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第23話 達也さんと二人でお出かけ!?

その後


真帆に質問責めにされた美月が家へ帰ってきた頃には、すっかり日が暮れていた


アパートの敷地へ入ったところで、美月はふと足を止めた


「あれ?」


庭の隅に、小さな花壇ができている


新しい土が入れられているだけで、花はまだ植えられていない


「こんな花壇あったっけ?」

「作ってる途中みたいね」


少し気にはなったが、今はそれ以上考える気力がなかった


美月はそのまま自分の部屋へ向かう


「つ、疲れた……」


買い物で疲れたわけではない


真帆に根掘り葉掘り、延々と質問され続けたせいだ


「真帆のやつ、好き勝手に言って……」

「怜司君は私が好きとかじゃないんだから」

「素直になったら、そのまま沼って再起不能になるわよ」

「どんだけ私を殺したいのよ」


美月は大きく息を吐きながら、自分の部屋の前まで歩いていく


バッグから鍵を取り出した


そのときだった


隣の部屋の扉が開いた


「美月さん」

「おかえり」


「ひゃっ!?」


振り返る


「た、達也さん!?」


部屋から出てきた達也は、昼間とはまるで違う格好をしていた


黒いもこもこの上着に


同じように柔らかそうな部屋着のパンツ


いつもの髪も少し無造作で、大きめの丸い眼鏡をかけている


美月は思わず達也を上から下まで見た


……なんか、もこもこしてる


「どうした?」


普段の達也からは想像できないくらい、柔らかい雰囲気だった


可愛いんですけど……ギャップがヤバいわ


これは……推せる!


「やっぱり達也さんは見どころがあるわね」


「なんの話だよ」


「キャラクターの話よ」


美月は両手を合わせ、達也を拝む


「おかげでちょっと癒されたわ」

「ありがたや~、ありがたや~」


「変な美月さん」

「帰ってくるの待ってたんだぜ」


達也は眼鏡の位置を指で直した


……やばい……あのメガネがやばい


私ってメガネ属性あったのね……


新たな扉が開きかけた、そのとき


達也が声をかける


「美月さん、明日、暇?」


「明日?」


明日は連休最終日


「特に予定はないけど」


「やった!」

「じゃあさ」


達也が嬉しそうに笑った


「俺と遊びに行こうぜ!」

「さっき、ちゃんと日程決められなかっただろ」


「……え?」


「美月さんの行きたいところでいいからさ」

「どっか行こうぜ」


美月は目をぱちぱちさせる


「二人で?」


「当たり前だろ」


当たり前なの!?


美月は思わず達也を見る


誘われた時、『うん』て言っちゃったし……


でも、さすがに二人は……


どうしよう……


「な! 美月さんはどこに行きたいの?」

「欲しい物があるなら付き合うしさ」

「俺、車も出せるぜ」


私の行きたいところ?


欲しい物……


ぱっと秋葉原のゲームセンターで見つけたぬいぐるみを思い出す


大きな第一王子のぬいぐるみ


欲しかったけれど、自分ではどうしても取れそうになくて諦めた


「達也さんって、クレーンゲームとかやったことある?」


「え? あるけど」


「下手? 普通? 上手い?」


「まあ、上手い方だとは思うぜ」

「ガキの頃にハマってたからな」


美月は素早く達也に駆け寄り、その手を両手で取った


その目が輝いている


「救世主、み~つけた!」

「どうしても欲しいぬいぐるみがあるのよ!」

「お願い! 取って!」

「お金は私が出すから!」


急に手を握られて達也の顔が赤くなる


だが、すぐににやりと笑ってその手を握り返した


「任せとけ!」

「俺に取れないぬいぐるみはないぜ!」

「美月さんのためなら、店中の景品を全部取ってやるよ!」


「ありがとう!」

「達也さん、頼りになる~」


美月は嬉しそうに握った手をぶんぶん振った


達也は笑いながら振られる手を見る


「美月さん」

「一個だけいい?」


「うん!」

「なに?」


「そうやって簡単に男の手握るなよ」

「俺が勘違いしたら困るだろ」


「え?」


美月は握っている手を見る


それからぱっと手を離した


「あ、ごめん」

「でも達也さんなら大丈夫でしょ?」


達也はにやりと笑った


「さあな」


こうして


美月は深く考えないまま


達也と二人で出かける約束を


正式に決めてしまった






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