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君が忘れた恋を、僕は今も覚えている  作者: 著者:月城レイ 編集:月城のの
第二章 偽りの恋人(第6話〜第10話)
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第11話 広がり始めた噂

「ねえ、零くんって坂口日奈さんと付き合ってるって本当?」

昼休み、教室に入ってきた友人の声に、千秋は思わず顔を上げた。

「えっ……零が?」

「うん! ネットにも写真が出てるらしいよ。二人で歩いてるところを見た人がいるんだって」

友人はスマートフォンを見せてくれた。そこには、日奈と並んで歩く零の姿が写っていた。

千秋は画面をじっと見つめた。

記憶を失ってから、零は何度も病院に来てくれた。話を聞いてくれて、笑わせてくれて、帰り際には必ず「また来る」と言ってくれた。

だからこそ、千秋は零を特別な存在だと感じていた。

けれど、二人が恋人同士なのだとしたら、自分はどんな立場なのだろう。

「……そうなんだ」

千秋は何とか笑顔を作った。

「千秋、大丈夫?」

「うん! びっくりしただけ」

そう答えたものの、胸の奥には説明できない寂しさが広がっていた。

放課後、千秋は病院の窓から外を眺めていた。

零が来てくれるのを、いつも楽しみにしていた。でも、恋人ができたのなら、もう自分のところへ来る必要はないのかもしれない。

そのとき、病室の扉が開いた。

「千秋、来たよ」

いつもと変わらない声だった。

「……零」

千秋は顔を上げたが、すぐに視線を落とした。

「ねえ、零。坂口日奈さんと付き合ってるの?」

零の表情が一瞬だけ固まった。

「……どうして、それを?」

「みんなが話してたから」

千秋は笑おうとした。しかし、うまく笑えなかった。

「おめでとう、零」

その言葉を聞いた零は、何も答えられなかった。

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