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ネコ  作者: 秋月心文


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7/9

とあるネコ信者の日常:ネコに嫌われても、今日も信仰は揺るがない?

「ちょっと、こっち来いや!」


 ……と呼ばれた気がした。

 

 ここはとあるペットショップ。

 呼ばれた相手は売り物のネコだった。


 目が合っただけなのだが、なぜか、そういうアイコンタクトだと感じた。

 理由はわからない。

 ……でも、ネコが呼んでると感じたのなら、行くしかない。


 私はネコにはつい従ってしまう人間だ。

 ネコ信者とでも言えばいいのだろうか。

 とにかくネコ・ファーストなのだ。


 私は、呼ばれた主の前に着く。

 そのコは、私を見ると立ち上がった。


 すると、こともあろうか爪をギラりとたて、私のジーンズで爪とぎを始めた。

 う~ん、確かに。厚手で目の粗いジーンズは、爪とぎに最適かな。

 もっと、別な理由で呼ばれたかったなと思った。

 

 少し残念な気持ちで店内を歩いていると、

 店内を自由に歩いていたネコがいた。

 売り物……なのだろうか。


 長毛種の大きなコだ。

 長毛種は穏やかなコが多いと聞く。

 きっと、たくさんなでなでさせてくれそうだ。


 じ~っと眺めていると、そのコは、ネコじゃらしを持ってきて私の前に置いた。

 遊んでくれるらしい。なんて、優しいコなんだ……と思った。

 遠慮なくネコじゃらしを振らせてもらった。



 あれ? そういえば。

 なんでこの時、私は「遊んでくれる」と脳内変換してしまったのだろう。

 厳密には「遊んでおくれ」が、正しかったのだろう。


 

 こんな感じで、私はネコの都合を勝手によく解釈してしまう人間だ。

 さぞかし、ネコに好かれるのかなと思うだろう。


 でも実際は違う。

 基本的に、私はネコには嫌われる体質だ。

 この日のようなことは稀なのだ。



 たいていは、近づこうものなら「シャ~ッ」と、

 あの赤い彗星の名前を叫ばれてしまう。

 

 だから、この日は、とても、幸せな気分で帰った。

 ちょっと、ジーンズがささくれたかもしれないけど。

 お読みいただき、ありがとうございます!


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