その名前を知っているくらい有名らしい。
番組の中で、日奈さんは自分に幼なじみがいることを明かしていた。
「へえ、坂口日奈さんにも幼なじみがいるんだ」
私は、なぜかその話が気になった。
零も幼稚園のころからの幼なじみだと話していたからだ。
そのとき、零が病室に戻ってきた。
「何を見てるの?」
「このドラマです。坂口日奈さんって、とてもきれいな人ですね」
零は画面を見ると、少しだけ複雑そうな顔をした。
「……そうだね」
「零さん、知り合いなんですか?」
「昔、少しだけね」
それ以上、零は何も話さなかった。
私はテレビに目を戻したが、なぜか日奈さんの笑顔が頭から離れなかった。
そして、零が隠している何かがあるような気がした。




