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第2話 知らないはずの人
零は、私の手をそっと握った。
「俺は零。君の彼氏だよ」
彼氏。その言葉を聞いても、私の頭には何も浮かばなかった。
「ごめんなさい……本当に思い出せなくて」
「謝らなくていい。君が目を覚ましてくれただけで、俺はうれしいから」
そう言った零の顔は、少し悲しそうだった。
突然、頭に激しい痛みが走った。
「痛い……!」
零はすぐにナースコールを押し、私の手を握った。不思議なことに、彼が手を握ってくれると、少しだけ痛みが和らぐ気がした。
医師によると、頭痛の原因はまだわからないらしい。私は、痛みがひどくなったときのための薬を処方された。
その夜、零は私のそばにいてくれた。
「零さんは、どうしてそんなに優しいんですか?」
「それは……君が大切だからだよ」
彼の言葉を聞いたとき、胸の奥が小さく痛んだ。
知らないはずの人なのに。
どうして私は、彼の悲しそうな顔を見ると、こんなにも苦しくなるのだろう。




