知らなければよかった猫知識
「う~ん、う~~ん」
とても寝苦しい夜だった。
その感覚は始めてだった。
私の通っていた乗馬クラブには宿泊施設があった。
その日は、始めてそこで眠った。
部屋の明かりは消え、皆、寝静まっている。
真っ暗な世界では、どうしても嫌な妄想が先走ってしまう。
これが心霊現象というヤツなのだろうか……と。
わたしの姉は、そういうのに敏感だった。
だから、いろんな話を聞かされていた。
姉は一時期、金縛りで悩まされていた。
そんな時、お経を唱えるといいんだよという話を母が持ってきた。
姉の言うことをほとんど聞かない母にしては、珍しい行動だと思った。
というか、単に怪しい話に騙されたのでは?。そう思った。
でなければ、あの母が姉のために何かをするとは思えなかった。
正直、うさんくさい話に騙されたのだろうと思っていたが、
姉には、一応効いたらしい。
そんなこともあるんだと思っていたが、私も母にお経を押し付けられた。
覚えておいて損はないのだと……?
本当か?。半信半疑で、とりあえず覚えた。
それから数年後の今、私は怪しい現象に苛まれている。
目を開けて霊と目を合わせるなんてまっぴらだ。
お経とやらを、心の中で唱えてみる。
効かない。全然、効かない。
私は、恐る恐る目を開けた。
「それ」もゆっくりと目を開けた。
お互いの目が合った。
暗闇の中で、その目はハッキリと確認できた。
怖っ……。そう思った。
「それ」は私をじっと眺めていた。
少し経った。
とりあえず、敵意はなさそうだ。
だんだん、あたりが見えるようになった。
「それ」の正体が露わになった。
ネコだった。
乗馬クラブで飼われているネコが、私の胸の上に乗っていた。
苦しかったのは、そのせいか!!
私は、そのコをどかして、再び眠りについた。
それから十年以上、時が流れた。
「にゃんゼミ」さんが「X」で投稿していた
「猫の寝る位置でわかる親密度チェック」
という動画が目に留まった。
寝る位置:胸の上
親密度:★★★★★+
究極の信頼
心臓の鼓動を感じて安心
最上級の信頼サイン。
――そう書かれていた。
え?
……マジか。
寝苦しかったから、「ごめんね」と思いながら、そっとどいてもらってたよ。
まさか、私の胸の上を「いちばん安心できる場所」だと思ってくれていたなんて……。
そう知ると、少し申し訳ない気持ちになる。
でも。
やっぱり胸の上に居座られると、寝苦しいんだよなぁ……。
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