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君が忘れた恋を、僕は今も覚えている  作者: 著者:月城レイ 編集:月城のの
第二章 偽りの恋人(第6話〜第10話)
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第12話 言えない本当のこと

「千秋、あれは……」

零は言いかけて、口を閉じた。

本当のことを話せば、千秋を困らせるかもしれない。けれど、何も説明しなければ、彼女を傷つけることになる。

「……日奈とは、いろいろ事情があるんだ」

結局、零は曖昧な言葉しか口にできなかった。

千秋は小さくうなずいた。

「そっか。事情があるんだね」

「千秋、誤解しないでほしい」

「ううん。大丈夫だよ」

千秋は笑顔を浮かべた。

「零には零の生活があるもん。私ばっかり頼ってちゃ駄目だよね」

その言葉に、零は胸を締めつけられた。

千秋は自分を責めているわけではない。ただ、零に迷惑をかけたくないと思っているのだ。

「俺は、迷惑だなんて思ってない」

「ありがとう。でも、これからは無理して来なくてもいいからね」

「……千秋」

「日奈さんとの時間も大切にしてあげて」

千秋はそう言って、窓の外へ視線を向けた。

零は何かを伝えようとした。しかし、契約のことを話すわけにもいかず、結局その日は短い会話だけで病室を後にした。

廊下を歩きながら、零は何度も振り返りそうになった。

本当は、千秋のそばにいたい。

日奈との交際は契約であり、心が動いたわけではない。それでも、事情を話せない以上、千秋に誤解されるのは避けられなかった。

一方、病室に残った千秋は、零が帰った扉を見つめていた。

「……なんで、こんなに寂しいんだろう」

記憶を失う前の自分が、零をどれほど大切に思っていたのか。

その答えは、まだ見つからなかった。

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