とあるネコ信者の日常:ネコに嫌われても、今日も信仰は揺るがない?
「ちょっと、こっち来いや!」
……と呼ばれた気がした。
ここはとあるペットショップ。
呼ばれた相手は売り物のネコだった。
目が合っただけなのだが、なぜか、そういうアイコンタクトだと感じた。
理由はわからない。
……でも、ネコが呼んでると感じたのなら、行くしかない。
私はネコにはつい従ってしまう人間だ。
ネコ信者とでも言えばいいのだろうか。
とにかくネコ・ファーストなのだ。
私は、呼ばれた主の前に着く。
そのコは、私を見ると立ち上がった。
すると、こともあろうか爪をギラりとたて、私のジーンズで爪とぎを始めた。
う~ん、確かに。厚手で目の粗いジーンズは、爪とぎに最適かな。
もっと、別な理由で呼ばれたかったなと思った。
少し残念な気持ちで店内を歩いていると、
店内を自由に歩いていたネコがいた。
売り物……なのだろうか。
長毛種の大きなコだ。
長毛種は穏やかなコが多いと聞く。
きっと、たくさんなでなでさせてくれそうだ。
じ~っと眺めていると、そのコは、ネコじゃらしを持ってきて私の前に置いた。
遊んでくれるらしい。なんて、優しいコなんだ……と思った。
遠慮なくネコじゃらしを振らせてもらった。
あれ? そういえば。
なんでこの時、私は「遊んでくれる」と脳内変換してしまったのだろう。
厳密には「遊んでおくれ」が、正しかったのだろう。
こんな感じで、私はネコの都合を勝手によく解釈してしまう人間だ。
さぞかし、ネコに好かれるのかなと思うだろう。
でも実際は違う。
基本的に、私はネコには嫌われる体質だ。
この日のようなことは稀なのだ。
たいていは、近づこうものなら「シャ~ッ」と、
あの赤い彗星の名前を叫ばれてしまう。
だから、この日は、とても、幸せな気分で帰った。
ちょっと、ジーンズがささくれたかもしれないけど。
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