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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
第3章 いきなりな課題

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第40話 いきなりな課題

 火曜日3、4限の魔法工学実習。

 この日、僕は詩織ちゃん先輩や修先輩、香緒里先輩が言っていた課題が何であるかを理解した。


「この課題は、魔法工学の概念と可能性を直接感じてもらうのが目的である。今まで言ったこの課題の要綱についてはこのレジュメと同じ内容を本日より学生用Webページで閲覧可能な状態にする。期限は7月最初の火曜日まで」


 詩織ちゃん先輩の親父であるところのゼットンが、教卓でそう説明している。

 配られたレジュメのタイトルは『第1課題 飛行機械の概念設計』。


「課題そのものは概念設計までだ。しかし詳細な設計図の作成、実証モデルの製作、あるいは実機の制作については大いに歓迎する。実際に諸君らの先輩が作成した実機がここの屋上に展示されている。それらを参考にしてもいいし、全く独自のものを考案してもいい。

 当課題に限り、上級生その他協力者の手を借りたりしてもかまわない。魔法でも概念でも設計理念の一部にでも当該学生の意志や能力が反映されていればよしとする。

 ただ学生間の共同制作は禁止だ。必ず1人ずつ独自の作品を提出しろ。

 またこの課題に使用する材料や部品類についてはWebページで確認してくれ。そこにあるものに関してはこちらから無償供与する。それ以外も納期が間に合う物なら無償供与可能だ。更に提出物の完成度如何によっては補助金を出したりパテント取得の手伝い等もする。

 これ以上の詳細事項についてはWebページを参照の事。なお以降のこの授業については3限頭に出席を取る以外は課題提出まで自由に使って構わない。各工作室は私なり講師の先生なりが常駐して工作機械の取扱説明等を行うので自由に使ってくれ。また他の研究会等の施設や装備を使っても構わない。

 では解散。礼等は省略」


 ゼットンを始め講師陣が退席する。

 各工作室なりへ向かうのだろう。

 そして大教室は一気に雑踏に包まれる。


「おい何だ、いきなり空飛べってか。こちとら中学出たばかりの高校1年相当だぞ」


「おちつけ、概念設計だ。まずは概念設計だけでいいんだ。それくらいなら……」


 騒ぎの中、前の席の緑山が立ち上がった。


「行くか、朗人」


「あ、いつの間にか名前で呼んでいる。やーらしー」


 いつの間にか金井が横にいた。


「ひょっとして早くも一線越えたの?」


「んな訳あるかい。入った研究会がファーストネームで呼び合う風習だった。それだけだ」


「冗談よ。で、行くんでしょ、屋上」


「ああ」


 僕も立ち上がる。


 他はいきなり図面を描いている者、車座になって何やらだべっている者、タブレットでいきなりWebをチェックしている者、まあ色々だ。

 そんな中僕達3人は大教室を出て、屋上に向かう。


 ◇◇◇


「この扉、今まで閉まっていたんだけどな」


 金井がそう言って扉の段差を超える。

 既に屋上には数組の学生が来ていた。


 天井も無いのに雨が落ちてこない。

 今日は小雨が降っているんだけれども。

 そんな曇り空の下の屋上に、確かに色々な機器が展示されている。

 手前から新しい順に並んでいるようだ。


「こんなの、いきなり中学出たてで作ったのかよ」


 最初からとんでもないのが置いてある。

 巨大なダクテッドファン2基をエンジンでぶん回し、魔力動作の小型ダクテッドファンで姿勢制御や転回などを行うかなり大きい機械だ。


「何かSF物の映画に出てきそうね、これ」


「でも実際に飛ぶらしいぞ」


 解説を見ると、浮上3メートルの状態ならガソリン満タンで1時間行動可能、最高時速130キロと記載されている。

 そして制作者の欄が知っている名前だ。


「ロビー先輩か、これ作ったの」


「あ、あのオリエンテーションで案内してくれた欧米系の先輩ね」

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