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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
第2章 魔女のいる日常

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第35話 昼食は大人数

 ある程度時間が経ってからは早かった。

 サクになったり頭だけになったり中骨や内臓だったりが、続けざまにキッチンへと運ばれる。


 最初から冷蔵庫送りになるものも結構ある。

 どうも捌いた段階で、ある程度の分別はされているようだ。 


 つまりはキッチンへ直接来た物は調理しろという事か。

 いいじゃないか、目一杯悪乗りしてやろう。


 まず中骨類は全部洗って、ある程度血合い等を取って大鍋にぶち込む。

 こいつらは出汁用だ。


 心臓だの肝とかは流水で血を抜いて、胃袋等はもみ洗い。

 普通のサクやちゃんと身がある部分は、とりあえず冷蔵庫に避難。

 やってきたブリ頭は、とりあえず細かいうろこを取って適当な鍋に置いて酒をぶっかけて軽く塩を振る。

 半分は兜焼き、半分は煮付けの予定だ。


 沸騰してきた大鍋の火力を緩め、ついでに大鍋から湯を少し取って小鍋にいれ、小鍋も沸騰させる。

 こっちは肝とか心臓とか胃袋を酒で臭い取りした後ボイル予定だ。

 甘辛く煮てもいいが、今日はボイルしたのを冷やしてポン酢やバルサミコで食べたい気分。

 日差しが熱かったしさ。


 そんな感じで右へ左へ目一杯動き回り、更に恐れ多くも愛希先輩に魔法でブリの頭の中まで魔法で火を通して貰ったりした結果……


 炊飯器が完了を告げる頃には、何とか昼のおかず分位の料理は出来ていた。

 煮物類はもう少し味を馴染ませたいので夜の部用。

 でもあら汁やカルパッチョや刺し身や焼き物、珍味もある程度ある。

 昼食には十分だろう。


 こっちで料理をやりながら思ったのだが、美雨先輩、随分と魚を捌くのが早い。

 あれだけでかいのがごろごろしていたのに、うろこ取って解体してサク取って内臓などを取り分けて等全部を15分位かもっと短時間でやっているような気がする。

 よっぽど手際がいいのか、それとも何か魔法があるのか。


 おかず類を皿に盛り付けてカウンターに並べる。

 前にルイス先輩に言われた通り、40人分のつもりで作った。

 だから皿数も多いし量も半端ない。


 でも皆慣れているのか、盛り付けておいておけば勝手に持って行ってくれるので早く済む。

 最後にあら汁を19人分よそったのを典明に持って行ってもらった時点で、僕の出番は終了。

 既に巨大座卓2つには、全ての皿や茶碗や箸や調味料類が載っている。


「料理人、今日の料理の食べ方宜しくなのです」


 詩織ちゃん先輩に呼ばれて簡単な説明を開始。


「この青色の中皿にある珍味類はバルサミコかポン酢で食べて下さい。カルパッチョは皿の中のソースで、サラダはドレッシング何でも、ブリ兜焼きは多分瓶入りのレモン果汁でいいと思います。あとあら汁は若干のおかわりがありますし、刺し身のサクもまだあります。以上です」


「煮物類は今はいいのか」


「今鍋にあるのは味を馴染ませている最中です。他も今取っている出汁を使って夜に出しますから、昼はこの程度です」


「この程度って、十分だろう」


 そうルイス先輩は言ってくれるけれど、それは刺し身の量が半端なくあるおかげだ。

 ご飯が炊けるまでの間で作業しながら作れたのは焼き物まで。

 煮付けや揚げ物まで手が回らなかった。


「では、いただきます」


 学生会OBまで含めた19人で昼食開始。

 ボイルした胃袋を一口食べた由香里さんがちょっと何か考えている素振りだ。


 味がまずかったのだろうか。

 そう僕が心配した次の瞬間、彼女は内臓類を一通り自分の取り皿に猛速度で取り、おもむろに立ち上がり隣の部屋へ。

 何だろう、と思いつつ刺し身を食べながら観察していると、白ワインらしき物を2本とグラスを持って戻ってきた。


「由香里姉、反則です昼間から」


「ふふふふふん、成人後の特権よ!」


 鈴懸台先輩と月見野先輩が無言で立ち上がり、キッチンからグラスを持って来る。

 自分達用にセルフでワインをガンガンに注ぎ、昼食を食べながら飲み始めた。

 更に風遊美先輩と世田谷先輩も少し考えた後、その輪に加わる。

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