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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
第2章 魔女のいる日常

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第36話 今日はトドの日

 この昼食でおかずを40人分作り、ご飯を3升炊いて更に冷凍ご飯を2升解凍した。

 ついでに言うとワインの瓶も3本ばかり空になっていた。


 必然的な結果として、食べ過ぎ飲み過ぎで身動きが出来ない人々が続出する。

 でもまあ何とか残っている動ける人々で、取り敢えず片付けは終わった。


「作りすぎましたかね」


「いや、いつもの事だ。心配はいらない」


 ルイス先輩はそうきっぱりと言ってのける。

 横でロビー先輩が炊飯器をセット。

 米と水の量は3升分、つまり目一杯だ。

 これから夜に備えて、今のうちに余分に炊いておくそうである。


「それより夜も今の調子でお願いしていいか。入ったばかりなのに大変申し訳ないんだが」


「それはかまいませんが、本当にいいんですか」


 僕とルイス先輩がそんな事を言っている中、女子の皆さんがぞろぞろと移動を開始する。

 身動きが困難な人々を含めてだ。

 方向からして行き先は露天風呂だろう。


「大丈夫だ。毎年だいたい最初の釣り大会の後はこうなる。今年はちょっといつもと違う料理だったから少し犠牲者が多いけれど。それより風呂に注意しろよ。とんでもない事になっているから」


 そう言われても、女子高専生や女子大生が目の前をうろうろしている以上にとんでもない状態というのがあるのだろうか。


「風呂に入らないでここで様子を見ているというのは駄目なんですか」


「その場合は吹雪に襲われるか、いきなり熱風に吹かれるか、理由も無いのに突如全身がかゆくなるか……何なら試してみるか?」


「止めときます」


 世の中にはきっと知らない方がいい事がある。

 なお典明は畳の上で倒れている。奴もまた食べ過ぎたらしい。

 男性陣の被害者は彼1人だ。

 他は修先輩、ルイス先輩、ロビー先輩の3人とも大丈夫。


 確かに魚が美味しかったし、倒れるまで食べた典明の気持ちもわかる。

 新鮮な刺し身は味はそれほど濃厚ではない。

 その代わり歯ごたえとかさっぱり感がなんとも言えなくいいのだ。


 まさに今回のは新鮮そのもので、しかもいきなり低温仮死状態にしたからか余分な血が回っているなんて事も無い。

 でもこれをある程度熟成させても美味しいだろう。


「さて、ゆっくり風呂の支度をするか。多分今日は洗い場が空くのは早いだろう」


 治先輩を先頭に、男性陣の更衣室らしい南側角の部屋へ向かう。

 入ってタオル等を用意していると、掃き出し窓が外から開いた。


「今日はもう大丈夫なのですよ。ただサウナは両方とも今日は女性専用なのです」


 声からして詩織ちゃん先輩だ。

 見て確認はしない。

 僕も一度あった事は学習するのだ。


 洗い場に向かう途中、僕はルイス先輩が言ったとんでもない事というのを理解した。

 寝湯にあられもない格好の誰かが倒れている。

 1人では無い。5人だ。 

 流石に誰かまでは確認しなかった。


 そっちを見ないようにして身体を洗い、そして昨日夜と同じぬる湯に浸かる。

 今日は女性陣はこっちの浴槽にはいない。

 動ける人員もミストサウナとホットサウナ、歩ける風呂を周遊しているようだ。


「食べ過ぎるとだいたい、あっちのシェイプアップゾーンの方へ行くんだ。その分こっちが広く使える」


 これは修先輩の説明。

 なので僕は隣の浴槽を試してみる事にした。

 入ってみると隣は少し熱め。

 というかこっちが普通の湯温でとなりがぬるめなのかな。


 隣より少し広めで脚を思い切り横に伸ばしても……

 あ、まずい。

 寝湯の手前から2番目に寝ていた愛希先輩と偶然目があってしまった。


「よ、飯うまかったぜ。夜も頼むな……」


愛希先輩は軽く手を挙げてそう言って、目を瞑る。

 ちなみに彼女は仰向きに寝ていた。

 タオルはかけていないし寝湯は浅くてお湯も透明だ。


 まずいまずいまずいまずい……

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